「次世代にフォーミュラ1」と言われる電気自動車のフォーミュラマシンはどんな性能を持っているか。F1に匹敵するようなパフォーマンスを見せることはできるのだろうか。

パワートレーンの独自開発が進み、マシンも大幅にポテンシャルアップ

シーズン5からフォーミュラEに導入されたニューシャシ「SRT05e」、通称Gen2は、同じスパークレーシングテクノロジー製(設計はダラーラ)ながら、シーズン4までの「SRT01E」からは大きく様変わりしている。

全長、前後トレッドなどが大きくなったボディは、エアロダイナミクスを一新。前後ウイングはフラップ的なものにミニマム化され、ダウンフォースのほとんどをリアのディフューザーで生み出す。新たに装着されたドライバー保護システムのハロとのデザイン的親和性も高く、“近未来のフォーミュラ”をイメージさせる、魅力的で個性的なスタイルとなった。

最も大きく進化したのが電動パワートレーンだ。新たにマクラーレン製となったバッテリーからモーター(こちらはシーズン2から各メーカー/サプライヤーの独自開発となり2基まで搭載可能)に供給できる電力量が28kWHから54kWHへと倍増され、これによりフォーミュラEの特徴だったレース中のマシン乗り換えが不要になった。

さらにモーターの最大出力も+50kWの250kW(レース中に許される最大出力は+20kWの200kW)に、リアの回生ブレーキからの出力も150kWから200kWに向上した。さらにGen2ではこの回生ブレーキとフロントの機械式ブレーキとの協調制御が自動化され、コース特性に合わせたセッティングが各チームの腕の見せどころとなっている。

ボディとバッテリーの大型化などで車重は+20kgの900kgとなったが、電動パワートレーンのパフォーマンスアップの結果、最高速は225km/hから280km/hへ大きくアップ。0→100km/hの加速タイムもこれまでより0.7秒短縮している。

モーター同様にシーズン2から独自開発となっていたギアボックスは規定上は最大6速までだが、現在はどの陣営も1〜2速のものを使用しているようだ。軽量化のためと思われるが、これに対応できるモーターの開発、回生ブレーキを含めた電気エネルギーの制御がパフォーマンスアップの鍵で、各チーム/メーカー/サプライヤーの能力が問われるところとなっている。ちなみにシーズン5は参加11チームのうち2チームがパワートレーンの独自開発を行っていないため、シーズン6に参戦するマシンは全部で9種類となる。

パワートレーンを自主開発せずに他のメーカーやサプライヤーから調達して“カスタマー”として活動するチームもあるが(ヴァージンとHWA)、ワークスチームと対等に戦えるだけの戦力均衡が図られている。

画像: シャシはワンメイク。電気自動車として専用に設計されたものだ。

シャシはワンメイク。電気自動車として専用に設計されたものだ。

画像: アウディスポーツが公表した透視イラスト。モーターなど主要パーツは通常エンジンが置かれる場所に収まる。

アウディスポーツが公表した透視イラスト。モーターなど主要パーツは通常エンジンが置かれる場所に収まる。

画像: 「SRT05e」でエアロダイナミクスは大幅に向上。バトルも多く見られるようになった。

「SRT05e」でエアロダイナミクスは大幅に向上。バトルも多く見られるようになった。

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