電気自動車のレースをとおして市販用タイヤの性能向上に貢献
レーシングカーの足元を支えるタイヤも、フォーミュラEでは極めてユニークだ。
シーズン1からフォーミュラEのパートナーとなっているのはミシュラン。彼らが独占供給するタイヤは、既存のフォーミュラカーとはまったく趣を異にする18インチタイヤとなっている(ちなみに現在のF1は13インチ)。
しかもフロント/リア、ドライ/ウェットの区別なく、雨が降っても暑くても寒くてもフリー走行から決勝レースまでを1コンパウンド/1セット4本で走り切る“オールウェザー”仕様となっている。タイヤ表面のトレッドパターンもユニークで、そこにはなんとレースにはまったく必要のないノイズ低減を意図したブロックなども刻まれている。
これらからわかるように、ミシュランがフォーミュラEに供給しているタイヤはレースに特化した専用タイヤではなく、市販のハイパフォーマンスタイヤ(のプロトタイプ)なのだ。
このため、ミシュランのフォーミュラE用タイヤのデザインと開発にはレース担当エンジニアだけでなく、市販タイヤのエンジニア/デザイナーが大きく関わり、彼らの意向が深く反映されているという。
シーズン3と4で使われた第2世代のフォーミュラE用タイヤで培ったノウハウは現在市販されているミシュラン パイロットスポーツ4に直接活かされており、現行のGen2シャシ投入に合わせてシーズン5から新投入された第3世代のフォーミュラE用タイヤは、今後投入される予定のハイパフォーマンス用タイヤの雛形と言える仕様になっている。
第2世代から第3世代にかけてはゴムの材質/構造を改善することでフロント/リア合わせて約9kgの軽量化を実現、パターンも新しくなっており、これらの特性が次の市販タイヤに受け継がれることになるわけだ。