ある意味クーペ以上に贅沢な存在と言えるかもしれないBMW8シリーズコンバーチブル。日本ローンチ前にポルトガルで行われた国際試乗会でのレポートをお届けする。(Motor Magazine 2019年6月号より)
画像1: 【海外試乗】BMW M850i xDriveコンバーチブルは、オープンとクーペのいいとこ取りができるハイパフォーマンスモデルだ

幌の開閉時間は15秒

8シリーズ(G15)に続きカブリオレ(G14)が加わった。ポルトガルで試乗できたのは530ps、750Nmという大パワーとトルクを発揮する4.4L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載したM850i xDrive。クーペより125kg車両重量が増えているにもかかわらず、軽快で気持ちの良い走りを楽しめた。

重量が増えたのは、ボディを補強したためである。床下の補強材も、クーペより厚みのあるものを使っている。安全性に関してはロールオーバーに備えてAピラーの内部には15×60mmのパイを入れて補強しているし、後席ヘッドレストの後ろには転倒時にポップアップして乗員を守るロールオーバーバーも備える。結果的にボディ剛性は、クーペ比でわずか2%ダウンに収まっている。

幌の開閉時間は15秒。50km/h以下なら走行中でも開閉が可能になった。さらに停まっていても、クルマの近くにいればリモートコントロールキーを使って開閉することが可能になっている。

画像: レイヤー構造で幌の作りはガッシリしっかり。トップを開けても、風の巻き込みなどは最小限に抑えられている。

レイヤー構造で幌の作りはガッシリしっかり。トップを開けても、風の巻き込みなどは最小限に抑えられている。

俊敏さに安定感を与えるxDrive

クーペはルーフが低くなっているので、後席は手荷物専用場所のような雰囲気がある、だが、オープンにすればカブリオレはルーフを収納するスペースによりやや横幅が狭いものの、ヘッドクリアランスは無限大。リアシートは、比較的快適である。

オープン状態にしても風の巻き込みは弱く、高速道路でも十分に楽しめた。ウインドディフレクターを立てることで、ハイスピードでも前席はほとんど問題ない。ルーフを閉めると4レイヤーの効果でほぼクーペ並みに静かだから、カブリオレなら両方のいいとこ取り的な使い方ができそうだ。

加速は100km/hまで3.9秒と俊足を誇るが、xDriveのおかげもあって安定感は高い。高速道路だけではなく、ワインディングロードでも安定した走行が可能である。ただ安定しているのではなく、ハンドルを向けた方への回頭性も良い。これはリアアクスルステアを採用していることも影響しているだろう。

71km/h以上なら安定方向に後輪を動かし、それ以下なら回頭性を生かすように逆位相に動くからだ。ワインディングロードを十分に楽しんで走ることができた。(文:こもだきよし)

画像: 搭載エンジンは4.4リッターV8DOHCツインターボ。最高出力530ps、最大トルク750Nm。

搭載エンジンは4.4リッターV8DOHCツインターボ。最高出力530ps、最大トルク750Nm。

■BMW M850i xDrive コンバーチブル主要諸元

●全長×全幅×全高=4855×1900×1345mm
●ホイールベース=2820mm
●車両重量=2120g
●エンジン= V8DOHCツインターボ
●排気量=4394cc
●最高出力=530ps/5500rpm
●最大トルク=750Nm/1800-4600rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速AT
●価格=1838万円(税込)

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