「天才タマゴ」というキャッチコピーで登場した初代エスティマは、確かにそのスタイリングもメカニズムも革新的だった。2.4リッター直4エンジンをミッドシップにレイアウト、室内の広さを確保しつつ、走行安定性も確保した。バブル期に開発された意欲的ミニバンだ。

初代エスティマってどんなクルマ?

1990年5月30日に発表/発売された、トヨタの新ジャンルミニバンがエスティマだ。リリースには「新型高級サルーン」「ニューコンセプトサルーン」と表記され、スポーティカーの「走る楽しさ」とワンボックスカーの「使う楽しさ」を高いレベルで融合させることを狙いに開発されたもの、とある。販売店はトヨタ店、およびトヨタカローラ店だった。

まずはその曲面構成によるタマゴ型のスタイリングが特徴だろう。このエクステリアは、カリフォルニアにあるトヨタの先行デザイン開発拠点「キャルティ(Calty Design Research, Inc)」によるデザインテーマ「EGG ON A BOX」をベースとしている。Cd値は0.35を達成したエアロダイナミックフォルムで、他のどのクルマとも似ていない未来的デザインで目を惹いた。

この時代は、多人数乗車のワンボックスカー/ミニバンはキャブオーバータイプ(エンジンの上に運転席がある)が主流だった。そんななか、エスティマは「走る楽しさ」と「使う楽しさ」を両立するため、フロア中央部下にエンジンを横に75度倒して搭載。このミッドシップ搭載により車両中心近くに最重量部品を配置することができ、最適な前後重量配分を実現、優れた操縦性を達成した。

それと同時に室内フロアのフラット化を実現。フロントシートからサードシートまで自由に行き来できるウオークスルーを実現。またフロア高を低く抑えることで優れた乗降性も実現していた。

冷却ファンやオルタネータなどエンジンの補機類は、エンジン本体と切り離してフロントフード内に収納し、エンジンから専用の駆動シャフトで直接駆動するシステムを開発したことで、エンジン本体のコンパクト化と、日常点検時のサービス性向上も実現した。

エンジンは2TZ-FE型直4DOHCの1種類(1994年のマイナーチェンジでスーパーチャージャー搭載エンジンが追加)。排気量2438ccで135ps/21.0kgmを発生。10モード燃費は2WDモデルで7.1km/Lだった。また駆動方式は、後輪駆動に加えビスカスカップリング式フルタイム4WDモデルも用意していた。

北米では「Previa(プレヴィア)」名で登場したが、初代以降は販売されていない。

全幅1800mmと、当時の日本では大きめのボディサイズと、296万〜335万円という高価な価格設定だったこともあり、発売時の話題性の高さほど大ヒット作とはならなかった。同年6月に登場した初代バネットセレナに対抗する形で、翌年1992年1月にナローボディの「エスティマエミーナ/ルシーダ」が登場。エミーナはトヨタ店、ルシーダはカローラ店で販売された。

2000年1月に発売された2代目は、スタイリングこそ初代のタマゴ型を踏襲したものの、エンジン搭載位置はミッドシップレイアウトから一般的なフロントへと変更された。この2代目で、ミニバンとしては初となるハイブリッドモデル「エスティマハイブリッド」が2001年6月に登場している。

2006年には3代目へとフルモデルチェンジ。以降、多くのマイナーチェンジ/一部改良を経て現在も販売されている。

車両価格(発売当時。東京)

●2WD:296万5000円(ツインムーンルーフ装着車は307万円)
●4WD:324万5000円(ツインムーンルーフ装着車は335万円)

1990年(平成2年)には何があった?

ニュース

●F1日本GPで鈴木亜久里選手が3位入賞
●バブル経済崩壊
●第1回大学入試センター試験実施

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