怒濤の追い上げを見せたフェルスタッペンだったが追突されて後退
オーストリアGPでホンダに復帰後初優勝をもたらしたフェルスタッペンが、今回も魅せた。4番グリッドからスタートし、「因縁」の同世代ライバル、シャルル・ルクレール(フェラーリ)と3番手争いのバトルを展開。タイヤ交換直後に一度は前に出るも抜き返され、その後も接触寸前のギリギリの攻防が続く。
両者の対決に決着がついたのは20周目、セーフティカー出動に素早く反応して2回目のタイヤ交換をしたレッドブルに対し、フェラーリは判断が遅れ、両者の順位は逆転する。
その後フェルスタッペンは1ストップ戦略で先行するチームメイトのガスリーをかわし、セーフティカーを利して3番手に浮上していたヴェッテルを追った。
さらに前を行く2番手のボッタスは、1回目のタイヤ交換でスタートタイヤを同じミディアムを履いており、終盤にもう一度タイヤ交換が必要な状況。実質的な2位争いは明らかにレッドブル・ホンダの方がペースが早く、30周目すぎからヴェッテルとの差は1秒前後の状況になっていく。
37周目、フェルスタッペンは鮮やかにヴェッテルをオーバーテイクし3番手に浮上する。しかし、ベッテルもすぐに反撃に転じ、次のコーナーでインを狙う。そしてここでフェラーリがレッドブルに追突する形で両者はコースアウト、ヴェッテルはノーズを痛めて入賞圏外へと去り、フェルスタッペンも5番手まで後退してしまった。
このアクシデンントに審査委員会はベッテルに対して10秒ペナルティを科したが、順位を落としたフェルスタッペンにはなんの慰めにもならず、そのまま5位でフィニッシュするしかなかった。
メルセデスAMG同士の優勝争いはセーフティカーが明暗を分ける
メルセデスAMG同士の戦いとなった優勝争いは、ポールポジションから首位を走るボッタスを、選手権リーダーの王者ハミルトンが猛追する展開。
ハミルトンはDRSを利して前に出る局面を作るものの、すぐにボッタスが抜き返し、一進一退の攻防はボッタスがタイヤ交換する16周目まで続いた。
ミディアムタイヤからミディアムタイヤへと交換したボッタスは、これで規則上もう一度タイヤ交換することになりここで2ストップが確定。これは首位を走るドライバーとしては定石だったが、一方のハミルトンはスタートタイヤのミディアムのまま走り続ける。
運命の分岐点は20周目、アントニオ・ジョビナッツィのコースアウトによるセーフィティカー出動だった。これで通常ピットストップよりタイムロスの少ないタイヤ交換が可能となったハミルトンは、すぐにピットインしてハードタイヤに交換。悠々と首位に躍り出ると、そのまま危なげなく地元イギリスGP最多6勝目のチェッカーに飛び込んだ。
これでシーズン7勝目を挙げたハミルトンは、ドライバーズ選手権でボッタスに39点差をつけることに。3年連続6度目のタイトルに向け、最強ドライバーが独走態勢を築きつつある。
前戦の優勝で注目を集めたホンダ勢は、レッドブル・ホンダのピエール・ガスリーが4位、マックス・フェルスタッペンは5位。トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトは予選17位から9位に入賞、予選9位からスタートしたアレキサンダー・アルボンは惜しくも12位となった。
次戦第11戦ドイツGP決勝は7月28日、ホッケンハイムリンクで開催される。
F1第10戦イギリスGP決勝 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 52周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+24.928s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+30.117s
4位 10 P.ガスリー (レッドブル・ホンダ)+34.692s
5位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +39.458s
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+53.639s
7位 3 D.リカルド(ルノー)+54.401s
8位 7 K.ライコネン(アルファロメオ)+65.540s
9位 26 D.クビアト (トロロッソ・ホンダ)+66.720s
10位 10 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+72.733s
12位 23 A.アルボン (トロロッソ・ホンダ)+75.617s
2019 F1ドライバーズスタンディング
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)223
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)184
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)136
4位 S.ヴェッテル(フェラーリ)123
5位 C.ルクレール(フェラーリ)120
6位 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ) 55
2019 F1コンストラクターズスタンディング
1位 メルセデスAMG 407
2位 フェラーリ 243
3位 レッドブル・ホンダ 191
4位 マクラーレン・ルノー 60
5位 ルノー 39