デザイン界の巨匠ふたりが、バウハウスとアウディを熱く語り合う
バウハウス(Bauhaus)とは世界的に有名なドイツの造形芸術学校で、2019年は創立100周年にあたる。
アウディ TTの初代は1998年に誕生し、円をモチーフに直線と組み合わされたシンプルかつ先進的なデザインで、デビュー当時はバウハウスのデザイン思想を彷彿とさせると言われた。2019年はTTの日本導入20周年にあたる。
そこで日本にもバウハウス100周年委員会が組織され、8月の新潟美術館を皮切りに国内5カ所の美術館を巡回する記念企画展「開校100年 きたれ、バウハウス —造形教育の基礎— 」が始まり、この企画展をアウディジャパンがスポンサリングしている。
さらに、このスポンサリングを記念してトークライブが開催された。一般から20組40名のオーディエンスを募ったところ、なんと300組以上もの応募があったという。
スピーカーは、デザイン評論家で武蔵野美術大学 名誉教授の柏木 博 氏と、元アウディAGのデザイナーでSWdesign代表の和田 智 氏。
まずは、柏木氏が豊富な写真や資料とともにバウハウスの歴史を語る。バウハウスのバウとは「建築」という意味で、大きな建築物を作るときの建築小屋(バウヒュッテ)から、その名が生まれたという話や、アウディは伝統からさまざまなバリエーションのモデルを生み出し、その根底にはバウハウスの思想があると興味深い話を語った。
続いて和田氏は、学生時代にバウハウス的な教育を受け、日産のデザイナーになり(初代セフィーロなどをデザイン)、英国ロイヤルカレッジ of アートに留学して、のちにアウディAGに入り、シングルフレームのA6などをデザイン。初代TTには直接は携わっていないが、その登場時のエピソードや、アウディAGを退社して独立し、現在はクルマだけでなくJINSやバルミューダなどのデザインも手がけるに至るまでのストーリーと、そこには人との繋がりやバウハウスの思想があることを熱く語った。
デザインとは新しいものや他と違うものを目指すのではなく、原点に返って見つめ直す、継承であると二人とも語る。いまのデザイナーたちがバウハウスの思想をどう解釈していくかで、今後もその思想は継承されていくだろうとトークは締め括られた。
いかにもデザインを重視するアウディらしいトークライブを、オーディエンスたちは満足そうに聞き入っていた。