510 譲りのしなやかな足が、ツインキャブの105psを支える
日産 バイオレットHT 1600SSS:昭和48年(1973年)1月発売
バイオレットはブルーバードUの下に位置するハイグレードなポピュラーカーとして、昭和48年(1973年)1月に発売された。ブルーバードの抜けた穴を埋めるモデルとして開発され、型式名710を与えられている。
これを見てもわかるように、バイオレットはブルーバード一族の末っ子モデルといえる。ボディタイプは、2ドア/4ドアのセダンとパーソナルムードを持つ2ドアHT(ハードトップ)で構成されていた。1400〜1600ccまでに31のバリエーションを用意した選択肢の広さも売りのひとつとなっていた。
610型ブルーバードとB210型サニーの中間に位置するクルマとして登場したバイオレットは、ストリームラインと呼ばれるダイナミックなプレスラインが特徴的だった。スピード感のある近代的なスタイルはスポーティなクルマであることを強調するための演出であった。
セダンは個性的なセミファストバック、2ドアHTはアイラインウインドーにファストバックを組み合わせ、ストリームラインと名付けられたウエストラインをデザインのポイントとした。
ちなみにセダン系は後方視界が悪いと不評だったため、76年2月のマイナーチェンジを機に、オーソドックスなノッチバック・スタイルに改められている。
エンジンは、ブルーバード510譲りのL型4気筒SOHCを積む。L14型エンジン(85ps)も設定されたが、主力となったのは1595ccのL16型4気筒SOHCだ。
シングルキャブ仕様(100ps)のほか、SUツインキャブ仕様(105ps)と電子制御燃料噴射EGI仕様も用意されている。
EGI仕様の1600SSS-Eは最高出力115ps/6200rpm、最大トルク14.6kgm/4400rpmを発生した。ポルシェタイプの5速マニュアルミッションを介しての最高速は170km/hだ。
SSS系はサスペンションも、前:ストラット/後:セミトレーリングアームと、510ブルーバードの形式を受け継いでいる。
サファリを制した510ブルーバードの流れをくむ710バイオレットだけに、ラリーでも大いに活躍した。74年11月にイギリスで開催されたRACラリーでは3台出走して全車完走。チーム優勝を果たした。
バイオレットHT 1600SSS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4120×1580×1375mm
●ホイールベース:2450mm
●重量:985kg
●エンジン型式・種類:L16型・直4 SOHC
●排気量:1595cc
●最高出力:105ps/6200rpm
●最大トルク:13.8kgm/4200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:6.45S-13-4PR
●価格:79万円