過酷なテストを問題なくクリアしたタイカン
イタリア南部、プッリャ州のナルドにあるテクニカルセンターは、700ヘクタール以上の広大なエリアに20以上のテストコースや施設を備える。90社もの自動車メーカーや関連会社を顧客とし、150人以上のスタッフがいるこのテクニカルセンターは、2012年からポルシェAGの完全子会社であるポルシェ エンジニアリング グループGmbHが運営している。
センターの設立は1975年。コースは円形で1周が12.6km。世界で最高の高速コースで、これまでに数多くのメーカーの車両テストに使われ、速度記録を樹立している。
タイカンはシステム電圧800Vにおよぶ、ポルシェ初の市販型フルEVスポーツカーだ。ル・マン24時間レースを3連覇したレーシングプロトタイプ、919ハイブリッドのテクノロジーがフィードバックされている。今回の耐久走行では、ポルシェ エンジニアリング グループ GmbHによる800Vのハイパワー充電ステーションが使われている。
今回、タイカンはこの高速コースを24時間で3425kmも走破した。ピーク時の気温は42度、路面温度は54度に達する暑さの中、急速充電とドライバー交替のために一時停車した以外は、タイカンは195〜215km/hという平均速度で走り抜け、耐久性の高さを証明して見せた。
ポルシェのテストドライバー6名が交替で走り、耐久性と高温気候テストの一環として品質保証テストも行われた。タイカンは高度なサーマルマネジメントシステムも備え、高電圧コンポーネントを冷却&暖機して適度な温度に保つ。これにより、過度の発熱による出力損失を防ぎ、また充電ステーションで最も効率的に充電を行うことができる。
3400kmといってもピンとこないかもしれないが、東京から広島までを「2往復」したような距離、といえばなんとなく分かるだろうか。これを24時間で走ってしまったのだ。
また、高速走行テストとは別に、7月には0→200km/h加速を26回以上連続して行うというテストもしている。平均加速タイムは10秒を切っており、最速タイムと最遅タイムの差は0.8秒だった。タイカンのパワートレーンは、短い間隔で加速を繰り返しても最高のパワーを発揮できることを証明している。
2019年9月4日に発表予定のタイカンは、年末に市場投入されるまでに世界中で600万km以上のテストを完了することになるという。気になる日本導入だが、2019年内には日本でも発表され、2020年半ばまでには発売される予定だ。