どのような姿勢でラリーに挑戦するのか?それが課題だった
ラリーに参戦する方法はいくつかあります。例のポルシェ貯金を持って、どこかのラリーチームに乗せてくださいとお願いに行く。ラリーの経験のない私にとっては、これが正攻法だったかもしれません。
でも「もうドライバーとして育ててもらう年齢じゃないしなぁ…」。それに「私がラリーに参戦するんだったら、何か意味のあることをしたい」と考えました。
そう、長年クルマやモータースポーツに関わってきた私は、僭越ながら何か恩返しがしたいという気持ちがあったんですね。それに長年クルマ業界に携わってきて「日本はこんな小さな島国なのに、こんなに数多くの自動車メーカーがある。ネジ1本まで入れたら、クルマを生業にしている方はたくさんいる。なのに、クルマもモータースポーツも文化として認められていない。こんな国は世界中探してもどこにもない! ならば、クルマとモータースポーツを日本の文化にしたい。これで行こうじゃないか」と思いました。
「この年齢から新しいことにチャレンジするのはとっても大変なことだ。それをあえてやろうっていうんだから、その涙あり笑いありの姿を、いくつになってもチャレンジはできるんだよっていう姿を見てもらって、それが誰かの勇気につながればいいな」とも思いました。
悩んだ末にラリーチームを立ち上げることに
結果的に私が取った行動は、自分でラリーチームを立ち上げてラリーに挑戦するという方法でした。レーシングチームの名前は「圭rally project」。モットーは「いくつになってもチャレンジはできる」「クルマとモータースポーツを日本の文化にしたい」の2本立て。
「眠れなくなるほどの大きな夢を、竹岡圭と一緒にみてください!」とお願いし、サポーターを募り、ラリーへの参戦になんとかこぎつけたのが2016年の秋のこと。
まずは経験値を積むためにそこからいくつかのラリーにチャレンジし、みなさまのアドバイスを鑑み、紆余曲折を経て、2017年スポット参戦ながら全日本ラリー選手権へと参戦することができたんです。
2017年はアバルト500ラリーR3Tという、WRC(世界ラリー選手権)にも参戦できる超ラリーマシンで参戦。2018年はアルファロメオ・ジュリエッタをラリーカーに仕立てて参戦。そして迎えた3年目。2018年はVWポロGTIで参戦しています。
まぁ、かなり端折りましたけど(笑)、AT限定免許でも運転できる2ペダルMTのDSGを搭載したマシンを選び、足回りとブレーキを変えて、ロールバーを始めとするラリー参戦における安全規定を満たす改造を施し、つまりエアコンも、プリクラッシュセーフティシステムも、ESCも、オーディオも、ナビもついたまんまのほぼノーマルカーで、先日、秋田県の横手大会に参戦してきました。
2019年の全日本ラリー選手権は全10戦の内の第7戦出場となり、これまで新城、モントレー、カムイ、横手と4戦しています。これからはこのお話をまずすることにします。ここまでのドタバタについては、折を見てまたお話していきますね。<続く>(文:竹岡 圭/写真:原田 淳)