シトロエンが初めて世に送り出したSUV、C5エアクロス SUV(以下、C5エアクロスと略)が日本に導入された。最新のサスペンションを搭載した、その乗り心地はどのようなものだろうか。

このスタイルが気に入れば、オススメしたい!

画像: バンパーやエアバンプの赤い刺し色はカラーパックのオプション。

バンパーやエアバンプの赤い刺し色はカラーパックのオプション。

世界的なSUVブームの波は、ついにフランス車にまで押し寄せてきた。ほんの数年前まで、フランス製のSUVなんて皆無に近かった。オシャレなフランス人は、どちらかといえばスタイリッシュとは呼びにくいSUVなんてドイツのメーカーに任せて、自分たちは美しいクルマを作るのだ…と考えているのかと思っていたら、ここのところ、ルノー(キャプチャー、カジャー)、プジョー(2008、3008、5008)、さらにはDS(7クロスバック)と、立て続けにSUVがデビュー。そしてついにシトロエンも、その100年の歴史上初となるSUV「C5エアクロス」をデビューさせた。

ところで、フランス製のSUVには共通点がある。それは、ほとんどの車種が4WDではなくベースのFWD(FF)のままだということ。多くの担当者に聞いてみると、「良くできたトラクションコントロールを備えて、最新のスタッドレスタイヤを履いて、十分なロードクリアランスがあれば、豪雪地帯でない限り走破性に問題はないから」だそうだ。4WDでなくても十分、むしろほとんど使わない重い駆動系を引きずるのはムダという、いかにも合理的なフランス人らしい考え方だ。

画像: Cピラー部もスモークウインドーになっていて後方視界を広げている。

Cピラー部もスモークウインドーになっていて後方視界を広げている。

話をC5エアクロスに戻そう。ヨーロッパではデビュー以来3万台以上を販売している、CセグメントのSUVだ。実車を見たとき「Cセグメントにしては大きくない?」と思ったが、全長は4.5mしかなく、サイズ以上に大きさを感じさせる。

そのスタイルは、2014年にデビューしたC4カクタスから始まった新しいシトロエンのデザインを踏襲している。ダブルシェブロンのエンブレムを強調した2段のフロントグリルをはじめ、サイドビューもリアビューも独特のデザインだ。パッと見は引いてしまいそうだが個性的だし、ジックリ見ていくと凝ったディテールに、ハマる人は気に入ってしまうだろう。

SUVらしい、ちょっと高めのコクピットに着く。正面のメーターは12.3インチのディスプレイで、情報表示はカスタマイズできる。フランス車らしくデザインは凝っているが、思ったよりは見やすい。本革シートはオプションだが、インテリアのクオリティは高い。

画像: 177psと400Nmを発生する2Lのディーゼルターボは十分トルクフル。

177psと400Nmを発生する2Lのディーゼルターボは十分トルクフル。

日本仕様のC5エアクロスは、2.0LのブルーHDiと呼ばれるディーゼルターボエンジンを搭載し、ミッションは8速のトルコンATと組み合わされる。エンジンをかけて走り出す。最近のディーゼル車は、室内ではあまり独特のサウンドが聞こえにくいので、黙って乗っているとディーゼルと分かりにくいのだが、このクルマはけっこうガラガラ音が聞こえ、むしろディーゼルであることを主張しているように思える。だがそのサウンドはけっして不快なレベルではなく、力強ささえ感じさせてくれる。

2000rpmで最大トルクの400Nmを発生するだけあって、少しアップダウンの多い試乗地でも余裕の走りを見せる。かといって発進時のゲインは必要以上に高くないから、スムーズにスッとスタートする。停止時にはアイドリングストップもするから、市街地燃費も伸びそうだ。

画像: 質感の高いインテリア。センターダッシュに8インチのタッチスクリーンも備わる。

質感の高いインテリア。センターダッシュに8インチのタッチスクリーンも備わる。

ところで、C5エアクロスには「現代のハイドロニューマチック」と形容される新開発のPHC(プログレッシブ・ハイドロリック・クッション)と呼ばれるサスペンションが採用されている。パリ〜ダカなどで培われたテクノロジーをフィードバックしたもので、詳しい解説は省略するが、ダンパーのシリンダー構造を二重にすることで、悪路でも優れた乗り心地をもたらしている。

確かに、オンロードはもちろんのことオフロードではリアシートに乗っていたのだが、不正路面の突き上げなども、いなし方は優しくパッセンジャーに不快感を与えない。この乗り味は、ぜひ一度試してみてもらいたい。ハンドリングも外観から想像されるより軽快だ。

独特のエクステリアに質感の高いインテリア、おとな3人がちゃんと座れるリアシート、使い勝手の高いラゲッジスペース、トルクフルなエンジンに乗り心地の良いサスペンション。安全装備も充実している。CセグメントのSUVは国産、輸入車ともライバルは多いが、シトロエンのフラッグシップSUVと謳うだけのことはある。人と違ったCセグメントのSUVをお探しなら、まずは試乗して見るといいだろう。(文:篠原政明/写真:井上雅行)

画像: オフロード走行でも乗り心地がいいのは特筆ものだ。

オフロード走行でも乗り心地がいいのは特筆ものだ。

試乗記一覧

シトロエン C5エアクロス SUV 主要諸元

●全長×全幅×全高:4500×1850×1710mm
●ホイールベース:2730mm
●重量:1670kg
●エンジン種類:直4 DOHCディーゼルターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:130kW<177ps>/3750rpm
●最大トルク:400Nm<40.8kgm>/2000rpm
●トランスミッション:8速AT
●タイヤサイズ:235/55R18
●8%税込み価格:424万円(ナッパレザーパッケージオプションは税込36万円)

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