2019年9月12~15日、 WRC(世界ラリー選手権)第11戦ラリートルコが地中海沿岸のリゾート地のマルマリスをベースに開催され、王者セバスチャン・オジェがシーズン3勝目をあげた。2位にはエサペッカ・ラッピが入り、シトロエンが1-2フィニッシュを達成。トヨタはヤリ-マティ・ラトバラの6位が最上位に終わった。(写真は優勝したシトロエンのセバスチャン・オジェ)

パンクとトラブルでトヨタは大苦戦

前戦ラリー・ドイツェランドでWRC復帰後初となる1-2-3フィニッシュを果たしたトヨタにとっては散々なラリーとなった。

昨年からWRCカレンダーに復帰したラリートルコは、シーズンでもっともラフな路面と言われ、低速&ツイスティなステージが続くイベント。トヨタは昨年オィット・タナックが優勝したものの、純粋なスピードという面ではライバルに太刀打ちできず、最後まで生き残ったことで得た勝利だった。今年は昨年の轍を踏まぬようサスペンションのセッティングなどに慎重を期して臨んだが、ライバル以上の不運とトラブルに見舞われ3台揃って下位に沈んだ。

ポイントリーダーとして臨んだオイット・タナックは金曜日をもっとも不利な先頭スタートで臨むため苦戦が予想され、チャンピオン争いを考えて無理をしない戦略で臨んだが、午後にパンクに見舞われて上位争いから脱落。さらには土曜日にECUのトラブルからヤリスWRCがロードセクションで動かなくなり、まさかのリタイアを喫してしまう。日曜日に再出走して最終パワーステージでベストタイムを奪ってボーナスポイント5点は確保したものの、選手権争いでは築いていたリードが大きく削られる結果となってしまった。

チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラも金曜日にパンクしてこちらも優勝争いから脱落、昨年は不出場でこのラリー初参戦となるクリス・ミークもペースが上がらず、2台のヤリスWRCはマニュファクチャラーズ選手権を争うヒュンダイ2台の後塵を排したまま、6、7位でフィニッシュ。ドイツの1-2-3フィニッシュで7点差まで縮まっていた首位ヒュンダイとトヨタのポイント差は19点に広がって残り3戦を迎えることになった。

画像: オイット・タナック(トヨタ)はまさかのリタイア。5ポイントを獲得したものの、痛い敗戦となった。

オイット・タナック(トヨタ)はまさかのリタイア。5ポイントを獲得したものの、痛い敗戦となった。

シトロエン&オジェ復活勝利、ドライバーズ選手権再び緊迫

7年連続王者を目指すオジェが、シーズン終盤にきて追撃態勢に入った。シトロエンC3 WRCは、前戦ドイツのターマック(舗装路)ではバランスが悪く、オジェも「こんなクルマ、ドライブできない」と不満を漏らしていたが、シトロエンが伝統的に得意とするホット&ラフイベントでは見違えるほどのパフォーマンスを発揮。

オジェは3番手スタートで不利が予想された金曜日にチームメイトのラッピに次ぐ2番手と好位置につけ、土曜日に逆転首位へ。金曜日終了時点で3番手につけていたヒュンダイのティエリー・ヌービルが土曜日に転倒を喫して優勝争いから脱落したことで、シトロエンのふたりは3位以下に1分以上の大差をつけて1-2体制を築くことになった。なお、3位にはヒュンダイのアンドレアス・ミケルセンが入っている。

大量リードに守られたオジェは日曜日も悠々と走ってフィニッシュ。最終パワーステージでも3位=3点のボーナスポイントを獲得し、ポイントリーダーであるタナックとの差を一気に17点にまで縮めて射程圏内に捉えた。フィニッシュ直後のオジェは前戦までの辛口評価から一転。「C3は満足できる出来だった。この勝利は残りの3戦のブーストになる」と逆転でのタイトル連覇へ意欲を見せた。

画像: 第11戦ラリートルコを制したシトロエンのセバスチャン・オジェ(左)とジュリアン・イングラシア。

第11戦ラリートルコを制したシトロエンのセバスチャン・オジェ(左)とジュリアン・イングラシア。

2019 WRC第11戦ラリートルコ 結果

優勝 1 S.オジェ (シトロエン C3 WRC) 3h50m12.1s
2位 4 E.ラッピ (シトロエン C3 WRC) +34.7s
3位 89 A.ミケルセン (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m04.5s
4位 3 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC) +1m35.1s
5位 6 D.ソルド(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+2m25.9s
6位 10 J.ラトバラ(トヨタ ヤリス WRC) +2m59.1s
7位 5 K.ミーク (トヨタ ヤリス WRC) +3m53.3s
8位 11 T.ヌービル(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +5m34.8s
9位 7 T.ティディマンド (フォード フィエスタ WRC) +7m22.9s
10位 22 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ R5 Mk.II) +15m18.7s

2019 WRCドライバーズランキング

1位 O.タナック (トヨタ ヤリス WRC) 210ポイント
2位 S.オジェ(シトロエン C3 WRC) 193ポイント
3位 T.ヌービル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 180ポイント
4位 A.ミケルセン(ヒュンダイ i20クーペ WRC) 94ポイント
5位 K.ミーク (トヨタ ヤリス WRC) 86ポイント

2019 WRCマニュファクチャラーズランキング

1位 ヒュンダイ 314ポイント
2位 トヨタ 295ポイント
3位 シトロエン 259ポイント
4位 M スポーツ フォード 184ポイント

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