唯一のチャンスを活かしてメルセデスAMGが逆転の1-2
予選で圧倒的な速さを見せたフェラーリを前に、ハミルトンの2番グリッド確保がやっとという状況だったメルセデスAMG。決勝レースを見据えてQ2でミディアムタイヤを選択していたことが、なんとか奏功した。
決勝レースの序盤でハミルトンは、セバスチャン・ヴェッテルとルクレールの1-2走行を後方から眺めることしかできない状況だった。しかし、ソフトタイヤを履いたフェラーリの2台がタイヤ交換をしている間に、ミディアムタイヤのハミルトンとボッタスが先行するという予定どおりの展開に。
するとその直後、タイヤ交換を終えたヴェッテル車にMGU-K(モーター/発電機)のトラブルが発生し、コース上にストップする事態に発展した。これでVSC(バーチャルセーフティカー:全車一定の速度まで落として走る義務がある)が発動され、その時間を利用してメルセデスAMGの2台はタイヤ交換。タイムロスを最小限に抑えて、ハミルトンはルクレールの前でコースに戻ることに成功したのだ。
主導権を奪われたフェラーリはもう一度ルクレールをピットインさせてソフトタイヤを再装着、逆転を狙ったがボッタスにも先行されて3位へ後退してしまう。新品のソフトタイヤでもメルセデスAMGを逆転することはできなかった。
こうしてチームメイトのボッタスに守られたハミルトンが悠々と今季9勝目のトップチェッカーを受けた。
それにしてもフェラーリの戦いぶりは、どうもちぐはぐだった印象だ。決勝スタート直後、トップに立ったヴェッテルは2位のルクレールと順位を入れ替える指示に従わず、アンダーカットで順位を落とすと、その直後にヴェッテルがストップしてセーフティカー導入のきっかけを作ってしまい、みすみすメルセデスAMGに有利な状況を作ってしまった。
今後、ルクレールとヴェッテルへのチームオーダー、ふたりの関係はどうなっていくのか。このままでは、圧倒的な速さを持ちながらも共倒れになってしまう可能性がある。
戦略的グリッド降格から大きく順位を挽回したレッドブル・ホンダ
ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルとトロロッソは今回、あえてグリッド降格ペナルティを受けて次戦の日本GP用のフレッシュなパワーユニットに交換する戦略に出た。
9番手グリッドからスタートしたレッドブルのフェルスタッペンは、前を行くルノーとレーシングポイント、マクラーレンを仕留めて5番手に浮上。ヴェッテルのリタイアで、さらにひとつ順位を上げて4位でフィニッシュした。
予選でクラッシュしたチームメイトのアルボンはピットレーンからのスタートとなったものの、VSCのタイミングにも助けられて次々と前走車をかわし、5位でフィニッシュ。2台揃って入賞するという、まずまずの好結果を得た。
ただし純粋な速さという面で、上位2チームとの実力差が改めて浮き彫りになったレースでもある。予選・決勝ともにメルセデスAMGとフェラーリに水を開けられ、日本GPで勝つためには、もう一歩前に進む必要がありそうだ。次戦の鈴鹿で投入される予定の新燃料によるパワーアップに期待したい。
その第17戦日本GPは2019年10月13日、三重県の鈴鹿サーキットで開催される。
2019 F1第16戦ロシアGP決勝 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)53周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+3.829s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+5.212s
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+14.210s
5位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+38.348s
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+45.989s
7位 11 S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス)+48.728s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+57.749s
9位 20 K. マグヌッセン(ハース・フェラーリ)+58.779s
10位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+59.841s
12位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)
14位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)
2019 F1ドライバーズスタンディング
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)322
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)249
3位 C.ルクレール(フェラーリ)215
4位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)212
5位 S.ヴェッテル(フェラーリ)194
6位 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ) 69
2019 F1コンストラクターズスタンディング
1位 メルセデスAMG 571
2位 フェラーリ 409
3位 レッドブル・ホンダ 311
4位 マクラーレン・ルノー 101
5位 ルノー 68
6位 トロロッソ・ホンダ 55