1985年のインターTECで3位に入ったのが、ハルトゲBMW635CSiだ。BMW635CSiは、1983年のETCでチャンピオンを獲得し、1984年にはシリーズ2位となっている。ハルトゲ仕様のこのマシンは全日本ツーリングカー選手権を戦うためにオートビューレックモータースポーツが投入したものだ。

歴戦の貫禄! 全日本ツーリングカーレースにBMW635CSiが参戦

画像: エンジンはBMW自慢のストレート6。官能的なエキゾーストノートを響かせて1985年インターTECで快走した。

エンジンはBMW自慢のストレート6。官能的なエキゾーストノートを響かせて1985年インターTECで快走した。

当時、ヨーロッパのグループAレースで活躍していたBMW635CSiが日本に登場した。このマシンは速さはもとより美しさが際立つマシンでもあった。2ドアクーペのボディに搭載されたエンジンは、3.4L 直6 SOHCでボア×ストロークは92.5mm×86.0mm。ノーマルでは218ps/5200rpm、31.0kgm/4000rpmだが、グループA仕様となったエンジンは、296ps/6800rpm、35.0kgm/6000rpmの性能を発生した。当時のライバルであるボルボやスタリオンがターボなのに対して、高回転型NAで対抗したのも対照的だった。

サスペンションはフロントがダブルジョイントスプリングストラットでリアが強化セミトレーリングタイプとなっている。これは基本形式は変えられないグループAレギュレーションに則ったものだ。

画像: 当時のレーシングマシンとしては大柄な部類だったが、熟成されたサスペンションやグループC譲りのブレーキなど信頼性の高さが武器だった。

当時のレーシングマシンとしては大柄な部類だったが、熟成されたサスペンションやグループC譲りのブレーキなど信頼性の高さが武器だった。

ブレーキは前後ベンチレーテッドディスクだが、とくにフロントには、グループCで使われていた320mm径のロッキード製ベンチレーテッドディスクが採用された。耐久レースでは、このストッピングパワーは大きな武器となる。タイヤサイズはドライで265/600-16、ウエットでは245/600-16、ホイールサイズは9.5J-16だ。

画像: インターTECではストレートスピードではライバルに及ばないものの、弱オーバーでコーナーを抜ける姿に多くのファンが魅せられた。

インターTECではストレートスピードではライバルに及ばないものの、弱オーバーでコーナーを抜ける姿に多くのファンが魅せられた。

車両重量はノーマルの1500kgから1150kgまで軽量化されていた。エンジンパワーで強引に速く走るというイメージよりも、レースを知り尽くして作られた全体的なパッケージングの良さで走るタイプのマシンと言えるだろう。

画像: 車両重量はノーマルの1500kgから1150kgまで軽量化。室内には張り巡らせたアルミロールケージが見える。

車両重量はノーマルの1500kgから1150kgまで軽量化。室内には張り巡らせたアルミロールケージが見える。

オートビューレックが輸入したハルトゲBMW635CSiは1985年の全日本ツーリングカーレースから長坂尚樹、茂木和男の両選手のドライビングにより参戦を開始した。開幕戦のスポーツランドSUGOではクラッシュリタイアを喫したが、第2戦の筑波サーキット、第3戦の西日本サーキットと連勝。第4戦で4位という結果で最終戦のインターTECを迎えた。

画像: オートビューレックが持ち込んだハルトゲBMW635CSiは長坂尚樹(右)、茂木和男(左)の両ドライバーにより1985年の全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンとなった。

オートビューレックが持ち込んだハルトゲBMW635CSiは長坂尚樹(右)、茂木和男(左)の両ドライバーにより1985年の全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンとなった。

高速コースの富士スピードウェイということもあり、予選ではボルボ240ターボやスタリオンに遠く及ばず8番手。ただ、信頼性は抜群でストレート6の快音を響かせながら走り抜き、ボルボ240ターボに次ぐ3位となった。これによって同年の全日本ツーリングカー選手権のチャンピオンとなっている。

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