1954年、東京モーターショーの前身である「全日本自動車ショウ」が開催されてから、2019年で65年が過ぎた。そんな東京モーターショーの歩みを、当時のニューモデルやコンセプトカーなど、エポックメイキングなモデルを軸に紹介する。今回は1999年の第33回ショーを振り返ってみたい。

20世紀最後の乗用車・2輪車ショーに先進技術が数多く出展

1999年の第33回ショーは乗用車・2輪車ショーとなり、商用車ショーは偶数年に開催されることになる。第33回ののテーマは「未来発走。くるまが変わる。地球が変わる。」。20世紀最後の乗用車・2輪車ショーだけに、環境・安全・ITSといった先進技術が各社から出展。なかでも燃料電池車がトヨタ、ホンダ、ダイハツ、三菱、マツダなどから登場して注目されている。ハイブリッドカーは国産乗用車では5社から出品され、一時話題となった3リッターカー(100km走行するのに燃料を3リッターしか消費しない=約33.3km/L)も登場した。高級コンバーチブル「LEXUS Sports Coupe」を出展し、レクサス ブランドを国内初披露したのもこのショーだった。

■マツダ RX-EVOLV(タイトル写真)

RX-EVOLV(エボルブ)はマツダブランドのイメージリーダーカーとして、全く新しい4シータースポーツカーの世界を提案するコンセプトカーだ。マツダが一貫してこだわり続ける“操る楽しさ”を実現するため、最適なボディサイズ、徹底した軽量化、FRレイアウト、前後重量配分50:50、ヨー慣性モーメントの低減という5つの要素を「マツダスピリテッドDNA」として受け継いでいる。これらの要素を全て満たすことを可能にしたのが、新たに開発したコンパクトなロータリーエンジン「RENESIS(レネシス)」だ。

RENESISの採用により、RX-7とほぼ同サイズながらセンターピラーレス構造のフリードアシステムを開発し、大人4人が快適にドライブを楽しめる居住空間を確保しつつ、スポーツカーとしての卓越した運動性能を同時に実現した。RENESISは自然吸気でありながら最高出力280ps/最大トルク23.0kgm(目標値)を発生。新世紀の要件であるLEV(国内)排気基準も達成し、アイドリングから高速域に至る全域燃費を大幅に改善している。また、ドライバーの技量に合わせたエンジン性能の制御(IDアクセスシステム)や左右のブレーキを独立制御するアクティブコーナリングブレーキシステムなど、さまざまな機能を盛り込んでいる。

画像: RX-EVOLVに採用された観音開きのドアは、市販版のRX-8にも引き継がれた。

RX-EVOLVに採用された観音開きのドアは、市販版のRX-8にも引き継がれた。

■ホンダ スポーケット

「スポーツ」とユーティリティ「ポケット」の合成語を車名にしたスポーケットは、クルマを高機能ギアへと進化させた2by2スポーツとしてデザインされた。単なるクルマを超えた“アクティブな高機能ギア”を現実の形に収斂させるため、新世代デザイン、気分に合わせて自在にスタイルを変化させる変幻自在なユーティリティ機能、4WDによるFun & Futureが盛り込まれている。

全長4270×全幅1780×全高1280mmのワイド&ローなボディはチルトアップドアでスポーツイメージを強調。駆動は前輪をエンジンで、後輪をインホイールモーターで駆動する電動4WDが採用された。車体の変態は、ルーフを後方にスライドさせるとオープン2座になるマルチユース・ムービングルーフ、カーゴフロアの前部を電動で立ち上げ、リアバルクヘッドを倒すとリアシートが出現し2by2スポーツになるバーサティリティリアシート、そのリアシートを倒せば広々としたカーゴフロアが生まれるムービングカーゴフロアなどのアイディアが満載されているのも見どころだ。

画像: 次期CR-Xのデザインスタディかと噂された、ホンダ スポーケット。

次期CR-Xのデザインスタディかと噂された、ホンダ スポーケット。

■トヨタ セリカ・クルージングデッキ

1999年9月にデビューしたばかりの7代目 T230型セリカをベースに開発された、マルチパーパスビークル。ドアから後ろの部分をピックアップ風に改装して、嵩張るレジャー用アイテムが搭載できるようにしたほか、ヒッチボールを装着してトレーラーを牽引することも可能だ。2人乗りのキャビン部と、リアのオープンデッキ部は昇降するガラスを収納した隔壁によって仕切られていて、通常はフラットフロアのラゲッジスペースだが、フロアを起こし隔壁を後方に倒すと2名分のランブルシートが出現し、2+2のオープンエア感覚が満喫できる趣向になっている。リアスポイラー部には2名分のリトラクタブルヘッドレストが装着されるなど、安全面の配慮も欠かさない。FFのパワートレーンはベースとなったセリカと同じで、フロントに横置きした1.8Lの2ZZ-GE VVTL-iと、1~5速をクロスレシオにした6速MTを組み合わせる。走りより楽しい使い方を提案するショーモデルだった。

画像: セリカのボディ後半をカスタマイズした、トヨタ セリカ・クルージングデッキ。

セリカのボディ後半をカスタマイズした、トヨタ セリカ・クルージングデッキ。

■ホンダ 不夜城

これこそが究極のコンセプトカー、と登場時に話題になったモデル。「不夜城」という名前も見た目も、まさに度肝を抜かれた1台だった。「スケボー感覚の軽いのりで夜を徹して遊ぶニュージェネレーションビークル」というコンセプトで生まれた。タテの空間を存分に生かしたスケートボードフォルムのハイト&ショート 4シーターで、4つの独立したセミ スタンディングのシートに、メタル感覚のインテリア素材を使用している。クルマというよりも、移動する部屋といった感覚だろう。

画像: まさに究極のコンセプトカーといった雰囲気の、ホンダ 不夜城。

まさに究極のコンセプトカーといった雰囲気の、ホンダ 不夜城。

懐かしの東京モーターショーバックナンバー

This article is a sponsored article by
''.