メカニズム的にも注目される「マイテックコンセプト」
三菱自動車は10月23日にプレスカンファレンスを開催し、加藤隆雄代表執行役CEOが「三菱自動車はCASEの中でも電動化技術、とくにPHEVを得意としており、アウトランダーは世界で最も累計販売台数が多いSUVタイプのPHEVとして評価をいただいています。これからもPHEVカテゴリーをリードすべく、さらなるバリエーションの拡充を推進していきます」とスピーチ。
続いて、グプタ・アシュワニCOOが「三菱自動車独自の技術に加え、アライアンスにおける多様な電動化技術を活用することで、電動車のラインナップを拡充していきます。具体的には2022年までにミッドサイズSUV、コンパクトSUVに、いずれかの電動化技術を採用した新型車を投入する計画です。今後軽自動車を含め電動化を進めていきます」とアピールした。
そうした動きを示唆するモデルとして、今回公開されたのがスモールサイズの電動SUVコンセプトカー「マイテックコンセプト(MI-TECH CONCEPT)」。バッテリーEVの航続距離の問題を解決する画期的なPHEVだが、構成要素が多いためシステムのコンパクト化が難しく、これまでスモールサイズのPHEVは存在しなかった。そこで「マイテックコンセプト」では、将来に向けた技術として軽量コンパクトなガスタービンエンジンを開発、ガソリンだけでなく灯油やアルコールなど様々な燃料に対応可能で、クリーンな排出ガス、高い静粛性も大きなメリットとなりそうだ。
「環境意識の高まりとともに、ダウンサイジングが進んでいるが、小さなクルマであっても、もっと遠くに行きたい」というニーズは大きくなっており、このコンセプトは注目を集めるに違いない。
また、「マイテックコンセプト」に搭載される「クアッドモーター(Quad motor)4WDシステム」も話題になりそうだ。これは、モーター2基で構成する「デュアルモーターAYC」を前輪と後輪それぞれに搭載した三菱自動車独自技術の4モーター方式で、三菱自動車が誇る車両運動統合制御システム「S-AWC」を使っている。
従来の前後2モーター式では左右間のトルク差をブレーキで調整していたが、今回の方式では4つのモーターがそれぞれの車輪に最適なトルクを発生させることができるため、瞬時にかつ効率的に駆動力を伝えることが可能となる。
三菱自動車からのもうひとつの提案が「スーパーハイト軽ワゴンコンセプト(SUPER HEIGHT K-WAGON CONCEPT」。グプタ・アシュワニCOOが「三菱自動車にとって軽自動車は国内販売の過半数を占める重要なカテゴリーであり、スーパーハイトワゴンはとくに激戦区です。ekクロス、ekワゴンに続く、新世代軽自動車の第2弾の位置付けであり、2019年度の発売を計画しています」と語るモデルである。
その特徴は、このカテゴリーに求められる性能と機能を盛り込みながら、クラストップレベルの広々とした居住空間を実現し、三菱自動車らしいSUVテイストのデザインとしたこと。「いろいろなところに行ってみたい、もっと遠くまで行ってみたい」というドライバーの気持ちに応える新世代のスーパーハイト軽ワゴンとしている。ショー会場でチェックしてみたいモデルだ。
このほか、2019年のジュネーブモーターショーで注目を集めたミッドサイズの電動SUV コンセプトカー「エンゲルベルク ツアラー(ENGELBERG TOURER)」も出展。このモデルはツインモーター4WD方式のPHEVのコンセプトカーで、東京モーターショーでも人気を呼びそうだ。
また、東京モーターショー2019の三菱自動車ブースでは、コンセプトカー「マイテックコンセプト」を様々な角度や距離から見ることができるVR(ヴァーチャル・リアリティ)展示や、家庭への電力供給も可能な「電動DRIVE HOUSE」の紹介に加え、アウトランダーPHEVやエクリプスクロスなど、市販モデル13台の展示も行われる。
三菱自動車のメインブースは東京ビッグサイト西館に設けられているが、そのほかにも、東京ビッグサイト新館(青海展示棟)、MEGA WEB、シンボルプロムナード公園でも展示を行う。東京モーターショーの一般公開は10月25日から11月4日まで。