2020年1月2日、スバルは米国ボーイング社にボーイング787型機の中央翼ワークパッケージを出荷。これは生産累計1000機目にあたるものだ。(タイトル写真はイメージです)

中央翼とは左右の翼と胴体をつなぐ重要なパーツ

クルマ好きならご存じだろうが、スバルの前身は第二次大戦中の名戦闘機「隼」などを製作した中島飛行機。その流れを受け継いで、現在もスバルには航空宇宙カンパニーという部署がある。ここでは、回転翼機(ヘリコプター)や無人機、そして固定翼機の主翼開発などが行われている。

ボーイング787(以下、787と略)は、アメリカのボーイング社が開発・製造した新世代の双発中型ジェット旅客機で、愛称は「ドリームライナー」。世界で初めて主要構造に炭素繊維複合材(CFRP)を適用し、日本では2011年から就航している。

画像: ボーイング787「ドリームライナー」。このカラーリングはイメージで、残念ながら実際には就航していない。

ボーイング787「ドリームライナー」。このカラーリングはイメージで、残念ながら実際には就航していない。

その787の、左右の翼と胴体をつなぐ中央翼と呼ばれる部分をスバルが製作している。中央翼ワークパッケージとは、中央翼と主脚格納部を組立結合した出荷形態のこと。ちなみに、主翼は三菱重工、胴体の一部は川崎重工が製造するなど、日本をはじめ世界各国の多くのメーカーが開発・製造に携わっている。機体構造の50%がCFRP製で、従来のアルミやチタンなどの合金が主体の機体より軽く剛性も高い。

スバルが製作している中央翼は機体の中心に配置され、長さ約9m×幅約6m×高さ約6mと大きなもの。左右は外翼、前後は胴体と結合され、上部は中部胴体の床面となり、後部は主脚収納部、内部は燃料タンクとなっている複雑な構造だ。東レ製の炭素繊維を用いたCFRPを100枚以上も積み重ねて作られ、CFRPとアルミ合金は接着しないため、間にチタンを挟んで結合される。数百トンもの大荷重にも耐える軽量構造設計で、内部の燃料タンクは万全の液密&耐雷設計がなされている。

画像: 機体中央の青い部分が中央翼だが、これはイメージ画像で実際にはもちろん着色されていない。

機体中央の青い部分が中央翼だが、これはイメージ画像で実際にはもちろん着色されていない。

さて、スバルでは2007年1月10日に初号機を出荷してから12年11カ月で生産累計1000機を達成した。出荷に先立ち、2019年12月18日に中央翼の組み立てを行っている愛知県半田市のスバル航空宇宙カンパニー半田工場で、ボーイング社とともに完成記念式典が行われた。

スバル航空宇宙カンパニーでは、787の中央翼だけでなく、大型旅客機「ボーイング777」、その後継機となる次世代大型旅客機「ボーイング777X」、そして防衛省の「P-1哨戒機」と「C-2輸送機」の中央翼を生産している。以前に当サイトでも紹介したが、ヘリコプターをベル社と共同開発もしている。また、レーシングカーの空力やCFRPパーツには、航空機の技術がフィードバックされている。飛行機づくりに裏打ちされたスバルのクルマづくりは、今後も大いに期待できそうだ。

画像: 2018年12月18日に愛知県の半田工場で行われた完成記念式典の記念写真。

2018年12月18日に愛知県の半田工場で行われた完成記念式典の記念写真。

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