2019年10月1日より、自動車の税制が変更された。自動車取得税廃止の代わりに環境割りを導入して、消費増税による負担増が最小限に抑えられた。またエコカー減税は2019年9月30日で一部廃止となったがその一部は、まだ適用期間を過ぎていない。どのような税金が、いつまでエコカー減税を適用されるのだろうか。

自動車取得税の廃止により、2020年2月時点の減免対象は自動車重量税のみ

ここ数年、クルマ選びの決め手のひとつになっていたエコカー減税。排出ガス性能と燃費性能の優秀な車両に対して、自動車取得税と自動車重量税を減免する制度だった。しかし2019年10月1日の税制改正で自動車取得税が廃止となり、新たな税制といえる「環境性能割」が導入された。さらに、2019年10月1日以降に新車登録された車両は自動車税も引き下げられ、小排気量車ほど軽減額が大きくなった。

減免割合は、基準となる排出ガス規制と燃費基準の達成度により異なる。対象となる乗用車はEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)、PHEV/PHV(プラグインハイブリッド車)、クリーンディーゼル車などの次世代車と、天然ガス車となる。HV(ハイブリッド車)やガソリン車は排出ガス性能によって「平成17年排出ガス規制75%低減」または「平成30年排出ガス規制50%低減」のどちらかの達成と、最新燃費基準である「令和2年度燃費基準」の達成でエコカー減税対象車となる。軽減率は次世代車と天然ガス車が免除、それ以外は令和2年度燃費基準「達成」と「+10%」で25%減税、「+20%」と「+30%」で50%減税、「+40%」以上で免税だ。

画像: 2020年度(令和2年度)燃費基準を達成した車両に貼られるステッカー。

2020年度(令和2年度)燃費基準を達成した車両に貼られるステッカー。

自動車重量税は車両の購入時と車検時に課税されるが、あらたな減免措置は新車購入時と初回車検時の2回に適用される。さらに、「次世代車」と「次世代車以外で令和2年度燃費基準を+90%達成した車両」は、2回目車検時の自動車重量税が免除となる。

注意すべき点は、エコカー減税の有効期限が来年の2021年4月30日までだということ。もし2020年1月にエコカー減税対象車を新車購入した場合、購入時の自動車重量税は減免される。しかし、2023年1月の初回車検では、エコカー減税の対象にならず自動車重量税であっても減免されない。エコカー減税そのものが、2023年には存在しない公算だからだ。

初回車検や2回目車検を2021年4月30日までに迎えるエコカー減税対象車を所有している場合であれば、車検時の自動車重量税の軽減を予定どおりに受けることができる。

では2021年5月1日以降の自動車重量税に減免はあるのかといえば、現時点では不明だ。しかし昨今の自動車にかかる税金が軽減されている流れを見れば、エコカー減税が終了しても何らかの軽減制度が創設されると考えられる。

画像: エコカー減税の有効期限を表した図。

エコカー減税の有効期限を表した図。

中古車もエコカー減税の対象になるのか?

世界初となる量産HV乗用車の誕生から二十数年が過ぎた。中古車市場でもHVのみならず、EV、PHEV/PHV、クリーンディーゼル車など次世代車が流通している。では、新車時にエコカー減税対象だった次世代車の中古車を購入した場合、エコカー減税の恩恵に預かることができるのだろうか。

エコカー減税対象の中古車を購入した場合、中古車特例として自動車取得税が軽減されてきた。その手法は、取得費用から一定額を差し引いた上で課税額を算出するというものだ。次世代車なら一律45万円、排出ガス性能の優秀な車両は排出ガス基準の達成度によって軽減率を設定されるものだ。

ただし、先述したように自動車取得税は2019年9月30日で廃止されている。そのため、中古車特例も事実上終了しており、2020年1月時点で軽減される税金はない。では自動車重量税はというと、同税は中古車特例の対象には含まれていない。新車時にエコカー減税対象車であっても、今後中古車として購入する場合に軽減される税はないのが現状だ。(文:猪俣義久)

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