SLRマクラーレン風のフロントデザインを取り入れて、2004年に日本に上陸した2代目メルセデス・ベンツSLK。まずパワフルなSLK350から導入され、SLK280がこれに続き、2006年2月には直列4気筒モデルのSLK200コンプレッサーが登場している。カジュアル・メルセデスとして、このSLK200コンプレッサーの走りはどうだったのだろうか。さっそく振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年5月号より)

カジュアルで軽快な、メルセデスの新境地

メルセデスに軽快という言葉は本来まったく似合わない。いつの時代も、どっしりと揺ぎなき自信を腹の底に据えて走ってくれるのがメルセデスというクルマであり、重厚という言葉の方がしっくりくる。

たとえば、Cクラスの中でも4気筒モデルのことを前が軽くて軽快などと表現することもある。しかしながらそれは、あくまでもCクラスの中で相対的に評価されただけであって、C180でもクラス標準で考えれば、立派に重厚なクルマである。

ところが最近のブランド拡販路線によって新たに生み出された新ジャンルモデルの数々は、おしなべて殻の軽い、キビキビと走るカジュアルな軽快さを備えたクルマであることが多い。Aクラス、Bクラス、Mクラス、などなど。SLKクラスはさしあたって、カジュアル・メルセデスの元祖というべき存在だろう。

2代目となって、その持ち味は一層磨かれた。SLRマクラーレンのF1ノーズモチーフを軽くあしらい、デザインが目立つ内装を備え、クルマの動きをリニアにドライバーへと伝えるシャシセッティングとした。誰もが最初に乗って感じるのは「新しさ」であり、そしてなお安定感ある走りにメルセデスらしさも見出す。先に挙げたその他のモデルもそう。メルセデスでありながら新しい。伝統的なサルーンシリーズとは違う流れを作ることに成功しつつある。

パワフルさが売りのSLK350から日本導入が始まった2代目だったが、グッドバランスが身上の280を100万円安い価格で昨年リリースし、今度はもうさらに60万円安い200コンプレッサーを投入してきた。税込み546万円という価格設定には、いかにメルセデスといえど600万円オーバーは贅沢すぎるかも、と二の足を踏んでいたSLK購入検討者も心が揺れ動くというものだ。

最近のメルセデスの常で、AMGモデル以外のグレード間では標準装備や見栄えの差が極めて少ない。試乗車にはオプションのスポーツパッケージ(33万6000円)が備わっていたからなおさらで、スポーツサスによって10mm低められた車高に10スポークのアルミホイールを履くサマなど、最廉価グレードには見えないものだ。スポーツパッケージを備えなくても、たとえばプラス21万円のレザーシートを選ぶだけで雰囲気は上級モデル並になる。

大きく異なるのは、もちろんパワートレーンだ。Cクラスにも採用されている1.8L直4DOHCスーパーチャージャー+5ATを積む。ひとつ上のグレードでほぼ装備内容が同じのSLK280に比べても50kgも軽い。そのほとんどが軽くなったノーズに起因するものだ。

果たして、その走り味は、軽快そのものだった。そもそもカジュアルさが売りのメルセデス新ラインにあるモデルである。そこに身の丈に見合ったエンジンを抱き合わせた。カジュアルさに磨きがかかって当然であろう。

動力性能的には、まず十分である。中間加速などにかったるさを感じる場面もあったが、オープンクルーズで爽快な気分を味わっている最中なら、まずそんな不満は抱かないものだ。Cクラスでも不満のないエンジンだったからそこに心配はなかったが、試乗して気になったことがひとつ。クルマの物理的な大きさを感じてしまう点だ。

バリオルーフということは、高いところに重量物があるということで、ノーズが軽やかに動く分、ルーフや車体後方に、遅れ気味に付いて来るマスを感じてしまう。殻をしっかり感じるとでも言おうか。軽快ではあるが、一体感には少々欠ける。ゼロ発進時の無粋なボロボロ音も気になるポイントのひとつだった。

とはいえ、メルセデスの新境地をこの値段で十分に楽しめるという価値は大いに認めたい。カジュアルなのだから、ちょっとした不満もサラリと聞き流してもらうのがいいだろう。(文:西川淳/Motor Magazine 2006年5月号より)

画像: 2006年2月に、メルセデス・ベンツSLKクラスに追加設定されたSLK200コンプレッサー。プロポーションは躍動的。精悍なF1ノーズ、後退したキャビン、シャープなウエッジシェイプの組み合わせは、まさに小さなSLRマクラーレン 。

2006年2月に、メルセデス・ベンツSLKクラスに追加設定されたSLK200コンプレッサー。プロポーションは躍動的。精悍なF1ノーズ、後退したキャビン、シャープなウエッジシェイプの組み合わせは、まさに小さなSLRマクラーレン 。

ヒットの法則

メルセデス・ベンツSLK200コンプレッサー(2006年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4090×1810×1300mm
●ホイールベース:2430mm
●車両重量:1420kg
●エンジン:直4DOHCスーパーチャージャー
●排気量:1795cc
●最高出力:163ps/5500pm
●最大トルク:240Nm/3500pm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:546万円(2006年当時)

This article is a sponsored article by
''.