クルマには多くの税金がかけられている。毎年5月、6月は自動車税(種別割)の納付時期ということもあり、とくにそのことを意識するが、もちろんクルマにかかる税金はそれだけではない。今回はクルマ(小型乗用車・普通乗用車)にかかる税金にフォーカスして解説しよう。

重量税、環境性能割、自動車税種別割がクルマには付いてくる!

基本的な自動車関連の税金をこれから解説するが、それに加えてここではエコカー減税(減免)についても触れる。エコカー減税とは、排出ガス性能や燃費性能が良いクルマに対する優遇措置だ。例えばEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、PHEV/PHV(プラグインハイブリッド車)などは非課税になるなど相当な優遇措置がとられている。クルマの税金が気になる方はもちろん、買い換えを検討している方も参考にしていただきたい。

画像: 日本の自動車関連の税金は多い上に複雑な形式となっている。知る知らないで、払う税金がけっこう違ってくるだろう。

日本の自動車関連の税金は多い上に複雑な形式となっている。知る知らないで、払う税金がけっこう違ってくるだろう。

現在、クルマにかかる税金は、購入時に車両本体にかかる消費税10%を別として、国税の「自動車重量税」、地方税の「環境性能割」、「自動車税種別割」となる。それぞれを見ていこう。

自動車重量税は自動車を新規購入した時と車検時に支払うもので、自動車の重量と新規登録からの経過年数によって税額が決まる。自家用乗用の場合には、車両重量0.5トン毎に税額が増える。計算としては、後に解説するエコカー減税に当てはまらない場合は0.5トンあたり4100円/年となる。例えば1001kg〜1500kgならば36900円、1501kg〜2000kgの場合は49200円だ。また新規登録から13年以上にあると0.5トンあたり5700円/年、18年以上になると6300円/年と跳ね上がり、古いクルマには非常に厳しいものとなる。

対してエコカー減税の対象車の場合は、本則税率が0.5トンあたり2500円/年と格安となっている。さらに現在は2021年4月末までの軽減措置の期間となっているのも注目される。これによってEVやプラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル車などは免税となり、ハイブリッド車などの場合も、性能に応じて免税から25%軽減などの措置がある。

画像: 2009年に無駄遣いなどの批判を受けて道路特定財源が無くなった。それ以降、自動車関連の税金はすべて一般財源化されたが、事実上ドライバーの負担は変わっていない。

2009年に無駄遣いなどの批判を受けて道路特定財源が無くなった。それ以降、自動車関連の税金はすべて一般財源化されたが、事実上ドライバーの負担は変わっていない。

続いて目新しい税金として「環境性能割」がある。これは、かつての自動車取得税に変わるものだ。自動車取得税は道路特定財源だったのだが、2009年に同財源が一般財源化され存在意義を失っていた。また消費税との二重課税と批判を浴びる税金でもあった。そんなこともあり昨年10月の消費税10%引き上げに伴い廃止されたのだが、その代わりに「環境性能割」が生まれた。名称は割引制度のようだが、中身は立派な税金だ。

自動車取得税は自家用車の場合、一律で取得価格の3%の税金が課せられていた(取得価格が50万円以下の場合は免税)。対して環境性能割は燃費に応じて0〜3%の税負担となるのがポイントだ。非課税になるのはEV、FCEV、プラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル車などいわゆるエコカーだ。環境基準を満たしている車であれば、税負担がないという意味ではある程度納得できる? かもしれない。

画像: 税金は購入時はもちろん、毎年の自動車税(種別割)や車検ごとの重量税など常につきまとってくる。

税金は購入時はもちろん、毎年の自動車税(種別割)や車検ごとの重量税など常につきまとってくる。

ちなみに環境性能割は2020年9月30日までの期間は税率から1%分軽減とされていたが、2020年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」における税制措置により21年3月31日まで延長になっている。というわけで、しばらくは非課税のクルマはそのままで、1%負担のクルマも非課税。最大でも2%の課税にとどまるので新車購入時のお得感はあるだろう。

もうひとつ、自動車税(種別割)を忘れてはいけない。毎年4月1日時点で所有している車に課せられる税金で、排気量によって税額が決まる。普通車の場合の税額は新車登録が2019年9月30日以前と10月1日以降で違ってくる。前者が2万9500円〜11万1000円、消費税増税後の後者が2万5000円〜11万円。消費増税してから買った新車は、自動車税が下げられているのだ。

また、ここでも環境に厳しい?クルマは不利で、新車登録から13年を超えると15%増税される。排気量の大きいクルマほど重税感は増えるといえる。ただし、EVやハイブリッド車は、13年経過しても増税されることはない。

画像: 自動車税(種別割)は排気量だけでなく、新車登録時期によっても違う。また、新車登録から13年を越えると15%増となる。

自動車税(種別割)は排気量だけでなく、新車登録時期によっても違う。また、新車登録から13年を越えると15%増となる。

以上が税金を支払う場合についてだが、車を廃車するなどした場合、税金は還付されるので忘れないようにしよう。自動車重量税の還付は抹消登録(解体時)に受けられる。納付済みの自動車税の残月分の金額分となる。また、自動車税(種別割)も一時抹消登録、あるいは永久抹消登録をした時点で、次の自動車税支払いまでの残月分があれば、月割りで還付の対象となる。そういう機会があれば自動車販売店などにしっかり確認しておこう。

上記のように現在のところ、エコカーの税制優遇は手厚く、初期費用としてかかる自動車重量税や環境性能割がほぼゼロで購入できる車もある。エコカーそのものの価格は必ずしも安いものではないが、その後、運用するためのガソリン代などを考慮すれば、トータルでかなりお得になるケースもあるだろう。

自動車を維持するするには、この他に自賠責保険(強制保険)、任意の自動車保険に加入する必要もある。さらにガソリン車やディーゼル車は走るためには、燃料が必要だ。これにも税金がかかってくる。この辺の「クルマとお金」の関係はまた改めて解説したい。(文:恵良信)

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