2019年8月のBMW1シリーズに続き、10月には2シリーズ グランクーペが誕生して話題となっている。ともにFFプラットフォームを採用した、BMWの新しいコンパクトモデル。BMW初のコンパクト4ドアサルーンの2シリーズ グランクーペと、ベースとなった1シリーズはどこがどう違うのか興味深いところだろう。今回はM135i xDriveとM235i xDrive グランクーペを中心に、1シリーズと2シリーズ グランクーペを比較してみた。

FFプラットフォームの採用で誕生した兄弟

2019年8月に登場した3代目BMW1シリーズは、FRレイアウトからエンジン横置きFFベースにスイッチしたCセグメント5ドアハッチバック。先代よりも全長は5mm、ホイールベースは20mm短くなったにもかかわらず、FF化によるスペース効率の向上で、室内空間や荷室容量が大きくなった。ちなみに、全幅と全高はそれぞれ35mm、25mm拡大している。

一方の2シリーズ グランクーペは、新型1シリーズのFFプラットフォームをベースにして2019年10月に新しく誕生したコンパクト4ドアクーぺだ。BMWはこうした4ドアクーペモデルを「グランクーペ」と呼んでいるが、このセグメントでは初の登場となる。ホイールベースは新型1シリーズと同じ2670mmだが、全長が200mmほど伸ばされているのが特徴だ。

画像: 同じFFプラットフォームを使って開発されたBMW1シリーズと2シリーズ グランクーペ。写真はM135i xDrive(上)とM235i xDrive グランクーペ。似たイメージだが、よく見るとフロントデザインも大きく異なる。

同じFFプラットフォームを使って開発されたBMW1シリーズと2シリーズ グランクーペ。写真はM135i xDrive(上)とM235i xDrive グランクーペ。似たイメージだが、よく見るとフロントデザインも大きく異なる。

ではボディサイズを確認しておこう。今回比較する1シリーズ、M135i xDriveの全長×全幅×全高は4355×1800×1465mm。対して2シリーズ グランクーペのM235i xDrive グランクーペは4540×1800×1430mm。グランクーペは長く、低いのが特徴だ。ホイールベースはともに2670mmとなる。

FF化によるスペース効率の良さはラゲッジスペースにも反映されていて、1シリーズの通常時の容量は全長が短くなったのに先代よりも20L大きい380Lを実現、3分割のリアシートバックを倒せば最大で1200Lまで拡大できる。また、2シリーズ グランクーペは全長を拡大したのが効いているのか、通常時の容量はさらに大きい430Lと発表されている。

画像: FFプラットフォームの採用で誕生した兄弟

インテリアは基本的に2モデル共通したもので、BMWらしい機能的かつ合理的なデザインを採用。デジタル表示の10.25インチメーターパネルやタッチパネル式の10.25インチインフォーメションディスプレイの組み合わせなど、先進イメージが強いものとなっている。

基本的なモデル展開は、1シリーズがFFの140ps 1.5L 直3ターボ+7速DCTの118i、同じくFFの150ps 2L 直4ディーゼルターボ+8速ATの118d、そして4WDの306ps 2L 直4気筒ターボ+8速ATのM135i xDriveの3本柱。2シリーズグランクーペにはまだディーゼルは設定されておらず、218i グランクーペとM235i xDrive グランクーペという構成になる。

■BMW 1シリーズの車両価格(税込み)
 118i:334万円
 118i Play:375万円
 118i M Sport:413万円
 118d Play Edition Joy+:385万円
 118d Play:413万円
 118d M Sport Edition Joy+:423万円
 118d M Sport:451万円
 M135i xDrive:633万円
■BMW 2シリーズ グランクーペの車両価格(税込み)
 218i グランクーペ:369万円
 218i グランクーペ Play:410万円
 218i グランクーペ M Sport:448万円
 M235i xDrive グランクーペ:665万円

さて、なぜFFになったのか、改めてその理由を探ってみよう。まずはやはりスペース効率の問題だろう。これまでパッケージをいろいろ工夫してきたが、FRレイアウトではCセグメントで求められるスペースを生み出すことに、限界があったのだろう。

さらにもうひとつ注目したいのが、FFプラットフォームでもBMWらしい走りを実現できるという自信。Cセグメントでは高い実用性こそが重要で駆動方式にこだわるユーザーはそれほど多くないと言われ、これもFF化への後押しになったと思われる。しかし、たとえ駆動方式にこだわるユーザーが多くなくても、BMWらしい走りの良さという魅力を提供できなければユーザーの心を摑むことは難しい。ということは、それを解決することができたということだろう。

その解決策のひとつとして、BMWはARBという新しいタイヤスリップコントロールシステムを1シリーズと2シリーズ グランクーペに採用した。これはタイヤスリップを感知すると、DSCを経由することなく、直接エンジンコントロールユニットで駆動力を制御するというもの。DSCよりも3倍の速さでトラクションをコントロールするとともに、トルクベクタリング機能も発揮し、気持ちのいい走りが実現するという。

もっとも、今回比較したM135i xDrivとM235i xDrive グランクーペはともに4WDということもあって、FFらしさを感じることはない。4WDシステムは電子制御カップリングにより後輪に最大50%のトルクを配分するというもので、こうなるとFRベースかFFベースかはあまり問題ではなくなる。

安全運転支援システムをはじめとした装備は、ともにCセグメントモデルとは思えないほど充実している。M135i xDrivとM235i xDrive グランクーペは、ACC、レーンディパーチャーウオーニング、レーンチェンジウオーニング、衝突回避被害軽減ブレーキ、クロストラフィックウオーニング、トラフィックサインアシスト、パーキングアシスト、iDriveナビゲーションなどすべて標準装備する。

こうして見てくると、5ドアハッチバックの1シリーズと4ドアクーペの2シリーズ グランクーペの違いは、ボディ形状の違いとそれによる居住性のいくばくかの違いしかないようだ。2シリーズ グランクーペは1シリーズがFFベースとなったことで実現できたモデルで、2シリーズ グランクーペがことさら豪華に作られているわけでなく、1シリーズも同様にプレミアムな存在だ。その価格差は30万円ちょっと。ボディ形状は異なるが、ともに魅力にあふれるモデルであり、なんとも悩ましい選択になりそうだ。

画像: パーツの共通化などが図られているはずだが、ボディパネルはまったく別物。

パーツの共通化などが図られているはずだが、ボディパネルはまったく別物。

BMW M135i xDrive 主要諸元

●全長×全幅×全高:4355×1800×1465mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1580kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:306ps/5000-6250rpm
●最大トルク:450Nm/1750-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●サスペンション:ストラット/マルチリンク
●ラゲッジルーム容量:430L
●タイヤサイズ:225/40R18
●WLTCモード燃費:12.0km/L
●車両価格:633万円

BMW M235i xDrive グランクーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4540×1800×1430mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:-kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:306ps/5000rpm
●最大トルク:450Nm/1750-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●サスペンション:ストラット/マルチリンク
●ラゲッジルーム容量:430L
●タイヤサイズ:225/40R18
●WLTCモード燃費:-km/L
●車両価格:665万円

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