ガソリン・ハイオク・軽油の各平均価格は、5月11日を直近の底値として10週連続で値上がりが続いている。どうしてガソリン平均価格が上がり続けるのだろうか。その原因と7月20日時点での各燃料の平均価格をご紹介しよう。

下落傾向から5月11日を境に上昇傾向となっているガソリン価格

画像: 5月までガソリン価格は下落傾向が続いていたが、その後、上昇に転じてきた。

5月までガソリン価格は下落傾向が続いていたが、その後、上昇に転じてきた。

このところ、ガソリンの値上げ傾向が続いている。ついこの間までの下落が嘘のようだ。4月20日ニューヨーク商業取引所で、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油の先物価格5月限が、1バレルあたり-40.32ドルの安値を記録した。WTI原油のマイナス価格が日本のガソリンなどのコスト安に影響するかといえば、直接的な影響はない。というのは、日本に輸入される原油の92.9%が中東諸国産で、アメリカからの輸入分は0だからだ。

どんなにアメリカの原油が安くなろうとも、日本の販売価格には本来なら一切の影響がないはずなのだ。しばらくガソリンの販売価格の下落傾向が続いていたのは、日本の場合はOPECの動向によるもの。世界的な石油のだぶつきにも関わらず増産していたからというのは以前にも解説したとおり。簡単にまとめると、ロシアがアメリカとのシェア争いから減産を拒否。それに対抗する形で中東諸国も増産。このためアメリカの石油生産事業社が破綻するという事態にもなった。

画像: 日本の原油は基本的には米国のガソリン安とは無縁。ただ、国際状況や為替などによって変動する。

日本の原油は基本的には米国のガソリン安とは無縁。ただ、国際状況や為替などによって変動する。

需要が減っているのに増産しては共倒れになりかねない。そこで中東諸国が中心のOPECとアメリカやロシアなどのOPEC非加盟国のOPECプラスが、協調減産に踏み切り、7月末まで減産を続ける見通となっている。

日本では4月27日、5月4日、5月11日の各統計でガソリンなどの小売店販売平均価格は下がり続けた。4月27日から5月11日はゴールデンウィークだったが、緊急事態宣言で外出を自粛した。当然自動車の使用は減り、燃料の販売も伸び悩み、在庫があふれることになる。

ちなみに原油輸入は年単位で中東諸国から買い付けており、価格もほぼ決まっている。しかし実際には原油先物価格を参考にして値段交渉が行われるそうで、多少の上下はあるものらしい。

現在のガソリンの値上がり要因としては、このOPECプラスによる減産調整がひとつあるだろう。先に述べたOPECとOPECプラスの協調減産は、WTI原油のマイナス価格から一転、現在では1バレル35ドル近辺で原油価格を安定させることに成功している。

画像: ステイホームが叫ばれたゴールデンウイークまではガソリンはどんどん安くなっていった。その後、自粛が解禁するにつれ価格も上がった

ステイホームが叫ばれたゴールデンウイークまではガソリンはどんどん安くなっていった。その後、自粛が解禁するにつれ価格も上がった

また第二波の影響が懸念されるものの、今のところ新型コロナ禍からの経済再開も、ガソリン価格上昇の一因となっている。5月11日からの一部公立学校の授業再開や、5月25日の緊急事態宣言解除を受け、経済も再開した。必然的に自動車も使用されるようになり、ガソリンなどの消費量が増えたため値段が上がる結果になる。

7月20日時点の日本のガソリン・ハイオク・軽油の平均価格を見てみよう。7月20日時点での日本全体のレギュラーガソリンの平均価格は132.2円で、地域別では北海道129.9円、東北129.7円、関東131.0円、甲信越135.0円、東海132.0円、北陸137.5円、近畿132.3円、中国129.5円、四国130.9円、九州136.1円、沖縄137.5円だ。

画像: OPECぷらすの減産強調で原油価格も安定傾向となっているが、まだまだ日本もコロナの第二波の影響など不透明な状態が続くだろう。

OPECぷらすの減産強調で原油価格も安定傾向となっているが、まだまだ日本もコロナの第二波の影響など不透明な状態が続くだろう。

ハイオクの日本全体の平均価格が143.1円で、地域別では北海道140.7円、東北140.7円、関東142.0円、甲信越146.3円、東海143.2円、北陸149.0円、近畿143.15円、中国140.3円、四国141.7円、九州146.7円、沖縄146.2円だ。

軽油の日本全体の平均価格は112.9円で、地域別では北海道112.9円、東北111.0円、関東110.8円、甲信越116.2円、東海112.9円、北陸116.8円、近畿112.3円、中国111.9円、四国110.0円、九州116.1円、沖縄120.5円だ(文:猪俣義久)

なお各都道府県の各燃料の平均価格は、以下の通り。(都道府県名、レギュラー、ハイオク、軽油価格順に記載。単位は円。)

北海道 129.9 140.7 112.9

東北地域 129.7 140.7 111.0
青森県 127.2  138.3 108.9
岩手県 125.7 136.7 106.1
宮城県 125.6 136.4 106.1
秋田県 127.5 138.5 109.7
山形県 139.1 150.4 122.1
福島県 135.4 146.6 115.5

関東地域 131.0 142.0 110.8
茨城県 129.3 140.4 109.1
栃木県 132.3 143.4 111.6
群馬県 136.3 147.5 114.3
埼玉県 128.4 139.3 107.5
千葉県 130.0 141.0 111.2
東京都 132.8 143.5 113.1
神奈川県 128.4 139.4 108.9

甲信越地域 135.0 146.3 116.2
新潟県 130.8 142.1 116.5
長野県 141.7 152.9 120.6
山梨県 132.7 143.9 111.5

東海地域 132.0 143.2 112.9
静岡県 132.2 143.5 112.4
愛知県 131.1 142.1 111.9
岐阜県 134.0 145.3 113.4
三重県 131.0 142.2 113.5

北陸地域 137.5 149.0 116.8
富山県 134.0 145.2 116.0
石川県 132.4 143.1 113.8
福井県 137.5 149.0 116.8

近畿地域 132.3 143.15 112.3
滋賀県 133.3 144.2 114.0
京都府 136.4 147.7 115.4
奈良県 130.8 141.7 110.7
大阪府 135.0 145.9 114.1
兵庫県 129.2 140.2 110.6
和歌山県 129.1 139.2 109.0

中国地域 129.5 140.3 111.9
鳥取県 129.5 140.6 115.3
島根県 133.2 144.3 115.4
岡山県 124.4 135.3 105.0
広島県 131.0 141.7 113.9
山口県 128.6 139.2 110.0

四国地域 130.9 141.7 110.0
徳島県 123.5 134.2 102.9
香川県 127.8 138.6 108.3
愛媛県 132.6 143.5 111.4
高知県 140.0 150.1 118.0

九州地域 136.1 146.7 116.1
福岡県 131.9 143.4 111.2
佐賀県 136.3 147.3 116.9
長崎県 142.2 152.3 122.9
熊本県 127.3 137.8 106.1
大分県 139.4 150.3 117.4
宮崎県 135.4 145.9 116.5
鹿児島県 139.4 149.4 120.6

沖縄県 137.5 146.2 120.5

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