今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ホンダ シビック ハイブリッド」だ。

ホンダ シビック ハイブリッド(2002年)

画像: フロントグリルとバンパースポイラー、アルミホイールはハイブリッド専用アイテム。車高も10mm低められている。

フロントグリルとバンパースポイラー、アルミホイールはハイブリッド専用アイテム。車高も10mm低められている。

ホンダ初のハイブリッド車、インサイトはスペシャルティカー的なモデルだった。そこで日常で普通に使えるハイブリッド車を、というホンダ ファンの期待に応えて登場したのが、シビックのセダンであるフェリオのハイブリッド車だ。

ハイブリッドのシステムは、インサイトのものと基本的には変わらない。ホンダ独自のIMA(インテグレーテッド モーターアシスト)と呼ばれるシステムは、あくまでガソリンエンジンが主役で電気モーターは補助。したがって、エンジン本体は思い切り超燃費指向にすることができ、その結果10・15モードで29.5km/Lと、プリウスの29km/Lを凌ぐ数値を達成できた。

外観は、遠目には普通のシビック フェリオと変わらない。近くに寄ってよく見ればフロントグリルやバンパーのデザインは少し違うし、アルミホイールも専用デザイン。車高もわずかだが低められている。リアにまわるとトランクリッド上にスポイラーが装着され、テールランプのデザインも変更されている。さらに、エンジン下やリアフロアにはアンダーカバーが設けられ、空力特性を向上させているという。

インテリアも黒木目調のセンターパネルで上質感を増して、フロントシートのヘッドレストはシースルータイプになった。インパネではエネルギーメーターが備わり、モーターアシストやブレーキの回生率などを表示する。だが、パッと見にはガソリン車のシビックと変わらず、ハイブリッド車に乗っているという感覚は薄い。

画像: 1.3Lエンジンはリーンバーン化し、気筒休止VTECも採用、補助動力としてDCブラシレスモーターを組み合わせる。

1.3Lエンジンはリーンバーン化し、気筒休止VTECも採用、補助動力としてDCブラシレスモーターを組み合わせる。

だからCVTをDレンジに入れて、アクセルを踏めばスーッと走り出すときは、普通のクルマだ。赤信号などで停止するとエンジンが止まるので、そのときに初めてアレッと気づくかもしれない。静止からの発進は、まずモーターで動き出してからエンジンがかかるプリウスと違い、最初からエンジンで発進するから、なおさらだ。エンジンそのものは86psしかないが、街中の走りなどでは実用的に問題ない。

それでも加速時などでモーターがアシストすると、エンジンと合わせて17kgm以上のトルクを発生する。これは1.7Lクラスに相当するから、とても速い。とくに街中でスイッと加速する瞬間などは、モーターの威力をまざまざと思い知らせてくれる。

100km/h巡航時のエンジン回転数は約2200rpmと低く、けっこう静かなのでタイヤノイズが気になってしまうほど。運転していて飛ばしている自覚はなくても実際にはかなり速度が出ていることがあるので、注意したい。CVTのセッティングも良く、アクセルを軽く踏むだけでエンジン回転数だけ上がることなく車速もついてくる。

ボディ剛性が向上して定評のあるシビック フェリオのシャシだから、操縦性も安定性も問題ない。タイヤは燃費重視の低転がり抵抗タイプだったが、少しくらいハードなコーナリングを試しても鳴くことはないし、狙ったラインを確実にトレースできた。

プリウスとは違う味付けで、新たなハイブリッド車として登場したシビック。できれば、ハッチバックにも設定すれば、より人気も評価も高まると思えるのだが、追加設定に期待したいところだ。

画像: トランクリッド後端には小ぶりのリアスポイラーを装着。リアコンビランプのデザインも変更されている。

トランクリッド後端には小ぶりのリアスポイラーを装着。リアコンビランプのデザインも変更されている。

■ホンダ シビック ハイブリッド 主要諸元

●全長×全幅×全高:4455×1695×1430mm
●ホイールベース:2620mm
●車重:1190kg
●エンジン形式:直4・SOHC+モーター・横置きFF
●排気量:1339cc
●エンジン最高出力:63kw(86ps)/5700rpm
●エンジン最大トルク:119Nm(12.1kgm)/3300rpm
●モーター最高出力:10kw/4000rpm
●モーター最大トルク:49Nm/1000rpm
●ミッション:CVT
●タイヤ:185/70R14
●当時の価格:209万円

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