2020年2月から7月にかけて133回連載して人気を博した「スーパーカー年代記」。その中から人気の高かった10モデルを夏休み特別企画としてプレイバックしよう。第2位は「ランボルギーニ ミウラ」だ。

ランボルギーニ ミウラ P400SV(1971-1973年)

画像: ホイールベースを短く保つため、V12エンジンを横向きに搭載。カウルは前後とも写真のようにガバリと開く。

ホイールベースを短く保つため、V12エンジンを横向きに搭載。カウルは前後とも写真のようにガバリと開く。

スーパーカーの起源には諸説あるが、ランボルギーニ カウンタック、フェラーリ 365/GT4 BB、ポルシェ 911ターボの、いわゆる「スーパーカー御三家」が人気を博したころが、第一次スーパーカーブームの始まりといえるだろう。

そんな御三家のひとつ、ランボルギーニではカウンタックの登場以前に、忘れてはいけないスーパーカーが存在した。というよりは、このモデルによってスーパーカーの歴史の幕が開いたともいえる。

1966年のジュネーブ モーターショーに「ミウラ」と名づけられたプロトタイプが展示され、世界に衝撃を与えた。その名は、スペインにあったという伝説の闘牛牧場の名に由来する。鬼才と呼ばれたマルチェロ・ガンディーニの手になる、まさに流麗と呼ぶにふさわしい美しいクーペボディが、並外れた高性能を期待させるメカニズムを擁していることは既知の事実で、登場を熱望していた人たちの興奮はピークに達した。

ミウラが発表された前年、1965年のトリノショーに、鋼板で構成されたシャシのリアミッドにV型12気筒のDOHCエンジンを横置きに搭載した「TP400」と呼ばれるベアシャシが展示された。当時、エンジンをコクピットの直後に搭載するミッドシップは一部のレース用マシンしか採用していない特殊なレイアウトだった。

しかも、大排気量エンジンをミッドシップ搭載した市販車は、フォードGT40 マークIIIがあるくらいという時代だ。もっとも、GT40 マークIIIはフォードがル・マン24時間レースに参戦するためのホモロゲーション(型式認可)用に製作された、いわばレーシングカーの市販版だったから、市販を前提に開発された大排気量ミッドシップ車という意味では、このTP400が世界初と言えた。

画像: ステアリングとペダルの位置関係が不自然と言われたが、ミウラを操る魅力の前には瑣末な問題に感じられる。

ステアリングとペダルの位置関係が不自然と言われたが、ミウラを操る魅力の前には瑣末な問題に感じられる。

これにボディを架装したミウラが、無骨なレース臭を一切感じさせない世界初のスーパーカーとして注目されたのは当然のことだった。

だが、お披露目はしたものの、クルマの熟成には約1年を要している。ミッドシップという特殊な駆動形式の市販車というのは世界に前例がなく、さらにサスペンションのセッティングにも時間がかかった。また、パワーユニットもエンジンブロックとミッションケースを一体鋳造し、エンジンとミッションを同じオイルで潤滑するという方式を採ったため、エンジンを始動してもオイルが暖まるまではシフトが入り難いなど、細かな問題が発生した。

ミウラは、1台生産するごとに改良されていったというほど、問題解決には時間がかかったといわれる。そうした意味で、5年をかけて熟成し、1971年のジュネーブ モーターショーで発表された「ミウラ P400SV」が、ミウラの完成形に最も近いといえるモデルかもしれない。パワーユニットは公称385psまでチューンを進めて、スーパーカーの名に恥じない高性能を発揮した。

公称385psまでチューンを進めて、スーパーカーの名に恥じない高性能を発揮した最終型SVが、ミウラの完成形に最も近いモデルと言えるかもしれない。レーシングカーの技術を市販モデルに落としこんだミウラの設計思想は、スーパーカーの基本形態として定着していく。

画像: エンジンルーム上のリアルーバーは、ガラスだと蒸発したオイルで汚れて低下する後方視界を確保するため採用された。

エンジンルーム上のリアルーバーは、ガラスだと蒸発したオイルで汚れて低下する後方視界を確保するため採用された。

ランボルギーニ ミウラ P400SV 主要諸元

●全長×全幅×全高:4390×1780×1100mm
●ホイールベース:2504mm
●重量:1305kg
●エンジン種類:60度V12 DOHC
●排気量:3929cc
●最高出力:385ps/7850rpm
●最大トルク:40.7kgm/5750rpm
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前215/70VR15、後225/60VR15

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