今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「シボレー トレイルブレイザー」だ。

シボレー トレイルブレイザー(2001年)

画像: S-10ブレイザーの兄貴分的なスタイル。上級グレードのLTZはフロントグリルのバーやサイドモール、ドアハンドルなどがボディ同色となる。

S-10ブレイザーの兄貴分的なスタイル。上級グレードのLTZはフロントグリルのバーやサイドモール、ドアハンドルなどがボディ同色となる。

シボレーの新しいSUV、トレイルブレイザーに早くも試乗することができた。今まで日本で発売されていたブレイザー(S-10ブレイザー)の上級モデルにあたるが、日本でもブレイザーはアメリカ車(それもSUV)としては珍しいストレート6を搭載し、ハンドルの切れも良く、乗り心地も快適。なお、現行ブレイザーは当面の間併売されるが、近い将来にはフェードアウトする予定だ。

さて、トレイルブレイザーのフロントマスクはけっこう強烈だが、シボレーのアイデンティティはシッカリ表現されていて悪くはない。フロントグリル中央を横に走るバーは、LTZがボディ同色、LTがクロームメッキだが、ボディ同色の方がおとなし目に見える。まあ、これは個人の好き好きだろう。全体のシルエットは、SUVとしてごく普通のものだ。

ドアを開けると、アメリカ車の匂いと雰囲気が漂ってくる。インターフェイスは今までのGM車とあまり変わらないが、スイッチ類のタッチなどはかなり良くなった。トレイルブレイザーは左ハンドルのみの設定だが(現行ブレイザーは右ハンドル仕様の開発費用を結局ペイできなかったらしい)、それゆえ自然なドライビングポジションを取ることができる。目線も高く見切りもしやすいから、左ハンドルが苦にならない人にはいいだろう。

画像: LTZのインテリア。革巻きステアリングにはオーディオやエアコンのコントロール機構も備わる。オートエアコンは左右独立温度調節機能付き。

LTZのインテリア。革巻きステアリングにはオーディオやエアコンのコントロール機構も備わる。オートエアコンは左右独立温度調節機能付き。

リアシートは平板でシートバックが立ち気味なので、あまり快適ではないがスペース的には狭くはない。ラゲッジスペースはこのクラスのSUVとしては広いほうで、リアシートバックを倒すと自動的にヘッドレストも倒れるのは便利な機構だ。ただし、フロア面が高く、ガラスハッチだけの開閉も可能だが開口部の下端が高いので、平均的な身長の日本人には少々使いにくいかもしれない。

新開発の直6 DOHCエンジンは6200rpmまでスムーズに回るが、SUVというこのクルマの性格を考えると、もう少し低速域のトルクが欲しいところだ。車重が2トンを超えるので274psというスペックほどのパワーは感じられない。それでも、直6エンジンを搭載したおかげでエンジンルームの左右に余裕ができ、ステアリングの切れ角が大きいのが最大のメリットだろうか。この大きさで最小回転半径5.5mというのは素晴らしい。これなら、日本の街中でも大きなサイズを持て余さずにすみそうだ。

さすがにバネ下が重い感じはするがドタバタすることもなく、ブレーキの効きはいい。ステアリングのフィールも滑らかだ。2WD-4WDの切り替えも違和感はない。ゆったりした乗り味は長距離走行が快適そうで、いかにもアメリカ車っぽくて悪くない。クリアランスもたっぷりあるから、ラフロード走行も問題ないだろう。

日本仕様のトレイルブレイザーにはLTとLTZの2グレードがあり、両者の価格差は40万円。本革シートやサイドエアバッグなど安全・快適装備に差があるから、それほどLTにお買い得感はない。予算と相談して、好きなほうを選ぶといいだろう。

画像: フロントに比べるとリアビューはおとなしめ。丸型リアコンビランプが独特。ルーフエンドにハイマウントストップランプも備わる。

フロントに比べるとリアビューはおとなしめ。丸型リアコンビランプが独特。ルーフエンドにハイマウントストップランプも備わる。

■シボレー トレイルブレイザー LTZ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4890×1900×1850mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:2120kg
●エンジン形式:直6・DOHC・縦置き4WD
●排気量:4157cc
●最高出力:202kW(274ps)/6000rpm
●最大トルク:373Nm(38.1kgm)/3600rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤ:245/45R17
●車両価格(当時):389万円

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