ホンダショックはグランプリにどんな影響を与えるか
第11戦アイフェルGPは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いカレンダーが見直されたことによって誕生したグランプリ。今年はドイツGP開催の予定はなかったが、グランプリ中止が相次ぐ中で、急遽、この時期の開催が決定した。先にホッケンハイムがドイツGP開催に向けて動き出していたことから、ニュルブルクリンクでのこのグランプリはサーキットのある地方名を冠した「アイフェルGP」を名乗ることになった。ニュルブルクリンクでのF1開催は2013年以来、7年ぶりとなる。
ニュルブルクリンクはドイツ・ケルンから南に60kmほど離れたアイフェル地方の山の中に作られたサーキット。1950年代からF1が行われてきた伝統のあるコースだが、現在F1が開催されるのは1984年に作られた新しいGPコース。開発テストなどで有名な全長20kmのノルドシュライフェ(北コース)に隣接しており、ニュル24時間ではふたつのコースをつなげてレースが行われる。
ニュルブルクリンクのGPコースはホームストレートから奥のヘアピンまで延々と下りが続く独特のレイアウト。スピードが乗るため幾度かコースが改修されて、低速コーナーやシケインが設けられている。ヘアピンからは一転して上り勾配となり、90度コーナーを抜けてバックストレッチへ。ここから高速右コーナーを抜けて最終セクションへの進入がオーバーテイクポイントになる。高低差が大きくパワーが重要となるが、その一方で難しいコーナーも配されるので総合力が必要となる。北コースと違ってコース幅は広く、全長5148mに15のコーナーが設けられる。
山の中にあるため天候が変わりやすいのも特徴となる。また10月のこの時期はかなり冷え込むことが予想され、タイヤのマネージメントも難しい。
アイフェルGPのポイントは、まず2021年シーズンをもってのF1撤退を発表したホンダがどんな走りを見せるかだろう。チャンピオン争いではメルセデスAMGに差をつけられているものの、もっともメルセデスAMGに近く、打倒メルセデスAMGの急先鋒と言われているだけに、ホンダの撤退発表はF1サークルに大きな衝撃を与えている。ここからチャンピオン争いをどこまでおもしろくするか、注目が集まる。
地元ドイツでポイント差をさらに広げ、チャンピオンを確定的なものにしたいメルセデスAMGも気合いが入る。とくに、ルイス・ハミルトンは前戦ロシアGPでの納得のいかないペナルティもあり雪辱に燃えている。ここでミハエル・シューマッハーの持つ最多勝利記録91勝に並べるかも大きな関心事となっている。
タイヤを供給するピレリは「アイフェルGPに真ん中の3つのコンパウンドを準備しました。ハードはC2、ミディアムはC3、ソフトはC4です。ニュルブルクリンクでF1グランプリが行われるのは7年ぶりで、最新のマシンではタイヤがどう機能するのか情報が少ないこともあり、さまざまな状況をカバーできるタイヤを選択しました。これまでの経験ではこのコースはタイヤにとくに大きな問題はないので、おそらく柔らかいタイヤが重要になってくると思います。ニュルブルクリンクは横方向の力と縦方向の力がほぼ均等にかかるバランスのとれたコースですが、大きな減速が必要なヘアピン、攻撃的な縁石のあるシケインは注意しなければなりません。そして問題は天候です。この時期のアイフェル地方は雨が降る可能性が非常に高く、気温も下がります。摂氏10度未満の寒さは、タイヤにコールドクラックを引き起こす可能性があります。ここでは刻々と変化する状況に素早く対応できたチームとドライバーが勝利をあげることでしょう。今回はウエットタイヤを含めて5種類のタイヤすべてを見ることができるかもしれません」と分析している。
第11戦アイフェルGPは10月9日11時(日本時間18時)から始まるフリー走行で開幕、予選は10月10日15時(日本時間22時)、決勝は10月11日14時10分(日本時間21時10分)に開始される。
【参考】2020年第10戦ロシアGP 決勝 結果
優勝 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)53周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+7.729s
3位44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+22.729s
4位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+30.588s
5位3 D.リカルド(ルノー)+52.065s
6位16 C.ルクレール(フェラーリ)+62.186s
7位31 E.オコン(ルノー)+68.006s
8位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+68.740s
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+89.766s
10位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+97.860s
【参考】F1ドライバーズランキング(第10戦終了時)
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)205
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)161
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)128
4位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)65
5位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)64
6位 D.リカルド(ルノー)63