フォード フォーカス トレンド(2002年)
日本でもヨーロッパでも多くのライバルがひしめくセグメントCマーケットで、独特のスタイルとWRCからフィードバックされた走りの良さで定評の高いヨーロッパ フォードのフォーカス。1.6Lを搭載したハッチバックとワゴンが2000年春に日本デビューを果たし、その秋には2L搭載モデルも追加され、今年(編集部註:2002年)の初めには小変更を受けた。
そんなフォーカスに、今年の夏に100台の限定モデルだが「TREND(トレンド)」というスポーティバージョンが加わった。従来からある2Lエンジンを搭載したGHIA(ギア)とは、外寸やパワートレーンのスペックは同じ(車重は20kg重い)だが、以下のような専用装備が装着されている。
タイヤは205/50R16にインチアップされ、専用のアルミホイールとスポーツサスペンションを装着。さらにESP(エレクトロニック スタビリティ プログラム)も備え、ハードな走りに対応する。外観ではHIDヘッドランプに電動ガラスサンルーフ、リアスポイラーも装着。インテリアでは、アルミ調のセンターパネルやスポーツバケットシートでスポーティな雰囲気を増幅し、インダッシュ6連奏CDチェンジャーも装備する。
これだけの専用装備を装着しながら、車両価格は2.0 ギアより19万円高の248万円。ただし、ボディカラーはメトロポリスブルー メタリックのみ。また、このトレンドはハッチバックのみで、ワゴンには設定されていない。
インチアップされたタイヤ&ホイールとHIDランプのおかげで、外観はかなりスポーティ度が高められている。だが派手さには今ひとつ欠けるので、よりスポーツ性を強調するなら、エアロパーツなどでドレスアップさせ、WRCのイメージでアレンジしても面白かったのでは・・・とも思えるのだが。
「スポーツ」といわれるほどサイドサポートは強くないが、ホールド感は悪くないシートに座り、スタートする。ギアではウッド調だったセンターパネルがアルミ調になっただけで、室内の雰囲気はかなり変わった。
2LのDOHCエンジンは、このクラスとしては必要十分なパワーを発揮する。インチアップされたタイヤとスポーツサスは硬すぎることはなく、これがスタンダードと言われても不満の出ない、しなやかなセッティングだ。乗り心地も悪くない。
またESPが標準装備されたのは嬉しい。今回の試乗ではスキッドパッドでもテストできたのだが、スリッパリーな路面でのブレーキングは安定しており、タイトコーナリングでもアンダーステアを消してくれるのでガンガンとアクセルが踏める。もちろん過信は禁物だけれど、このアドバンテージはいざというときに大きいだろう。
フォルクスワーゲン ゴルフやプジョー 307の同じようなグレードより装備も充実しており、車両価格も安い。限定の100台はすぐに売れてしまいそうだ。このクラスのスポーツハッチを探しているユーザーはけっこう多いし、できることならカタログモデルにして欲しいところだ。
■フォード フォーカス トレンド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4170×1710×1480mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1240kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1969cc
●最高出力:96kW(131ps)/5500rpm
●最大トルク:178Nm(18.2kgm)/4500rpm
●トランスミッション:電子制御4速AT
●タイヤ:205/50R16
●車両価格(当時):248万円