今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ルノー ラグナ」だ。

ルノー ラグナ(2002年)

画像: 個性的なフロントマスクはハッチバックもワゴンも同じ。8エアバッグやスタビリティプログラムなど最高の安全性が盛り込まれている。

個性的なフロントマスクはハッチバックもワゴンも同じ。8エアバッグやスタビリティプログラムなど最高の安全性が盛り込まれている。

最近は日本でもプジョー車が人気を集めているが、ほかのフレンチ ブランドも動きを見せている。とくにルノーはフランス本国ではもっとも大きなメーカーだけに、ルーテシアを筆頭にカングーアヴァンタイムなど、個性的なモデルを続々と導入している。

かつてのルノーは、コンパクト ハッチバックの「5(サンク)」、ミドルサルーンの「21(ヴァンテアン)」のように、車名は単純に数字で付けられていた。だが1990年代に入ると、フルモデルチェンジされたモデルは普通の名前が付けられるようになった。5はルーテシア(本国名はクリオ)、そして21は今回紹介する「ラグナ」となった。

2000年に発表された新型ラグナが、2003年モデルからようやく日本に導入された。従来型に比べると、サイズ的にはひとまわり大きくなった。全長は4.6m弱、全幅は1.8m弱という、ヨーロッパではDセグメントと呼ばれるクラスに属する5ドア ハッチバックとワゴンだ。ワゴンはハッチバックとホイールベースは同じだが、リアオーバーハングの分、全長は10cmほど長い。

画像: 日本仕様は右ハンドルのみ。キーに代わるマルチファンクションカードの採用で、エンジンの始動はボタンを押すだけだ。

日本仕様は右ハンドルのみ。キーに代わるマルチファンクションカードの採用で、エンジンの始動はボタンを押すだけだ。

このクラスはメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズなどライバルがひしめく激戦区だ。ラグナはユーロNCAPで初めて5つ星を獲得し、高い安全性でライバルたちよりもアドバンテージを得ようとしている。以前に紹介したアヴァンタイムほど個性的なスタイリングではないが、それでもアーチ型のルーフラインやアクの強い顔つきなど、このクラスのライバルに比べると十分以上に個性的なルックスといえるだろう。

インテリアも、インパネの構成はT型のオーソドックスなものだが、ルーフラインと同じアーチ型のパーティングラインを用いたり、ダッシュボードには独特の縞模様のシボを採用するなどして個性を演出している。以前のフランス車のようなチープシックな安っぽい感じは皆無だ。本革シートも標準装備だし、前後シートともスペースはタップリしている。ワゴンのラゲッジスペースは5人乗車でも十分に広いし、ハッチバックの使い勝手もワゴン並みに高い。

フランス本国ではディーゼルなども設定されているラグナだが、いまのところ日本仕様は3LのV6 DOHCガソリンエンジンのみとなっている。このユニットは、可変バルブタイミング機構や電子スロットルも備えた現代的なものだ。2000rpmで最大トルクの80%を発生するセッティングなので、4000rpmあたりまで厚みのあるトルクで加速も心地良い。ただ、組み合わされるアイシン製5速AT(マニュアルモード付き)の制御がフランス流というか、加減速の多い日本の街中では少々ギクシャクする。

とはいえ、快適性重視のフットワークのおかげで乗り心地は重厚感があり、しなやかに動くサスペンションは路面をしっかりと捉えてくれる。個性的な上級サルーンやワゴンを探している人は、ぜひ一度試してみても損はないだろう。装備などを考えれば、300万円台後半の価格も、なかなかバリューforマネーといえるだろう。

画像: ワゴンはハッチバックよりリアオーバーハングが115mm延長されている。リアゲートはウインドー部分のみ開閉できるので便利だ。

ワゴンはハッチバックよりリアオーバーハングが115mm延長されている。リアゲートはウインドー部分のみ開閉できるので便利だ。

■ルノー ラグナ ワゴンV6 主要諸元

●全長×全幅×全高:4695×1790×1485mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1610kg
●エンジン形式:V6・DOHC・横置きFF
●排気量:2946cc
●最高出力:152kW(207ps)/6000rpm
●最大トルク:280Nm(28.5kgm)/3750rpm
●トランスミッション:5速AT(マニュアルモード付き)
●タイヤ:205/55R16
●車両価格(当時):375万円

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