メルセデスがフロントロウ独占も、ホンダ勢が2列目に並ぶ楽しみな展開に
エミリア ロマーニャGPはF1初の2日間開催で行われるため、土曜日午前中までマシンを走らせることはできず、90分のフリー走行の後、午後にはいきなり予選に臨むこととなった。
予選開始時の気温は23度、路面温度は29度と絶好のコンディションとなったが、午前中のフリー走行の結果を受けて、コースをはみ出るトラックリミット違反が厳格にとられることが確認され、各チームが慌ただしくセットアップを煮詰める中、タイム抹消が続出するなど少し混乱も見られた。
そんな中で行われた予選は、やはりメルセデスAMG勢が速く、ボッタスがQ3最後のアタックでハミルトンのタイムを逆転してポールポジションを獲得した。ハミルトンは自己ベストを更新することができなかった。
メルセデスAMGに対抗するホンダ勢も好調だ。Q2ではフェルスタッペンのマシンに電装系パーツの交換が必要になるトラブルが発生したが、チームとホンダのメカニックが修復してマシンをギリギリのところでコース上に復帰させることに成功。フェルスタッペンはその素晴らしい作業に応えて、アタックラップ1周のみのチャンスにもかかわらず、ミディアムタイヤで6番手をマークしQ3進出を決めた。
フェルスタッペンはQ3でもメルセデス勢に迫る勢いをみせ、最後に大きくタイムアップをして3番手グリッドを獲得した。
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)も調子がよくミディアムタイヤでQ2通過を狙ったが、ここで痛恨のスピン。ソフトタイヤでQ2通過となったものの、Q3でも6番手のタイムをマークし、3列目グリッドを獲得している。ちなみにアルボンは5番手タイムを記録したが、トラックリミット違反でそのタイムは抹消となっている。
アルボンよりさらに予選で目覚ましい走りを見せたのがガスリー。Q1からミスなく素晴らしいタイムを刻み、F1キャリアベストタイの4番グリッドを獲得。予選4番手はトロロッソ・ホンダ、現アルファタウリ・ホンダでの予選最高位となる。
ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)もフリー走行から好調ぶりを見せ、Q2を8番手で通過すると、Q3でも積極的にタイムを出して存在感をアピール、最終的に8番グリッドを獲得した。これは今シーズンの予選ベストリザルトだ。
これでホンダ勢は4台揃ってトップ10入り。メルセデスAMGもホンダ勢の速さを警戒しているのは明らかで、レッドブル・ホンダの動きに対応して、予選Q2をミディアムタイヤで通過している。
地元イタリアで一矢報いたいフェラーリもミディアムタイヤでQ2通過を狙ったが、それは叶わず、トップ10の中では、メルセデスAMGの2台とフェルスタッペンの3台のみがミディアムタイヤで決勝レースをスタートすることになった。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、決勝レースに向けて「エミリア・ロマーニャGP初日は、午前中にフリー走行を行い、午後には予選を戦うという忙しい一日になりました。短時間でセットアップを煮詰めなければならず、事前の準備も含めて、簡単ではありませんでした。そのような中でも、ホンダとして昨年のメキシコGPの以来の4台揃ってQ3進出と、いい結果を残すことができました。ホンダのパワーユニットを搭載した2台のマシンが2列目のグリッドからレースをスタートすることを楽しみにしています。アルボン選手が6番手、クビアト選手が8番手と、4台入賞が可能なポジションですので、きっちりとレースを走り切り、2チームともにポジティブな結果で終われるようにここからも最大限プッシュを続けていきます」とコメント。ドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「Q2で起きたトラブルでリズムが崩れ、慌ただしい予選でした。いつもなら予選では、あとどれぐらいタイムアップができそうかが分かっていて、それに向けて徐々にペースを上げていけるのですが、今日はそうもいきませんでした。Q2でミディアムタイヤを装着した状態で、Q3進出を賭けてたったの1周で決めなくてはならなかったのです。そのあとのQ3では、ソフトタイヤでの情報が少なかったため前半は少し苦戦をしました。3番手という結果は僕たちが叶えることができた最高の結果だったと思いますが、もしスムーズに予選を進められていれば、その差はもっと縮めることができたのではないかと思います。セッション後にメカニックたちには感謝を伝えました。再び彼らの素晴らしい作業に助けられ、無事にQ2に戻ることができました。例え不可能な状況に見える時でも、彼らはいつもベストを尽くしてくれて、とても誇りに思います。このサーキットは走るのがとても楽しいコースです。F1マシンが走行するには狭いサーキットなのではと思いましたが、そんなことはなかったようです。いいレースができるよう願っています」
アレクサンダー・アルボン
「とても僅差の予選で、僅か0.1秒の差で4番手を逃し、6番手という結果になりました。総合的に悪くない予選セッションでしたし、6番手スタートからいいレースにしていけると思います。予選は最初難しかったのですが、徐々にコンディションはよくなっていきました。Q3でトラックリミットをオーバーし、タイムが抹消となってしまいました。Q3のファイナルラップは常にリスクとチャンスと背中合わせです。もしあの時タイムをすでに出せていたら、リスクを負ってさらにプッシュをしていたと思います。狭いコース幅とタイヤのデグラデーションによって、決勝でのオーバーテイクは難しいかもしれません。しかし、誰にとっても新しいサーキットであり、未知数なことばかりだと思うので、決勝がどうなるか楽しみです」
ピエール・ガスリー
「とても忙しいセッションからスタートしました。たった1時間30分という短いフリー走行で、カバーしなくてはならないことがとても多かったのですが、走り出し1周目からマシンのバランスや感触はとてもよかったです。日曜日の決勝中のタイヤの摩耗具合を予測するため、何周かロングランを走行しました。終盤にはソフトタイヤでいいパフォーマンスを見つけ出すことができました。十分に戦える感触があったので、予選には自信を持って挑むことができました。このサーキットはとても素晴らしいサーキットです。予選で少ない燃料搭載量で走った時の感覚は、本当に素晴らしかったですし、僕のF1キャリアで一番の予選アタックをすることができました。僕のキャリア最高位となる決勝スタートグリッド4番手を獲得することができとても嬉しいです。チームはここイタリアで速さをみせることができています! 決勝レースでの課題は多くありますが、メルセデス勢とマックス(フェルスタッペン)の後ろというとてもいいポジションからのスタートとなるので、まずはスタートでポジションをキープし決勝を進めていきたいと思います。セッションのタイムシートを見ると決勝は僅差の争いとなりそうなので、今からとても楽しみです」
ダニール・クビアト
「予想していたとおり、フリー走行はとても忙しい時間になりました。リズムをつかむために、走行を重ね色々なことを試しました。予選での自分のラップには満足しています。とても僅差の戦いとなり、セッション終盤でのマージンはさほどありませんでした。0.15秒ほどミスをしなければ、もっといい結果となったはずですが、それでもこの予選での自分の走行には文句はありません。トラックリミットには注意しなくてはなりません。グラベルまでワイドにはみ出してしまうとペナルティとなるオールドスタイルなサーキットは、僕自身好きなタイプのコースです。Q3ではようやくリミットギリギリまで攻めることができました。このスタートポジションはいいチャンスとなるので、最大に活かして結果に結びつけられるよう、ベストを尽くして戦います」
タイヤを供給するピレリは「このグランプリの最適なレース戦略の計算は簡単ではないでしょう。チームにはデータが少なく、午前中のフリー走行はレースが行われる午後の暖かいコンディションとは異なるからです。多くのチームがプログラムを2台の車で分けることで、フリー走行から必要なデータを収集しましたが、それでも十分とは言えないでしょう。チームはいつもの土曜日より忙しく、最適なレース戦略を錬っているはずです。理論的にはワンストッパーが最速となりますが、ライバルと異なる戦略をとることでアドバンテージを得ようとするため、1ストッパーと2ストッパーの両方が見られる可能性があります。予選は気温23度と路面温度30度近くから始まりましたが、 レースでも同様のコンディションが予想されます」と分析している。
第13戦エミリア・ロマーニャGP決勝は11月1日 日本時間21時10分に(現地13時10分)に開始される。
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP 予選結果
PP 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:13.609
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:13.706
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:14.176
4位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) 1:14.502
5位 3 D.リカルド(ルノー) 1:14.520
6位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) 1:14.572
7位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:14.616
8位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) 1:14.696
9位 4 L.ノリス (マクラーレン・ルノー) 1:14.814
10位 55 C.サインツ (マクラーレン・ルノー) 1:14.911