2020年11月1日、 イタリア・イモラサーキットで行われたF1第13戦エミリア ロマーニャGP。予選でマックス・フェルスタッペンが3番手、ピエール・ガスリー4番手、アレクサンダー・アルボン6番手、ダニール・クビアト8番手と4台全車がトップ8に入ったホンダ勢、打倒メルセデスに向けて大きな期待がかかったが、クビアトが4位に入賞したものの、アルボンが15位、フェルスタッペンとガスリーはリタイアと残念な結果に終わった。ドライバーはこのレースをどう振り返ったのか。コメントが届いたのでそれをお伝えしよう。

抜きにくいコースだけにタイヤ交換の判断がポイントに

エミリア ロマーニャGPの決勝スタート。3番グリッドのフェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が好スタートを決め、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)をかわしてバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)に次ぐ2番手につける。

4番手からスタートしたガスリーも好スタートでハミルトンに並びかけるが、前をふさがれる形となって5番手に後退。さらにガスリーはラジエターのトラブルでピットガレージに呼び戻され、レースをわずか8周で終えることになった。

一方、6番手スタートのアレクサンダー・アルボンは、スタートで7番手にポジションを落としたものの、ガスリーのリタイアによって再び6番手に復帰。前を行くシャルル・ルクレール(フェラーリ)がアンダーカットを狙って早めのピットインを行いソフトタイヤからハードに交換したため、これに反応する形で14周目にピットに入った。

クビアトは順調にスタートを切った後、アルボンと同様に14周目にピットに入り、ソフトタイヤからハードに交換、実質7番手でコースに復帰する。

画像1: 抜きにくいコースだけにタイヤ交換の判断がポイントに

今回、大きなポイントとなったのがタイヤ選択とタイミング。想定よりもソフトタイヤが厳しく、ハードタイヤが50周の周回が可能というデータがあり、その上、イモラはオーバーテイクが難しいコースであることから、早めのタイヤ交換に踏み切るチームが出てきた。

そして、18周目には3番手フェルスタッペンがピットインしてミディアムタイヤからハードに交換。これを見て翌周にボッタスがピットインしてフェルスタッペンの1秒前をキープする。ここで暫定首位に立ったハミルトンはフェルスタッペンに対してオーバーカットを仕掛け、ボッタスはフェルスタッペンを抑える援護射撃役となっていく。ここが優勝争いの分岐点となった。

ハミルトンはその後、30周目のバーチャルセーフティカーの間に悠々とタイヤ交換を済ませ、ギャップを広げていく。

それでもフェルスタッペンはボッタスへプレッシャーをかけ続け、ついに43周目にボッタスのわずかなミスをついて2番手にポジションアップ。しかし、そのオーバーテイク後、ハミルトンを追う中で、突如右リアタイヤがバーストしてリタイアとなってしまう。

これによってセーフティカーが出動したが、ここでも判断が難しく、中団グループの順位に大きな影響を及ぼした。アルボンはコース上に留まることを選択した一方で、クビアトはピットインしてソフトタイヤに履き替える。

残り6周でのリスタート。クビアトはソフトタイヤの利を活かして、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)とアルボンをオーバーテイク。さらにルクレールもかわして4番手にポジションを上げる。ところが、アルボンはセーフティカー走行中にタイヤが冷えていた中で、ペレスとの攻防でスピンを喫し、最後尾の15番手にポジションを落としてしまった。

クビアトはさらにダニエル・リカルドに迫るがオーバーテイクはできず4位。アルボンはそのまま最後尾15位でレースを終えることになった。

タイヤを供給するピレリはエミリア・ロマーニャGPについて「スタート時の気温は21℃、路面温度は24℃で、レース中も同様のコンディションでした。セーフティーカーの導入が、1ストップ戦略を採っていた大半のドライバーを2ストッパーへ変更させました。ハミルトンはミディアムタイヤでライバルたちよりも長いオープニングスティントを走行しながらも、ピットストップ前には自身のラップを更新。バーチャルセーフティーカーのタイミングを活かし、トップを譲ることなくハードタイヤへ交換するという見事なレースでした。ソフトタイヤにグレイニングが発生したことから、戦略はミディアムやハードを主体とするものに変化しましたが、ミディアムタイヤのデグラデーションは少なく、多くのドライバーがハードタイヤで40周以上を走行しました。フェルスタッペンのハードタイヤに何が起こったのか調査する必要がありますが、現時点ではデブリによってパンクが発生した可能性があります」と分析している。

画像2: 抜きにくいコースだけにタイヤ交換の判断がポイントに

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、レースを終えて「今日のレースはフラストレーションの溜まる結果となりました。唯一、アルファタウリのクビアト選手が、レース終盤にセーフティカーで得たチャンスを逃さず、力強い走りによりホームレースでの4位入賞を果たしてくれたことがポジティブな結果です。予選まで両チームともに速さを見せられていただけに、2位を走行していたレッドブルのフェルスタッペン選手と、4番グリッドからスタートしたアルファタウリのガスリー選手がリタイアによりレースを終えたことは非常に残念に思っています。フェルスタッペン選手についてはタイヤのトラブル、ガスリー選手についてはラジエターの破損がリタイアの原因です。最後に、今シーズンのコンストラクターズタイトルを獲得したメルセデスに祝福の言葉を贈りたいと思います。本当に強いチームですが、我々も彼らに追いつき、追い越すためにこれからもプッシュを続けます。気持ちを入れ替えて、次戦の行われるイスタンブールに向かいたいと思います」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト

「とても楽しく実りあるレースでした。マシンの感触は素晴らしく、大いに走りを楽しみました!セーフティカーからのリスタートがとても重要で、そのラップでいくつもオーバーテイクを決めました。最後までダニエル(リカルド)をパスしようとかなりハードにプッシュしましたが、彼はタイヤをうまく温めていたので、残念ながら表彰台には届きませんでした。ただ、今日のドライビングには満足していますし、チームの仕事ぶりにもハッピーです。コンストラクターズランキングでフェラーリとの差が少しだけ縮まっているので、最後まで戦えればと思います」

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン

「スタートがよく、メルセデスの2台とのバトルを楽しむことができました。ルイス(ハミルトン)をスタートでかわし、早めにピットインしましたが、それにバルテリ(ボッタス)も反応してきました。彼はマシンにダメージを負っており、ピット後に前を抑えられる形となって、クリーンエアで走っていたルイスに差を広げられてしまいました。バルテリをパスしてからは、ペースがあってマシンの感触もよかったです。とても楽しく走れていたのですが、ストレートでタイヤに問題が発生し、コントロールを失いました。あのままいけば2位に入ってまた表彰台に上がれていたので、本当に残念です。こうしたことは起こるものですし、0ポイントは全く望んでいたものではないのですが、レース自体はとてもポジティブでした」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン

「最後尾でのフィニッシュとなりましたが、これが今日の実力を表したものではありません。トリッキーなレースで、またもトレイン状態の中で走行する展開となってしまいました。リスタートで何が起きたのか、まだきちんと把握していません。タイヤが冷えていて、セーフティカー走行中にピットインしたマシンを抑えるためにハードにプッシュする必要があったのですが、そこでスピンを喫してしまいました。結果論になりますが、違うやり方もあったのではないかと思います。最終的に上位でフィニッシュしたマシンのように、あのときピットインしてソフトに交換しておけば、よい結果が得られた可能性もあります。これは明らかに望んでいた結果ではありませんが、次のトルコに切り替えていきます。マシンの感触はよかったですし、土曜日の走行が改善できたので、いい結果を目指したいです」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー

「この結果は受け止めるのがなかなか難しいです。スタートは素晴らしく、ルイス(ハミルトン)に並びかけたのですが、彼はスペースを厳しく閉じてきたので、スピードを落とさざるを得ず、ダニエル(リカルド)の後ろにつく形となりました。ただ、その後マシンの感触は本当によく、5番手につけていました。レース前のレコノサンスラップで水圧低下が見つかり、チームは解決するために全力を尽くしてくれましたが、序盤の数周でリタイアすることになりました。今日の僕らには大きなチャンスがあったので、とても悲しいです。レースウイークを通じて調子がよく、フリー走行でも予選でもベストリザルトを記録しており、マシンは最初からとても力強く感じられました。いつでもリタイアはいいものではありませんが、特にここイモラはホームレースでしたし、トップ5に入れるポテンシャルがあっただけになおさらです」

次戦は2週間後の11月15日、トルコGP決勝がイスタンブール・パークで開催される。

2020年F1第13戦エミリア ロマーニャGP 決勝 結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 63周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG))+5.783s
3位 3 D.リカルド(ルノー)+14.320s
4位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) +15.141s
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +19.111s
6位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+19.652s
7位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+20.230s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+21.131s
9位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+22.224s
10位 9 A.ジョビナッツィ(アルファロメオ・フェラーリ) +26.398s
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15位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +57.284s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
リタイア 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)

F1ドライバーズランキング(第13戦終了時)

1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)282
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)197
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)162
4位 D.リカルド(ルノー)95
5位 C.ルクレール(フェラーリ)85
6位 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)82
7位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)69
8位 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)65
9位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)64
10位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)63

F1コンストラクターズランキング(第13戦終了時)

1位 メルセデスAMG 479
2位 レッドブル・ホンダ 226
3位 ルノー 135
4位 マクラーレン・ルノー 134
5位 レーシングポイント・メルセデス134
6位 フェラーリ 103
7位 アルファタウリ・ホンダ 89

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