「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「日産 GT-R」だ。

日産 GT-R(2010年:イヤーモデル)

画像: 外観上からは、2010年モデルを識別することは難しい。従来型のオーナーに対する配慮もあるのだろうか。

外観上からは、2010年モデルを識別することは難しい。従来型のオーナーに対する配慮もあるのだろうか。

日産GT-Rが登場したのは2007年のこと。世界最強のスーパーカーとして君臨することを使命として誕生し、超ド級の性能を披露した。しかも、毎年のようにGT-Rは確実に戦闘力をアップしている。2007年モデルより2008年モデルはさらに戦闘力が増したし、2009年モデルでなおも熟成が進んだ。さらにスペックVも投入された。そこに現れたのが2010年モデル。はたして、その性能は大いに気になるところだ。

とはいえ、GT-Rの2010年モデルはスペック表を華やかに彩るようなインパクトのある改良はされていない。走りに影響しそうな項目は以下の3つ。すなわち、フロントサス&ダンパーの精度アップ、リア ラジアスロッドのブッシュ強化、通気抵抗の少ない触媒セルの採用、といったところだ。諸元表に変更はない。

だが、実際に走らせると違いは明かだった。まず乗り心地が大幅に改良された。脳天を無遠慮に刺激するような突き上げが薄れている。路面の安定したサーキットだけでなく、高速道路や一般道でも試乗してみたが、あきらかに乗り心地の違いを確認できた。ロールとピッチングの剛性は落とされていないのに突き上げが格段に減っている。精度の追求というレベルを超えた次元で、フラットライドを得ている。

リアの安定感も高まった。これまでのように、唐突にテールがブレークする頻度は低くなった。ブレーキングからのテールスライドアクションや、立ち上がりでのテールスライドなど、その量はともかく過渡特性は格段に穏やかになった。スライドする予兆を感じさせてくれるから、致命的なミスを犯さなくてすむ。

ただし、低回転域のレスポンスに貢献するであろうと思われた触媒セルの変更は、残念ながら今回の試乗では違いを確認できなかった。

画像: 専用開発された3.8LのV6ツインターボ「VR38DETT」をフロントミッドシップに搭載。低回転域から発生する強烈なトルクが魅力だ。

専用開発された3.8LのV6ツインターボ「VR38DETT」をフロントミッドシップに搭載。低回転域から発生する強烈なトルクが魅力だ。

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