サーキットも似合う、MINIの走りの象徴

テストドライブが行われたのはスペインのマヨルカ島で、空港へ到着するとすぐにキーを手渡された。

プッシュ式のキーでエンジンをスタートさせ、設定されたナビの行き先を見ると、この島のマヨルカサーキットへ向かっている。この指示を見ただけでBMWがこのJCWに託した使命が明らかである。

まずは高速道路に入る。スペインの高速道路の制限速度は130km/hである。スロットルを踏み込むと、わずかな助走距離で130km/hをマークした。驚くのはこのような高速域でもステリアングは適度に重く、しかも直進安定性に優れている。室内は静寂とは縁遠いが、速度に応じて侵入してくる音は整理されており、ノイズで疲労することもない。

高速道路を降りて、しばらく走るとワインディングに変わる。ここでは、シャープでしかも路面状況を正確に読ませてくれるステアリングによる、MINI特有のカート感覚を存分に楽しませてもらった。しかもこのJCWの進入と脱出速度は、スタンダードのMINIとは比較にならないほど高いのだ。

やがて島の南にある、全長およそ3.2kmのマヨルカサーキットに到着する。シフトノブの奥にあるボタンを押して「スポーツモード」を選択してコースイン。このモードはスロットルとステアリングの反応を鋭くしてくれる。続いてDTC(ダイナミック トラクション コントロール)オフで慎重に挙動を確認する。

どのコーナーでも非常にコントローラブルだが、オーバースピードで飛び込んだ時にはアンダーが出る。そこではやはり確実なステアリング操作が要求される。またEDLC(エレクトロニック ディファレンシャル ロッキング コントロール)はタイトなコーナーで有効に働く。

このサーキットには200km/hに届くストレートと、それに続くほぼ直角の右コーナーがあるが、ここではコントローラブルで確実な制動力を発揮するJCW専用ブレーキの性能も確認することができた。このブレーキはMINIチャレンジ用に開発されたコンペティション仕様で、制動力の立ち上がりがとてもに力強く、しかも車体は非常に安定したまま速度エネルギーだけが減少していく。

ピットへ戻りあらためてこのJCWを観察する。実は内外装に、スタンダードのクーパーSとの違いが少ないことが気になっていたのだ。明らかな違いは、205/45R17サイズのタイヤ、「クロススポークチャレンジ」という名のアルミホイールからのぞいた真っ赤なブレーキキャリパー、JCWエンブレムくらいである。

MINIのブランドマネージメントを担当する副社長ヴォルフガング・アルムブレヒトは「MINIのオーナーは個性を尊重するのでベース車両は意図的に控え目に仕上げています」と、その戦略を語っている。

ところでこのJCWのドイツでの価格は2万7700ユーロ(約470万円)である。クラブマン仕様では2万9500ユーロ(約500万円)となる。

欧州では2代目MINIは大成功で、2008年上半期で12万7000台が販売された。これは昨年同期より18%も増加している。このままいけば今年の目標である24万台は確実にクリアするだろう。そしてこのJCWは、MINIのイメージ向上に大きな役割を果たすに違いない。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年9月号より)

画像: インテリアはピアノブラックのトリムとなり、スピードメーターが260km/hまで刻まれる。

インテリアはピアノブラックのトリムとなり、スピードメーターが260km/hまで刻まれる。

ヒットの法則

MINI ジョンクーパーワークス 主要諸元

●全長×全幅×全高:3730×1683×1407mm
●ホイールベース:2467mm
●車両重量:1130kg(EU)
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:211ps/6000rpm
●最大トルク:260Nm/1850-5600rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT
●最高速:238km/h
●0→100km/h加速:6.5秒
※欧州仕様

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