2021年3月11日に、マセラティ初のミッドシップ スポーツカー「ボーラ」は発表から50周年を迎えた。日本では1970年代後半の第一次スーパーカーブームで一躍有名になった1台だが、デビュー50周年を機に、どんなクルマだったかをマセラティから送られてきた写真とともに振り返ってみよう。

4.7LのV8をジウジアーロ デザインのボディにミッドシップ搭載

画像: 1971年のジュネーブ国際モーターショーに展示されたボーラ。

1971年のジュネーブ国際モーターショーに展示されたボーラ。

マセラティ初のミッドシップ スポーツ「ボーラ」は、1971年3月11日、ジュネーブ国際モーターショーでデビューした。ボーラ(BORA)という名は、マセラティ伝統の「風」シリーズのひとつで、アルプス山脈からアドリア海へと吹き下ろす冷たい地方風に由来するという。

ボディのデザインを手がけたのは、イタルデザインを立ち上げて間もない新進気鋭のジョルジェット・ジウジアーロ。既に数多くのスーパーカーのプロトタイプや市販車を手がけていたジウジアーロだが、ボーラはそれらの前衛的なデザインとは異なっていた。それでも、リトラクタブル ヘッドランプを採用し地を這うようなファストバックのシルエットは、スーパーカーにふさわしいものだった。

空気を切り裂くように低目に位置するスレンダーなテーパー状のフロントデザインは、二つの長方形のエアベントを持ち、その中央にマセラティのシンボルであるトライデントが備わる。美しいサイドラインにはボディ上下を二分割するように配されたブラックラバーのトリムがリアまで回り込むなど、ボーラは気品も感じさせる、大人のスーパーカーといったスタイリングだった。

画像: ミッドシップだが、リアとリアクオーターにはウインドーが備えられていた。

ミッドシップだが、リアとリアクオーターにはウインドーが備えられていた。

エンジニアリング デザインはジュリオ・アルフィエーリが担当した。最高出力310psと最大トルク47.0kgmを発生する4.7LのV8 DOHCをモノコックに連結されたサブフレームに縦置きミッドシップ搭載し、マセラティとしては初採用の四輪独立サスペンション、四輪ディスクブレーキ、乾式シングルディスク クラッチ、テレスコピック式ダンパーなどを備え、最高速度は280km/hを超えながら、エンジンの俊敏なレスポンスと静かな室内空間により、快適性とパフォーマンスを両立させていた。

ボーラは1978年までに564台が生産された。その誕生から50年を経た今も、スポーティさや見紛うことのないデザインはマセラティ車にも受け継がれている。そして、ボーラからティーポ63「バードケージ」、MC12と繋げられてきたミッドシップ スーパースポーツの系譜はいま、MC20へと継承されている。

画像: リクラインしないシートやメーターがズラリと並ぶインパネなど、初期のスーパーカーらしいインテリア。

リクラインしないシートやメーターがズラリと並ぶインパネなど、初期のスーパーカーらしいインテリア。

■マセラティ ボーラ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4335×1768×1134mm
●ホイールベース:2600mm
●重量:1400kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:4719cc
●最高出力:310ps/6000rpm
●最大トルク:47.0kgm/4200rpm
●燃料タンク容量:90L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前205/70VR15、後215/70VR15

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