AMG譲りのV12は800psを発生。その加速感はまるで「テイクオフ」
ウアイラ ロードスターBCに搭載される6L V12エンジンは、メルセデスAMGから供給されている。マイバッハ向けの530ps仕様を除いてすでに生産が終了されたユニットだが、最高出力802ps／最大トルク1050Nmのスペックはもちろん、パガーニならではのハイチューン版だ（メルセデスAMGでV12を搭載した最終モデルS65 ファイナルエディションでも630ps／1000Nmだった）。それでいながらハイブリッドなどのアシストに頼ることなく、世界でももっとも厳しいカリフォルニアの二酸化炭素排出量、ガス排出基準にまで対応しているというから驚く。
組み合わされるギアボックスは、Xtrac社製の7速シーケンシャルミッション。一般的なデュアルディスクではなく、トリプルディスククラッチ構造を採用する。軽量化とともに、トランスバーサル構造によって極慣性モーメントも最適化されているという。サスペンションにはボッシュ社の電子システムを採用し、コントロール性、安全性を極限まで高めている。
車両重量はわずか1250kg。パワーウェイトレシオは実に1.56kg／psしかない。
タイヤとホイールも、実にスペシャルなしつらえだ。ピレリ社がこだわりまくって作り上げた専用の「Pゼロ トロフェオ R」のトレッド面は一見すると、一部だけわずかに凹んでいる「ほとんどスリック」状態。公道ユースでは不安感を覚えそうなパターンデザインだが、実際にはドライバーの熟練度や天候に関係なく、優れたコントロール性能を実現しているという。
前20インチ、後21インチのホイールは、長くてディープな14本スポークがエレガントかつスポーティな足もとを演出。リムの部分には航空機のボディやターボチャージャーの素材としても利用されるアビオナル合金が用いられるなど、軽量化も徹底されている。スポークの間からは、前6ピストン、後4ピストンのブレンボ製カーボンセラミックシステムブレーキが覗く。
フロントが 365／30R20、リアは 355／25R21 という大径タイヤを装着。ご先祖様のパガーニ ゾンタと比べると、タイヤ切れ角が十分確保されて運転しやすくなったという。
ことほどさようにパガーニ ウアイラ ロードスターBCとの邂逅はきわめてエキサイティングなものだったけれど、取材を終えてひとつだけ不満が残った。それは、ハンドルに手を触れることすらできなかった・・・ということ。極上の据え膳を目の前にしながら、なんという無念。
撮影に協力してくれたパガーニのスタッフ曰く、「全開にすると、まるで飛行機が離陸していく時のような爽快感が味わえるそうです」と、ますます期待感を煽ってくれた。その爽快感をテイスティングする機会が来ることはおそらくないだけに、さらに残念無念な気分。いやいや・・・あきらめるものか・・・。
パガーニ ウアイラ・ロードスターBC 主要諸元（目標推定値）
エンジン：AMG製 M158型 60度 V型12気筒SOHC 36バルブ ツインターボ
総排気量：5980cc
最高出力：802ps／5900rpm
最大トルク：1050Nm／2000−5600rpm
乾燥重量：1250kg
トランスミッション：XTRAC製 7速シーケンシャルトランスミッション
駆動モード：RWD／ミッドシップレイアウト
最高速：非公開
0→100km／h加速：非公開
ブレーキ：ブレンボ製
フロントブレーキ：6ピストン＆ローター径398mm
リアブレーキ：4ピストン＆ローター径380mm
タイヤ銘柄：ピレリ Pゼロ トロフェオR
タイヤサイズ：前365／30R20・後355／25R21
ボディ構造：Carbo-Titanium HP62 G2／Carbo-TriaxHP62
パガーニ ウアイラ ロードスター BC
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