1980〜1990年代にかけて「クロカンブーム」を支えた4WDが各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第26弾はいすゞ「Mu(ミュー)」だ。

4ドア5人乗りの「ミュー ウィザード」がデビュー

画像: 1995年に登場した4ドアの「ミュー ウィザード」。ウィザードは魔法使いを意味する。

1995年に登場した4ドアの「ミュー ウィザード」。ウィザードは魔法使いを意味する。

1995年、ビッグホーンロングのシャシを用いた4ドア5人乗りの「ミュー ウィザード」がデビューした。足まわりはミューとは別物で、ビッグホーンのサスペンションを応用した。フロントにダブルウィッシュボーン、リアに4リンクコイルリジッド式サスペンションを搭載。しかし、エンジンはミュー同様の4JG2型であったことから、ビッグホーンで定評のあった3.2L V6ガソリンエンジンを望む声も多かった。

そして1998年にフルモデルチェンジを迎えると「ミュー ウィザード」は、ビッグホーンよりもリーズナブルなSUV「ウィザード」として独立車種となった。その際に待望のV6ガソリンエンジン6VD1型(最高出力215ps/最大トルク30.0kgm)を搭載した。ディーゼルエンジンも一新し、2999cc 直4のコモンレール式ディーゼルターボ 4JX1型(最高出力145ps/最大トルク30.0kgm)をラインアップした。

ガソリンには4速ATが、ディーゼルには4速ATと5速MTも選択できるようになった。シャシもオリジナル版を新開発し、100kgもの軽量化を実現。合わせてリアサスペンションを5リンク式へ変更すると共に、前後輪のトルク配分を0:100から50:50に自動制御するTOD(トルク・オン・ディマンド)、走行中でもワンタッチで2WD/4WD(TOD)への切り替えが可能なシフトオンザフライシステムやリアLSDなど、最新機能を満載してデビューした。

一方、2ドアのミューは5人乗りの2代目となり、ディーゼル4JX1型、4速ATのみと車種を整理。Bピラーは残ったが、初代より大人びたシルエットにリニューアル。オープントップボディも継続された。TODこそ搭載されなかったが、シフトオンザフライシステム、LSDなどを標準装備し、クロカン四駆らしい機能は継承されていた。2000年になるとオープントップに、2001年にはレンジトップもウィザード同様の3.2L V6の6VD1型エンジンに換装された。

そして2002年、いすゞ自動車の乗用車部門の撤退に伴い、印象的なスタイルで強い存在感を示したミューとウィザードは、その使命を終えることとなった。なお、オセアニアや北アメリカなどでは、2005年まで活躍した。

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