アウディのQシリーズにまた台魅力的なSUVが加わった。新型Q5である。最新のQシリーズのデザイン言語が用いられたエクステリアデザインと最新のインフォテインメントシステムを採用したインテリア、そしてパワートレーンに12Vマイルドハイブリッドシステムの搭載など、多角的にアップデートされた。競合車の多いこのSUVセグメントで、新型Q5はトップランナーとして走り続けられるのか。(Motor Magazine2021年4月号より)

新デザインのデイタイムランニングライトを採用

日本市場での初代のデビューは、2009年。Q7に次ぐアウディの第二のSUVとして登場したのがQ5である。その第二世代は2017年に導入された。そしてこのSUVは、日本だけではなくヨーロッパ市場でも人気モデルとなり、長年、プレミアムミッドサイズセグメントのベストセラーSUVとなっている。そのQ5がマイナーチェンジした。どのような進化を遂げたのだろうか。さっそく取材した。

まずはディテールから。今回導入されたグレードは、アドバンスドとSラインの2モデル展開。主な特徴は3つである。エクステリア&インテリアデザインの変更、12Vマイルドハイブリッドシステムの搭載、そして最新のインフォテインメントシステムMIB3の初採用である。それらから紹介しよう。

エクステリアでは、八角形のシングルフレームグリルを採用、インテークの開口部は広がり台形デザインとなり、最新のアウディのQファミリーだとひと目でわかるデザイン言語が用いられた。またLEDヘッドランプ上部には新しいデザインのデイタイムランニングライトも採用されている。ちなみにグリルは、Sラインがチタンブラックのハニカムメッシュ、アドバンスドは、グリッド形状にマットアルミルックの垂直ラインが特徴だ。

サイドでは、シルインサートのデザインが見直された、そしてリアエンドも新しいデザインとなり左右のリアコンビライトを繋ぐ新しいトリムエレメントで一体感を強調、さらにダイナミックターンインジケーターも採用された。

画像: 取材車のボディカラーはクワンタムグレー。これはSQ5およびSラインの専用カラーである。

取材車のボディカラーはクワンタムグレー。これはSQ5およびSラインの専用カラーである。

12Vのマイルドハイブリッドを搭載して効率がアップした

次にパワートレーン。2L直4ディーゼルターボエンジンのTDI(204ps/400Nm)と2L直4ターボエンジンのTFSI(249ps/370Nm)、そしてV6ターボエンジンを積んだSQ5(345ps/500Nm)の3種類が揃う。トランスミッションは、SQ5のみ8速AT(ティプトロニック)を採用するが、それ以外は7速DCT(Sトロニック)となる。

そしてTDIとTFSIには、ベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)と12Vリチウムイオンバッテリーを採用する、マイルドハイブリッドシステム(MHEV)を搭載した。さらにAWDクラッチ付きクワトロシステムは、7速DCTと組み合わされ、システムが4WD走行を必要としないと判断するとAWDクラッチがリアドライブシャフトを切り離し前輪のみにトルクを配分する。もちろんその変化をドライバーが感じることはできない。またコースティング時にはエンジンも完全停止させるなど効率にも優れる。

インテリアも大きくアップデートされた部分である。まず一番最初に気が付くのはMMIコントローラーがなくなったことだ。これだけでセレクターまわりがかなりすっきりと整理された印象となった。しかし多彩な機能が省かれた訳ではない。10.1インチに拡大されたタッチ式ディスプレイ内にすべて集約されることとなった。

MMIインフォテインメントシステムは、従来の倍の処理速度を持つというMIB3に進化した。もちろん音声入力システムを備え、「Hey、Audi」の掛け声で起動する。目的地入力やエアコンの温度調節などが可能となっている。またネットワーク接続は、これまでのSIMカードではなく、eSIMを用いて行われる。

ちなみにeSIMは、SIM機能がすでに端末(クルマ)に組み込まれている。これによりアウディコネクトも確実に進化、WiFiホットスポットとして機能するのでPCやタブレットとの接続も可能だ。今回はスマートフォンとの連携機能を主にテストしたが、とてもスムーズかつ扱いやすい。難しい取説をじっくり読まなくても直感的に使用することができた。これらすべてが新型Q5のポイントだ。

今回試乗したのはTDI Sライン。SQ5/Sライン専用のボディカラー「クワンタムグレー」が実に新鮮だ。走り出した当初は、土砂降りと言っていい雨で、走るには最悪のコンディションだ。高速道路には、ところどころの轍に水が溜まりとても走り難い状況だったが、クワトロシステムを採用するQ5は、終始安定した走りを見せてくれた。こんな時は、「やはり四駆だな」と改めて実感した。

画像: アウディらしい上質なインテリアは健在。タッチ式スクリーンは10.1インチとなり最新のインフォテインメントシステムMIB3を採用する。

アウディらしい上質なインテリアは健在。タッチ式スクリーンは10.1インチとなり最新のインフォテインメントシステムMIB3を採用する。

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