ホンダパワーでメルセデス勢を完封
初日金曜日のフリー走行から好調のレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、予選直前のフリー走行3回目でもトップタイムを記録。順調な仕上がりを見せていた。
予選が始まると、フェルスタッペンはQ1をトップタイム1:30.499で通過。Q2ではミディアムタイヤで1:30.318とさらにタイムを更新して、あっさりと決勝スタートの準備をしてクリアすると、Q3では最後のアタックで1分28秒997をマーク。2位のメルセデスのルイス・ハミルトンに0.388秒差をつける圧巻の走りで、2020年最終戦アブダビGPに続いて通算4回目となるポールポジションを獲得した。
「ホンダのラストイヤー」となる今年、その開幕戦の予選で、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダが圧倒的な速さを見せつけたのには大きな意味がある。メルセデス勢も2番手、3番手につけるなどやはり速さを見せているだけに予断は許されないが、まずは幸先のいいスタートとなった。
ホンダ勢ではピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が予選5番手と好調。新しいチームメイトの角田裕毅の走りに刺激を受けて覚醒した感がある。しかも、ガスリーもミディアムタイヤで決勝スタートとなるので、楽しみだ。
ルーキーの角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、ソフトタイヤを履いて、いきなりQ1でハミルトンを上回る2番手タイム1:30.607をマークして周囲を驚かせたが、その好調ぶりがQ2では裏目に出た。決勝スタートのタイヤを決めるQ2ではミディアムタイヤを選択。レッドブル、アルファタウリ、メルセデス以外の全チームがソフトタイヤに変更する中、果敢にミディアムでの通過を狙ったが、思ったようにタイムアップとはいかず、Q3進出はならなかった。
しかし、その速さは印象的で、決勝レースでの自由にタイヤが選択できる13番グリッドからスタートは大いに期待できる。
今シーズンからレッドブル・ホンダに移籍したセルジオ・ペレスは、Q2の最初のアタックでコースをはみ出してタイム抹消となったのが痛かった。Q2最後のアタックでもタイムを伸ばしきれず、ミディアムタイヤでのQ2クリアはならなかった。チームメイトのとの差が気になるが、決勝に強いドライバーであるだけに挽回が期待できる。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手がポールポジションを獲得し、アルファタウリ・ホンダのガスリー選手が5番手と決勝レースに向けて非常にポジティブな結果になりました。レッドブル・ホンダのペレス選手と今回がF1デビューのアルファタウリ・ホンダの角田選手は、レーススタート時に使用するタイヤが決まるQ2セッションをミディアムタイヤで突破しようとしたものの、惜しくもQ3に進むことができず、それぞれ11番手と13番手となりました。最終予選結果では13番手となった角田選手ですが、Q1をフェルスタッペン選手に続く2番手タイムで通過するなど、ペレス選手とともに素晴らしいスピードを見せていますので、レースでの走りに期待したいと思います」とコメント。ドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「ポールポジションを獲得できて素晴らしい気分で、こうやってシーズンのスタートを切れるのは初めてです。アブダビでの勝利の後、チームは全員が士気高く、本当にハードに取り組んでくれました。この先も同じようにいくかは分かりませんが、現場とファクトリーのみんなが最高の仕事をして、僕にこのマシンをもたらしてくれました。彼らのことを誇りに思います。そして、ホンダもこれまでと同様にこのオフシーズンも懸命に働いてくれました。彼らはいつも全力を尽くし、僕らと同様に勝利を望んでいます。彼らと仕事をするのがとても楽しいですし、情熱にあふれているところが好きです。彼らの取り組みは素晴らしく、今日の結果はホンダの功績によるところが大きいです。テストを終えても、自分たちの立ち位置を計るのは難しく、予選でどうなるのか、全く分かりませんでした。でも、今日のQ3のようなラップができて、マシンの感触がよければうれしいものです。決勝できちんと結果を出さなければなりませんが、いいスタートが決められれば、いい仕事ができる自信はあります」
セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
「ポールポジションを獲得したマックスとチームにはおめでとうと伝えたいです。シーズンのスタートとしては完璧な結果です。僕にとっては、予選11番手というのは予想していませんでしたし、いいスタートでないのは明らかですが、進歩している部分はあり、まだ十分ではないけれども、今日も前進することができました。Q2でミディアムタイヤを使うのは正しい戦略でしたが、残念ながらうまくまとめられずにいいラップが刻めませんでした。ターン13でふくらんでしまい、0.2秒ほど失ったのですが、僅差の争いで、Q3に届きませんでした。Q3で走れれば、走行機会を伸ばすとともにマックスとの比較もでき、僕にとっても有意義になるはずだったので、残念です。しかし、レースでは何が起きるか分からないので、挽回できればと思います」
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
「率直に言うと、少しがっかりしています。Q1でペースは発揮できましたし、Q2での戦略にも自信があったのですが、最後のアタックで十分なグリップを得られませんでした。上位のグリッドでスタートできないのは残念ですが、レースペースがあるのは分かっているので、何ができるか見ていきます。1周走るごとに学びが深まっているので、レースまでにエンジニアと今日のデータを分析していきます。一方で、初めてのF1予選ながらもマシンに自信を持てているなど、今日はポジティブな面もたくさんありました。戦えるポジションにいますし、レース中に順位を上げられるポテンシャルもあると思います」
ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
「今日の自分のパフォーマンスには心から満足しています。このチームでの予選の最高成績の一つといえると思います(昨年のエミリア・ロマーニャGP予選4番手が最高)。今年最初のレースなので、今後のシーズンを見越して自分たちのポテンシャルを示すということが重要でしたが、うまくいったと思います。Q2でミディアムタイヤしか使わないというのは大きなリスクもはらんでいましたが、狙い通りにいったので、レースでこれがアドバンテージになればと思います。このスタート位置を最大限に活用していきます。僕らにとっては間違いなく大きなチャンスですので、チームへ大量のポイントを持ち帰れるように全力を尽くします」
タイヤを供給するピレリは、決勝レースに向けて「予選の路面コンディションはドライで、気温は30度、路面温度は33度前後でした。トップ10ドライバーの中では、メルセデスのふたりと、レッドブルのフェルスタッペンとアルファタウリのガスリーがミディアムタイヤで決勝スタートすることになりました。さまざまなタイヤ戦略が考えられ、コンディション次第で戦略がさらに複雑になる可能性がありますが、2ストッパーが最も可能性の高いシナリオになるでしょう。理論的に最も速いのは、18周のミディアムタイヤを2スティント、これに21周のハードタイヤを組み合わせた2ストッパーですが、これはミディアムタイヤでスタートするドライバーが有利であることを示しています。2番目に速い2ストッパーは、14周のソフト、24周のハード、そして最後の19周のミディアムという戦略です。ソフト15周-ミディアム21周-ミディアム21周という戦略は少し遅くなるでしょう」と分析している。
2021年バーレーンGP決勝は日本時間3月28日24時(現地18時)に開始される。
2021年F1第1戦バーレーンGP予選 結果
1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:28.997
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス) 1:29.385
3位 77 V.ボッタス(メルセデス) 1:29.586
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:29.678
5位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ) 1:29.809
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス) 1:29.927
7位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス) 1:29.974
8位 55 C.サインツ(フェラーリ) 1:30.215
9位 14 F.アロンソ(アルピーヌ) 1:30.249
10位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス) 1:30.601
11位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)
13位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)