いざ乗ってみると驚きの連続、レストア無間地獄への第一歩だった
この初期型ロードスターは、編集プロダクションの同僚が所有していた車両で、当時制作していたチューニング雑誌で色々とカスタマイズされていた。そんな彼が手放すという噂を耳にした頃に、ちょうどロードスターの制作物を手がけることが決まっため、即決で購入した!
4040号を手に入れたのは、2002年のこと。1994年式なので登録から8年とそんなに年数が経過しているわけではないのだが、見た目は悲惨なものだった。雑誌の企画で痛めつけられた姿は、缶スプレーによるイエロー塗装、しかもDHT(デタッチャブルハードトップ)はサフェーサー状態のままだった。ちなみに購入価格は10万円。
いざ運転してみると・・・。マニュアルシフトをコキコキシフトアップしていき5速に入れたとたん、ギアがすっぽ抜けてニュートラル状態に! という想像もしなかった恐ろしい症状を早々に体験。エンジンルームを覗けば、オイルレベルゲージの取っ手がない。このロードスターは、以前何回か運転させてもらったことはあったのだが、知らぬ間にこんなヒドイ扱いを受けていたなんて・・・。
そんな状態のクルマだけに「ヨレヨレ号」と愛称を決め、当然希望ナンバーは4040に決定。できの悪い子ほどかわいいもんさ! とにかく、まともに走れるようにしてやらねば。まずは5速のすっぽ抜けを改修する作業を開始。これはシフトの根元にあるプラスチック部品が砕けているのが原因だったので、さっそく新品に交換。純正品でもよかったが、意外にもクスコから真鍮(しんちゅう)品が発売されていたのでこれに交換。
次に外装の見た目がとにかく悲惨だったので、バイクメーカー「カワサキ」のライムグリーンに全塗装した。下地もしっかり落としてもらったので、仕上がりには大満足! これで街中を走っていても、白い目で見られなくなり、ひと安心。
レストア企画に最適なクルマだが、そこは無間地獄への入り口だった
オーナーが代っても、雑誌の企画に使われることに変わりない。ただしこれまでと違って「きちんと走れるようにする」このことだけに重きをおくぞと心に決めた。
DHT(デタッチャブルハードトップ)で不便なのは、外したとき必要になる保管スペースだ。よってオープンにする機会が限られる。そこで4040号には中古のNB用ソフトトップを取り付けることにした。NB用はリアがガラスなので視界も良好だ。
そしてボディカラーはライムグリーンからデミオのスピリティッドグリーンへと再塗装。GTウイングなんかも装着し、読者からは「全然ヨレヨレじゃないよ」なんて言われていたが、なんだかシャキッとしない状態が続いた。ようやくロードスターらしいスポーティな走りを楽しめるようになったのは、ニーレックスのナックルサポートを装着してからだ。
純正シートの張り替えや、タンカラーをブラック塗装したりするなどして、インテリアもそれなりに仕上がっていった。そして時には、九州ジャンボリーの参加を目標に、東京から西へ西へと取材しながら移動。そして翌日には、福岡から東京まで一気に戻るなど、ヘビーな使い方もしたが、問題なく走るいい子に成長していた。
やがてヨレヨレ号のほかに、3代目ロードスター(NCEC)の1515号(いこいこごう)も仲間入りし、走行距離は伸びなくなっていった。そこへヨレヨレ号に大きな悲劇がっ! エアコンの故障だ。これでは夏は乗れないし、雨の日も乗れない。それでも1515号があったので移動に支障がなかったので、エアコンの修理はスルーしていた。
でも、乗れば「やっぱりNAっていいよな」と実感する。すると今度は1515号にトラブル発生で走行不能に。ここでようやく重い腰を上げて、4040号のエアコン問題を解消する決意をする。同時に車検時に指摘されていたベルト類を取り急ぎ交換するなどして準備を開始した。
それと当時にソフトトップのキャッチも効かなくなっていたので、ここも交換。いつだったか隙間から雨水が入ったらしく、しばらく運転して降車してみると、背中からお尻が湿っぽいことがあった。こんな状態を放っておいてもいいことはない。そんなわけで、心してリフレッシュする気構えが整った。次回は、レストアに向けた準備を紹介したい。