「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アバルト プント エヴォだ。

現代のサソリは速いだけのクルマではなかった

画像: エンジンの基本は以前に紹介したミトと同じだが、28ps/40Nmもパワフル。しかもSモードでは最大トルクは250Nmまでアップする。

エンジンの基本は以前に紹介したミトと同じだが、28ps/40Nmもパワフル。しかもSモードでは最大トルクは250Nmまでアップする。

ブラック基調のスパルタンなコクピットに乗り込み、ワインディングロードを目指す。クラッチの踏力は重くなく、ストップ&ゴーが続いても苦にはならない。最近流行のダウンサイジングターボとなるエンジンは、ノーマル時はアバルトを意識させない「普通」のユニットだが、シフト奥のスイッチでSモードに入れると性格は一変する。

ECUの設定変更で低速域からトルクが盛り上がり、0→100km/h加速が7.9秒という、けっこうな加速感を味わえる。電動パワーステアリングはアシスト量を軽減したハンドリングとなり、TTC(トルク トランスファー コントロール)は自動的にONとなってハードなコーナリングでも適切な駆動力を路面に伝える。

乗り味は現代のクルマとしてはかなりスパルタンだが、けっして不快なレベルではない。はやる気持ちを抑えて、オートエアコンの効いた室内でHi‐Fiオーディオのサウンドを楽しみながらのハイウエイ クルージングを満喫することも可能なくらいだ。

1980年代に「フィアット リトモ アバルト」というゴルフGTIイーターのホットハッチが存在したが、このクルマは、まさにその再来だ。ワインディングを駆けまわるのが実に楽しい。だが、現代のサソリは速いだけではない。アイドリングストップ機能も備えた、環境にも優しいクルマだったのだ。

画像: ルーフスポイラーやサイドスカートをはじめ、デュアルのエキパイにオーバーフェンダーなど、迫力満点のリアビューを見せつけて走り抜ける。

ルーフスポイラーやサイドスカートをはじめ、デュアルのエキパイにオーバーフェンダーなど、迫力満点のリアビューを見せつけて走り抜ける。

■アバルト プント エヴォ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4080×1720×1490mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1260kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1368cc
●最高出力:120kW<163ps>/5500rpm
●最大トルク:230Nm<23.5kgm>/2250rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:未発表
●タイヤ:215/45R17
●当時の車両価格(税込):289万円

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