2021年4月18日、F1第2戦エミリア・ロマーニャGP決勝がイタリア・イモラサーキットで行われ、注目の角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は12位に終わった。好調ぶりが伝えられていただけに残念だが、レースの裏でなにがあったのか。アルファタウリ・ホンダの情報をお届けしよう。

決勝はソフトタイヤで8位から追い上げ開始したところでスピン

F1デビューイヤーの角田裕毅にとって、エミリア・ロマーニャGPはほろ苦いレースとなった。

まず予選、角田は好調で、予選Q1最初のアタックのセクション1を好タイムでクリアすると、さらにペースアップするものの、バリアンテ・アルタ(ターン14〜15のシケイン)の進入でオーバーステア気味になり、後方からバリアへ衝突してクラッシュ。これにより赤旗中断となり、角田はいきなり予選ノータイムで決勝最後尾スタートが決まった。

予選後、角田は「予選でのクラッシュは僕のミスで、チームには申し訳なく思っています。シケインの入口でプッシュしすぎてコントロールを失ってしまいました。そのコーナーを迎えるまで、マシンの感触はとてもよく、いいラップだったので残念です。おそらくタイヤ1セットのみでQ2進出を決められたと思います。決勝レースでは、後方から可能な限りプッシュして、追い上げていければと思います。マシンの感じは本当にいいので」と語っている。

アルファタウリ・ホンダ、そしてホンダ勢の好調は予選の結果に表れていて、角田のチームメイト、ピエール・ガスリーは予選5番手。レッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスが2番手、マックス・フェルスタッペンが3番手と、角田以外のホンダ勢3台はすべてトップ5に入っている。

通常、決勝レースは予選Q2に使用したタイヤでスタートするのだが、スタートの約1時間前に雨が降り出したことから、全ドライバーがスタートタイヤを選択可能となった。角田はこのとき浅溝のインターミディエイトを選択、ガスリーはウエットタイヤを装着する。

角田は決勝オープニングラップで最後尾から14番手までジャンプアップ。その後、少しずつ順位を上げて10番手を走行する中、34周目にジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)バルテリ・ボッタス(メルセデス)のクラッシュが発生、レースは赤旗中断となる。一方のガスリーは、ウエットタイヤでスタートしたことが裏目に出て、苦戦を強いられていた。

この中断でマシンの整備とタイヤの交換が可能だが、角田はここでソフトタイヤを選択。リスタートで8番手までポジションを上げたものの、直後の1周目ターン2でスピンして大きく後退、さらにトラックリミットオーバーもとられるなど、ちぐはぐな展開となり、結局12位でレースを終えた。

対照的だったのはガスリー。序盤はウエットタイヤでスタートしたことが響いて低迷していたが、セーフティカー導入時に履き替えたミディアムタイヤで素晴らしい追い上げを見せ、リスタート後はキミ・ライコネン(アルファロメオ)をオーバーテイクすると、ランス・ストロール(アストンマーティン)やダニエル・リカルド(マクラーレン)に最後までプレッシャーをかけ続け7位入賞。見事に6ポイントを獲得した。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターはエミリア・ロマーニャGPを終えて「アルファタウリの角田選手はいい走りを見せていましたが、残念なことに濡れた路面でスピンを喫し、ポイント圏外に終わりました。5番手スタートのガスリー選手は、序盤のウエットタイヤでの走行で一時は大きくポジションを落としましたが、粘り強い走りで巻き返しを見せ、7位入賞を獲得してくれました。まだ2戦を終えたところですが、いい戦いができていることをうれしく思っています」とコメントしている。

画像: ガスリーが連続予選5番手と好調なアルファタウリ・ホンダ。今回は天候とタイヤ選択に悩まされたが、チームの調子はいい。

ガスリーが連続予選5番手と好調なアルファタウリ・ホンダ。今回は天候とタイヤ選択に悩まされたが、チームの調子はいい。

トップに迫るポテンシャルを感じさせるアルファタウリ・ホンダ

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

「いろいろなことがあり、おもしろいレースになったと思いますが、僕は自分自身にがっかりしていますし、チームにも申し訳なく思っています。いいレースができていて、ペースもすごくよかったので、赤旗中断後のスピンは本当に残念でした。ウエットでF1マシンを走らせるのは初めてでしたが、慎重に、特に加速では気を付けなければならないと学びました。レインコンディションの中、インターミディエイトタイヤでスタートしたのも難しかったのですが、異なるコンディションでこのタイヤがどう機能するのかを理解する貴重な機会になりました。今日はポイント獲得が可能だったはずですが、すべてが学びになったので、この経験を次戦に活かしていきたいと思います」

画像: 予選ではいきなりのクラッシュでノータイム、決勝では勝負所でスピンとミスが続いたが、これも調子がいい中でチャレンジした結果。

予選ではいきなりのクラッシュでノータイム、決勝では勝負所でスピンとミスが続いたが、これも調子がいい中でチャレンジした結果。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

「今日は厳しい一日でした。5番手からのスタートでしたが、スタート時のタイヤ選択が周りと異なり、後方まで順位を下げてしまいました。とても残念でしたが、戦い続け、赤旗中断後は順位を挽回して7位に入り、ポイントを獲得できたことはよかったです。簡単なレースではなかったので、ポイント獲得で終われたことはポジティブです。ただ、今日のスターティンググリッドを考えればもっと上を目指せたと思います。土曜日にはマシンのポテンシャルを示すことができたので、次はレースウイークすべてでそれを発揮する必要があります」

画像: スタート時のタイヤ選択に失敗、大きく順位を失ったピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。それでも7位に入賞した。

スタート時のタイヤ選択に失敗、大きく順位を失ったピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。それでも7位に入賞した。

次戦、第3戦ポルトガルGPは4月30日にポルトガル南部のポルティマオ近郊のアルガルベ・サーキットで開幕、5月2日に決勝レースが行われる。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 63周 
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+22.000s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+23.702s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+25.579s
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)+27.036s
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+51.220s
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+52.818s
8位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+56.909s
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+65.704s
10位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+66.561s
11位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+67.151s
12位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+73.184s

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