2021年4月29日、FIA世界耐久選手権(WEC)がスパ・フランコルシャン6時間レースで幕を開ける。LMP1カーの時代が終わり、今シーズンから「ル・マン ハイパーカー」の新時代へと移るが、その戦いはどうなるのだろうか。

ハイパーカーの規定は公道走行可能な車両をベースに想定

ル・マン24時間耐久レース/WEC世界耐久選手権のトップクラスの戦いは、従来までのLMP1-Hのレーシングハイブリッドカーから、市販車に近い「ル・マン ハイパーカー」に今シーズンから移行する。

これに向けて、トヨタ、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティン、ポルシェ、アウディ、プジョー、BMW、アルピーヌなどの強豪が参戦に乗り出していたが、残念ながらハイパーカー初年度の開幕戦のハイパーカークラスにエントリーしているのは、トヨタ、アルピーヌ、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスのみ。まずは、LMP1-Hクラスで無敵を誇ったトヨタが新しいシリーズの牽引役となりそうだ。

ただ、LMP1-Hクラスで無敵だったとはいえ、ハイパーカークラスのニューマシン「トヨタ GR010 ハイブリッド」は従来とはまったく異なるマシンで、予断は許されない状況だ。

ハイパーカーは燃料消費やエレクトリックパワーの使用を厳しく制限されているわけではないが、TS050ハイブリッドほどパワーは大きくないし、車両重量も大きい。ハイパーカーの規定は公道走行可能な車両をベースに想定していて、全長は5000mm以下、全幅2000mm以下、全高は1150mm以下で、前面投影面積が1.6平方メートル以上、車両重量は1030kg以上とされている。また、排気量、気筒数などは自由で、ハイブリッドシステムを搭載する場合はフロントアクスルを駆動することと規定されている。

この規定のもとで開発されたトヨタ GR010 ハイブリッドは、120km/hを超えると前輪に装着された最大272psのモータージェネレーターユニットと680psを発揮する3.5L V6ツインターボエンジンを組み合わせて4輪駆動として走行する。(TS050ハイブリッドは後輪にもハイブリッドシステムを搭載して1000psを発揮していた)

また、LMP2カーやGTカーを追い越す際などに最大限のパフォーマンスを引き出すためこれまでとは異なるセッテイングや複雑な操作が必要となり、またボディはシリーズをとおして同じ形状、エアロダイナミクスとすることと定められているため、実質ル・マン24時間レース仕様ですべてのサーキットを走ることになる。

加えてBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が初めて導入されるのもポイントで、トヨタ GR010 ハイブリッドはパワーがTS050ハイブリッドよりも32%絞られ、ル・マンのサルテサーキットのラップタイムで10秒程度遅くなると言われる。まだまだ実戦でなにが起きるかわからないというのが実状だ。

そんな中でトヨタは、世界チャンピオンの防衛とル・マン24時間レース4連覇を目指し、昨年と同じドライバーラインアップでシーズンに臨む。

画像: ポールリカールサーキットで走り込むトヨタ GR010 ハイブリッド。開幕に向けて、テストは順調に進められた。

ポールリカールサーキットで走り込むトヨタ GR010 ハイブリッド。開幕に向けて、テストは順調に進められた。

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