コロナ禍の影響で欧州仕様車を日本で試乗
レヴァンテ トロフェオに乗った印象は今も強烈に残っている。SUVではあるが、これはまさしくスーパースポーツそのものである、と感じられた。そんなトロフェオモデルに、今度はサーキットで試乗機会があるという。これは何をおいても参加するしかない。
今回、サーキット試乗に用意されたトロフェオは、レヴァンテと並びマセラティの屋台骨を支えるギブリである。さらに今後、日本へ導入されるギブリ ハイブリッド グランスポーツ、ギブリ S Q4 グランスポーツもあった。しかし、ナンバーを見てもわかるとおり欧州仕様そのもの。つまりコロナ禍でなければ欧州試乗会に「人」が参加するのだが、今回は逆に「クルマ」が来日し、試乗会に参加したというわけだ。
サーキットが似合うトロフェオ。ハイブリッドは街中がベスト
最初にギブリ トロフェオでコースイン。搭載するのは3.8L V8ツインターボエンジン。このエンジンの開発はマセラティだが、フェラーリのマラネロ工場で生産される。走り出して次第にペースを上げて行くとその素晴らしさに感動してしまった。
V8サウンド、後輪駆動の挙動、インテリアなど、気持ちを昂ぶらせる要素が満載でついつい走りが熱くなってしまう。最新マセラティの中でもっとも、サーキットが似合うと言えよう。
次は、ギブリ ハイブリッド グランスポーツのハンドルを握った。こちらはトロフェオの対極にある。2L直4ターボエンジンに48Vハイブリッドシステムを組み合わせる。こちらの印象は街中ベスト、というもの。さすがにトロフェオの後ではサーキットでの走りは物足りないが、基本性能の高さは窺える。欧州の公道や高速道路、ワインディング路を想定して走ってみるとその真価がよくわかる。マセラティらしい刺激的なスポーツセダンと言えるだろう。毎日乗るのが楽しくなるクルマだった。
最後に試乗したのは3L V6ツインターボエンジンを搭載するギブリ S Q4 グランスポーツである。V8のトロフェオ、直4のハイブリッドの中間的な存在なのだが、トロフェオは別格のスポーツカーと考えれば、このS Q4はギブリラインアップの中では上位モデルというポジションである。
V6エンンジンは高回転まで気持良く回りサーキットでの走りも楽しめるパフォーマンスを持っているが、さすがにトロフェオと同じ機会に乗るとそのインパクトは薄れてしまう。しかしバランスはこれが一番いいかもしれない。マセラティらしさも詰まっている。ギブリはこうしたラインアップの奥深さも魅力のひとつなのだと感じた試乗だった。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)
ギブリ オールレンジ テストドライブ試乗モデル一覧
■ギブリ トロフェオ(2021年モデル)
・エクステリアカラー:グリジオ マラテア マット
・インテリアカラー:レッド ピエノフィオーレ+ブラックステッチ
・エンジン種類:3.8L V8ツインターボ
・最高出力:580ps
・最大トルク:780Nm
・駆動方式:FR
・最高速度:326km/h
・0→100km/h加速:4.3秒
■ギブリ ハイブリッド グランスポーツ(2021年モデル)
・エクステリアカラー:ニューグリジオ
・インテリアカラー:ブラック ピエノ フィオーレ レザー+ブルーステッチ+ブラックヘッドライナー)
・エンジン種類:2L 直4ターボ+モーター
・最高出力:330ps
・最大トルク:450Nm
・駆動方式:FR
・最高速度:255km/h
・0→100km/h加速:5.7秒
■ギブリ S Q4 グランスポーツ(2021年モデル)
・エクステリアカラー:グリジオ マラテア
・インテリアカラー:ブラックペッレテスータ+グレーステッチ
・エンジン種類:3L V6ツインターボ
・最高出力:430ps
・最大トルク:580Nm
・駆動方式:4WD
・最高速度:286km/h
・0→100km/h加速:4.7秒
※試乗車は欧州仕様