初日は大きなトラブルなくスムーズな一日
ポルトガルでのレースに続いて、2021年初の2週連続のレースに向けて、ホンダ勢も慌ただしくスペインでのフリー走行に突入した。
スペインGPの舞台となるカタロニアサーキットは、地中海の日差しが降り注ぐ風光明媚なコースだが、海岸からほど近く、強い風がさまざまな方向から吹き付け、空力特性がシビアなことで知られる。
例年はここバルセロナでプレシーズンテストが行われていることもあり、どのチームもこのサーキットを熟知し、多くの走行データを保有しているが、このシーズンオフにコースレイアウト変更が行われており、各チームともにデータ修正を行いながら習熟を深めていった。
ホンダ勢は、まずフリー走行1回目で、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがトップのバルテリ・ボッタス(メルセデス)と0.033秒差の2番手につけると、セルジオ・ペレスは9番手に。アルファタウリ・ホンダではピエール・ガスリーが7番手、角田裕毅が11番手とまずは順調なスタートを切った。
午後のフリー走行2回目では、フェルスタッペンがソフトタイヤを履いたアタックでミスを犯してタイムを出せず、ペレスもセクター1でタイムロス。セッション後半はロングランに集中したため、それぞれタイム的には9番手と10番手に終わったが、予選に向けて調子は上向いている。一方、アルファタウリ・ホンダのガスリーは6番手、角田はチームメイトから0.026秒の僅差で7番手につけた。
なお、フェルスタッペンにとって今回のスペインGPは、レッドブル・レーシングでの100戦目という記念すべきレース。しかも舞台のカタロニアサーキットは、2016年にF1初優勝を挙げた思い出の地でもある。フェルスタッペンは2015年にトロロッソでF1デビュー、2016年第5戦スペインGPからレッドブルに移り、その最初のレースでF1初優勝を獲得している。さらにこのレースにはホンダにとってF1GP 80勝目もかかっている。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「レッドブル・ホンダ、アルファタウリ・ホンダともに3戦を終えた現時点では昨年よりパフォーマンスが向上していると思いますが、さらに自分たちのマシンの理解を進め、シーズンを通してのパフォーマンス向上に努めていきます。初日は、大きなトラブルなくスムーズな一日となりました。まだ金曜日ではありますが、ここまでの戦いと同様に、今回もレッドブル・ホンダ、アルファタウリ・ホンダともに、ライバルと僅差の戦いになると考えています。パフォーマンスが非常に拮抗した戦いになりますので、小さな違いが大きな結果の差を生むこととなります。ベンチマークとなるサーキットで収集したデータに過去蓄積したノウハウなどを加えて、予選に向けてセッティングを煮詰めていきます。細部にまで最適化を図り、ベストな形で明日の予選に臨みたいと思います」とコメントしている。
実力がはっきり分かるサーキットで勝利を狙うレッドブル・ホンダ
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「今日は全体的にかなりいい一日で、マシンにはなかなかの競争力があると見ています。フリー走行2回目ではプッシュしたラップのターン10で少し膨らんでしまいましたが、どちらのセッションでもショックを受けるような悪いことはありませんでした。ターン10のレイアウト変更によって、プッシュするときの一周の流れがよくなったと思います。かなりスピードが上がり、ドライビングも楽しくなりましたが、オーバーテイクについては難しくなったと思います。僕らの競争力がどのくらいかというのは、いつも金曜時点では疑問符がつくと思いますが、僕らとしてはかなり満足しています。もちろん、常に改善点はあるものです。バルセロナはグリップのあるコースで、各チームの実力がはっきり分かるサーキットだと思いますし、過去の成績もいいので楽しみにしています」
セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
「今日はやや難しい一日になりました。両セッションともに小さなセッションの遅れがあったため、やや急がなくてはならず、結果としてトラフィックの中に入って走行したりと、あまり多くの周回をこなすことができませんでした。ショートランについてはもう少し分析を重ね、改善していく余地があると思っています。ロングランも悪くはないのですが、まだやらなくてはいけないことが残っています。ここでは予選が大事になるので、ここから改善していければと思っていますし、もう少しペースを上げていい戦いをできるようにしていきたいです」
ペースを取り戻したアルファタウリ・ホンダ
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
「今日は自分たちのパフォーマンスにもマシンのペースにも満足しています。このコースは走行経験が多く、よく知っているので、全セッションが学びだったポルトガルとは対照的に、自信を持ってドライブすることができました。明日に向けてはとてもポジティブな気持ちです。フリー走行3回目と予選までに、自分のドライビングとマシンのセットアップにフォーカスする必要があるので、エンジニアと取り組んでいきます」
ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
「フリー走行2回目は全体的にいいセッションになったと思いますし、6番手というのはマシンの強さを示しています。ペースはありますが、バランスはまだ最適ではないので、予選に向けてパフォーマンスを最大限発揮できるように、いくつか微調整していきます。当然、今週末の僕らの目標はポイントをしっかりと獲得することです。中団の手強いライバルたちと戦っていくわけですが、いくつか苦戦している部分を改善できれば、いいレースウイークにできると思います。僕らのマシンに合ったサーキットだと思うので、いいパフォーマンスを発揮できればと思います」
タイヤを供給するピレリは「タイヤは今日のフリー走行を通じて期待どおりに機能し、各セッションでグレインや摩耗は見られませんでした。新しい第10コーナーは流れが良くなり、タイヤ、特にリアのタイヤのライフが少し楽になりますが、バルセロナの路面は1週間前のポルトガルとは異なり、アスファルトの研磨性が高くなっています。各チームは午後のフリー走行でソフトとミディアムのコンパウンドを集中的に試していましたが、このふたつがレースのキータイヤになるでしょう。これはミディアムとハードの間で約1.0秒とパフォーマンスギャップが大きいことと、ピットでのロスタイムがポルトガルよりも少なくスティントが短くなるためです」と分析している。
第4戦スペインGPの予選は5月8日日本時間22時(現地時間15時)、決勝は5月9日日本時間22時(現地時間15時)に開始される。
2021年F1第4戦スペインGP フリー走行1回目 結果
1位 77 V.ボッタス(メルセデス)1:18.504
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:18.537
3位 44 L.ハミルトン(メルセデス)1:18.627
4位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)1:18.944
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:18.996
6位 55 C.サインツ(フェラーリ)1:19.020
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)1:19.062
8位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)1:19.234
9位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)1:19.349
10位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)1:19.429
11位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) 1:19.669
2021年F1第4戦スペインGP フリー走行2回目 結果
1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)1:18.170
2位 77 V.ボッタス(メルセデス)1:18.309
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:18.335
4位 31 E. オコン(ルノー) 1:18.466
5位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)1:18.518
6位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)1:18.593
7位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)1:18.619
8位 55 C.サインツ(フェラーリ)1:18.674
9位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:18.785
10位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)1:18.918