クルマが自動運転可能かどうかを判断
新型レジェンドが搭載したトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)は、自動運転レベル3を実現した。テレビCMをはじめとする映像でハンドルから手を離して走行している姿を見るが、あれはあくまでレベル2「運転支援」の範疇であり、レベル3以上が「自動運転」である。
ではどこが違うのか。簡単に言えばレベル2までは運転するのはドライバー、レベル3以上はクルマである。レベル3は特定の条件(場所、速度、気象などの走行環境条件)のもとで自律走行、すなわちシステムが運転操作を行う。ゆえにシステム稼働中、ドライバーは前方を注視している必要はなく、スマホを見たりモニターで再生された映像を楽しむことが可能になる。
レジェンドは、フロントセンサーカメラ2基、ライダーセンサー5基、レーダーセンサー5基、さらに室内にはナビ画面横に近赤外線ライトを内蔵したドライバーモニタリングカメラを搭載している。これらの数多くのセンサー類と3次元高精度地図、全球測位衛星システムなどが各種データをやりとりし、自動運転を可能にしているというわけだ。
自動運転を始めるのは、実に簡単である。ハンドルに用意されたスイッチをいくつか操作するだけだ。そこでクルマが自動運転できる状態かどうかを判断し、それが可能になるとハンドルなどにブルーのライトが点灯し、開始される。
クルマが自動運転できないと判断するとそれは解除され、運転をドライバーに委譲する。ハンドルのライトもオレンジになるのでわかりやすい。また自動運転できる/できないの判断にはさまざまな要件がありすべて記することができないが、渋滞が解消されたとクルマが判断した時には、当然解除される。ここで注意したいのは、クルマが自動運転状態を解除した時は、ドライバーは即座に運転操作しなければいけない。
今回は、合流分流が頻繁に行われる一番左側の車線も走ったが、危険だと感じるような場面に遭遇しなかった。運転していて一番苦痛なのは渋滞だろう。渋滞そのものがなくなるわけではないが、そうした状況の運転から解放され、他のことができるようになることは、とてもうれしい。ナビ操作ができたり、テレビ画面や動画を映すことができるようになるのもそのひとつである。
渋滞運転機能をテストするのは初めてのこと。まだ作動条件も限られ課題も見られるが、最初の一歩を踏み出したばかりなのだ。また、こうした先進技術は数多くのクルマに搭載されてこそ意味のあるものだと考えている。今回はレジェンドへの搭載だったが、今後は早い段階ですべてのモデルに導入されることが望まれる。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)