伝説的レーシングカー、マクラーレン F1 GTRを彷彿とさせるカラー
MSOは、マクラーレン オートモーティブの社内ビスポーク部門だ。「ビスポーク」とは注文主のオーダーによって服や靴を仕上げていくことが発祥で、当然ながらMSOでは顧客のオーダーなどでスペシャルなマクラーレン スーパーカーを制作している。
今回公開された720Sは、「ガルフ」オイルのアイコニックなレーシングカラーに仕立てられている。マクラーレンとガルフは、オフィシャル戦略的パートナーシップの再開を2020年夏に発表した。このプロジェクトはその一環であり、マクラーレン スーパーカーのパーソナライゼーションの可能性を示すものだ。
マクラーレンとガルフが最初にパートナーとなったのは、1968~1973年のF1とCan-Am(カンナム)シリーズだった。その関係は1990年代によみがえり、GTCコンペティション チームのマクラーレン F1 GTRは1996年のBPRグローバル耐久選手権を制したほか、1997年のル・マン24時間レースでGT1クラス優勝を果たすなど、伝説的な活躍を見せたのだった。
2020年のパートナーシップ復活を受けて、2021年からガルフがマクラーレン オートモーティブの推奨潤滑油サプライヤーとなり、高性能エンジンに最適化したガルフのオイルと燃料が全モデルに採用されている。
このマクラーレン F1 GTRを彷彿とさせるガルフ カラーをまとった720Sは、MSOによるハンドペイントだ。完全再現のため配合したペイントをメタリック塗装とソリッド塗装で施し、両ブランドのユニークなアイデンティティを表現している。この色を出来上げるのにかかる時間は、MSOの職人たちの手でさえも20日を要するという。
アイコニックなブルーとオレンジのレーシングカラーに加えて、ブレーキキャリパーもガルフのソリッドオレンジとされた。また、この720Sのビスポーク インテリアには、同色のブルーとオレンジのステッチが施され、ヘッドレストには刺繍で、ドアシルにはペイントで、ガルフのロゴがあしらわれている。
さらに、ステアリングホイールは、エクステリアに合わせたガルフのソリッドオレンジとソリッドダークブルーのストライプをセンターバンドとし、スポークはビジュアル カーボンファイバーを採用している。
720Sは、現行のスーパーシリーズの最高峰に位置するモデルで、4LのV8ツインターボ エンジンは最高出力720psと最大トルク770Nmを発生し、0→100km/h加速は2.9秒、最高速度は341km/hというパフォーマンスを発揮する。カーボンファイバー製モノケージIIの採用により、乾燥重量は1283kgというクラストップの軽量さで、プロアクティブ シャシ コントロールII サスペンションとアクティブ エアロダイナミクスにより、公道でもサーキットでも、衝撃的なパフォーマンスを解き放つことが可能だ。
このガルフ カラーの720Sは、「限られた数のカスタマーだけに提供される」とアナウンスされているが、その台数や車両価格などは公表されていない。果たして、日本にもやって来るのだろうか。ぜひ、その姿を見てみたいものだ。
■マクラーレン 720S(ベース車両) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4543×2059×1196mm
●ホイールベース:2670mm
●乾燥重量:1283kg
●エンジン種類:90度V8 DOHCツインターボ
●排気量:3994cc
●最高出力:720ps/7500rpm
●最大トルク:770Nm/5500rpm
●燃料タンク容量:72L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前245/35R19、後305/30R20
●車両価格(税込):3530万円