2021年6月2日、FCAジャパンはジープ ブランドのコンパクトSUV「コンパス」をマイナーチェンジして、6月26日より発売すると発表した。

ジープらしさはそのままに、快適性を向上

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国産車も輸入車も苦戦を強いられている日本の自動車市場だが、FCAジャパンは堅調だ。2021年1月〜4月の登録台数は8604台と対前年比で23%増、1月〜4月の輸入車シェアは、10.1%に達した。つまり、いま日本で売られている輸入車の新車10台に1台はFCAジャパンが販売したクルマになる。

好調の最大の要因は、ジープ ブランドにある。2020年は1万3562台のジープ車を販売。2012年は約5000台、2017年に1万台を超えた販売台数を考えると、その進捗状況はかなりのものだ。これには、ディーラー網の拡充、日本市場に合ったクルマ造り、そしてデジタルプラットフォームの充実などが要因としてあげられるだろう。

画像: エクステリアには、新型グランドチェロキーのデザイン要素を取り入れている。

エクステリアには、新型グランドチェロキーのデザイン要素を取り入れている。

さて、今回マイナーチェンジされたコンパスは、ジープ ブランドのコンパクトSUVとして2006年に発売され、日本では2012年から導入。現行型は2017年に登場した2代目にあたる。

エクステリアでは、2021年初頭にデビューした新型グランドチェロキーのデザイン要素を取り入れて、前後を中心にリデザインされた。ジープを象徴するセブンスロットグリルの下には、車幅いっぱいに広がる直線的な開口部が設けられた。ヘッドライトは、従来のキセノン式に比べて約2倍の明るさを誇るフルLEDタイプを全車に標準装備。この新しいヘッドライトにはデイタイムランニングライトも内蔵している。テールライトにもLEDを採用し、ライトやバンパーガーニッシュの意匠を見直し、フロントに共通する特徴が与えられている。

インテリアは、エクステリア以上に今回のマイナーチェンジで力が入れられている。ドライバーにもパッセンジャーにも同様に開放感や上質な居心地を感じられるよう、横方向にシームレスなデザインを採用している。インテリアデザイン ダイレクターのクリス・ベンジャミンは、これを「ボルスター(抱き枕)」と呼んでいた。

インストルメントパネルを始め、センターディスプレイ、センターコンソール、ドアパネルまでデザインを一新し、センターダッシュ上には第5世代の「Uコネクト5」を搭載した10.1インチ(スポーツは8.4インチ)の大型タッチスクリーンを採用。優れた視認性と直感的な操作を実現し、アップルカープレイやアンドロイドオートも利用できる。

画像: インテリアはデザインを一新。水平方向に広がった「ボルスター」が特徴的なインパネ。

インテリアはデザインを一新。水平方向に広がった「ボルスター」が特徴的なインパネ。

メータークラスターには、フルカラーの10.25インチ マルチビュー ディスプレイ(スポーツでは7インチ)を採用し、運転に関連するさまざまな情報を表示する。また、センターコンソールの収納スペースを2倍以上の容量として、使い勝手を向上させている。

安全&快適性能も最新のシステムにアップデートされた。新装備として、前面衝突警報、歩行者・サイクリスト検知機能付き衝突被害軽減ブレーキ、ブラインドスポットモニター、従来の車線逸脱警報に加え、死角にいる併走車との衝突回避を図るためにステアリングを自動補正する、ジープ初となるアクティブ レーンマネジメント システムが全グレードに標準設定された。

上級グレードでは、フロントカメラが道路標識を読み取り、必要に応じてドライバーに通告するトラフィックサイン レコグニション、自動的に法定速度を認知し走行速度を制御するインテリジェント スピードアシスト、信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しても停止状態を維持するオートブレーキホールド、車両の周囲の状況を車内のタッチスクリーンに映し出すサラウンドビューカメラ、ドライバーの注意力低下や無反応を検知して警報を発するドライバー アテンションアラートも搭載される。

画像: リミテッドのインテリア。シート地は本革で、前席は電動アジャストとなる。

リミテッドのインテリア。シート地は本革で、前席は電動アジャストとなる。

グレードと消費税込みの車両価格は、スポーツが346万円(従来型+10万円)、ロンジチュードが385万円(同+2万円)、リミテッドが435万円(同+1万円)。スポーツでは25万円相当、リミテッドでは30万円相当の装備を追加しながら、価格の上昇は抑えられている。

なお、今回のマイナーチェンジではパワートレーンには変更はない。いずれも2.4Lの直4マルチエア 16バルブエンジンを搭載し、スポーツとロンジチュードは6速ATにFF、リミテッドは9速ATにオンデマンド方式の4WDを組み合わせる。ハンドル位置は、いずれも右のみ。

購買者の平均年齢は42歳と、同等のSUV購買層の平均年齢より9歳も若いというジープ コンパス。そうした若い世代に手が届く価格帯を実現したということで、コンパクトSUV市場はますます活性化していくことは間違いなさそうだ。

画像: 外寸はホイールベースも含めて従来型と変更はない。日本の街中でも扱いやすいサイズだ。

外寸はホイールベースも含めて従来型と変更はない。日本の街中でも扱いやすいサイズだ。

ジープ コンパス ラインアップ

スポーツ(2.4L 直4+6速AT/FF):346万円
ロンジチュード(2.4L 直4+6速AT/FF):385万円
リミテッド(2.4L 直4+9速AT/4WD):435万円

ジープ コンパス スポーツ(リミテッド) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4420×1810×1640mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1490kg(1600)
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:2359cc
●最高出力:129kW<175ps>/6400rpm
●最大トルク:229Nm<23.4kgm>/3900rpm
●トランスミッション:6速AT(9速AT)
●駆動方式:FF(オンデマンド4WD)
●燃料・タンク容量:レギュラー・60L
●WLTCモード燃費:11.8km/L(11.5)
●タイヤサイズ:215/65R16(225/55R18)
●税込み車両価格:346万円(435万円)

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