2021年6月4日、F1第6戦アゼルバイジャンGPが首都バクーの市街地サーキットで開幕する。前戦モナコGPを完勝したレッドブル・ホンダは、ここでも速さを発揮するのか。それとも調子が上向いてきたフェラーリやマクラーレン・メルセデスの台頭はあるのか。モナコではマシンの不振と戦略の失敗で沈んだメルセデスも虎視眈々と復活を狙っている。なお、昨年は新型コロナウイルス感染拡大のためキャンセルとなり、アゼルバイジャンGPは2年ぶりの開催となる。

「世界最速の市街地サーキット」と言われる難コース

アゼルバイジャンGPが行われるコースは、モナコGP同様に市街地サーキットではあるが、その特性は大きく異なっている。

バクーの市街地サーキットは、近代的な建物が並ぶフラットで直角コーナーが続くセクター1と、城郭の中の旧市街を周る起伏が激しい狭く曲がりくねったセクター2、そしてカスピ海に面した広い道をアクセルペダル全開で駆け抜ける、ほぼ直線のセクター3で構成される。

全長が6kmあまりと距離が長いことに加え、コンクリートが待ち受ける難しい直角コーナー、道幅が7mほどしかない旧市街、90km/h近くまでスピードが落ちるテクニカルな低速コーナー、最高速が350km/hを超える道幅が広いロングストレートが組み合わされているのが特徴となる。

2つのコースが1つになっているような感じで、前半はモナコ、後半はイタリア・モンツァというようなイメージ。曲がりくねった旧市街のセクションはモンテカルロと似た雰囲気を持っているが、長いストレートとブレーキングゾーンのはまるでモンツァのよう。コーナーではハイダウンフォース、ストレートではローダウンフォースが理想となるが、そんな完璧なセッティングは不可能。チームとドライバーはその妥協点を見つける必要がある。

画像: 2016年、バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)がF1での最高速記録を更新する378km/hを記録するなど、世界最速のストリートサーキットと呼ばれる。

2016年、バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)がF1での最高速記録を更新する378km/hを記録するなど、世界最速のストリートサーキットと呼ばれる。

画像: コース脇にランオフエリアがなく、さらにコンクリートやガードレールなどがあるので、わずかな接触でもマシンが大きなダメージを負う。

コース脇にランオフエリアがなく、さらにコンクリートやガードレールなどがあるので、わずかな接触でもマシンが大きなダメージを負う。

バクーでは、風と路面温度の変化が問題となることも多い。バクーは「風の街」と呼ばれるほど風が頻繁に変化するため、とくにカスピ海に面したセクター3では注意が必要となる。また、ロングストレートではタイヤ温度が上がりにくく、近代的な建物が並ぶセクタ−1では陽射しが遮られて路面温度が異なる場所も出てくるため、タイヤの温度管理が難しく、しばしばタイヤトラブルが起きている。

パワーユニットとしては、低速コーナーでのドライバビリティと長いアクセルペダル全開区間を考慮したエネルギーマネージメントを含め、パフォーマンスを最大限に効率よく引き出すことが求められる。

戦略的には、市街地サーキットではあるもののオーバーテイクは難しくなく、ターン16 の出口からターン1までのF1でも最長のフラットアウト区間での、トゥーを使った攻防が見所のひとつになる。またモナコ以上にアクシデントが多発するコースとして知られており、セーフティカーの導入もレースのポイントとなりそうだ。

前回2019年のアゼルバイジャンGPでは、フェラーリ勢がフリー走行から速さを見せていたが、予選Q2でシャルル・ルクレールがクラッシュしたことから歯車が狂い始め、結局、メルセデス勢の1-2フィニッシュを許してしまった。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはフェラーリの一角を崩したものの、4位に終わっている。

【参考】2019年 F1第4戦アゼルバイジャンGP 決勝結果

優勝 77 V.ボッタス(メルセデス)51周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+1.524s
3位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+11.739s
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+17.493s
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+1'09.107s
6位 11 S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス)+1:16.416s
7位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+1:23.826s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+1:40.268s
9位 18 L.ストロール(レーシングポイント・メルセデス)+1:43.816s
10位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)+1周
11位 23 A.アルボン(トロロッソ・ホンダ)+1周
リタイア 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)

画像: ピレリが分析するバクー市街地サーキット。直角コーナーで繋がれたセクター1(赤い部分)、城郭の中の旧市街のセクター2(黄色の部分)、ほぼ直線のセクター3(白い部分)で構成される。

ピレリが分析するバクー市街地サーキット。直角コーナーで繋がれたセクター1(赤い部分)、城郭の中の旧市街のセクター2(黄色の部分)、ほぼ直線のセクター3(白い部分)で構成される。

タイヤを供給するピレリは「今回のアゼルバイジャンGPではもっともソフトなタイヤ3種類が選択されました。2019年よりも1段階柔らかいものがチョイスされましたが、それは前回レース中にハードタイヤがまったく使用されなかったからです。一段階ソフトにすることで新しい戦略が生まれてくるものと予想しています。バクーの市街地サーキットはアスファルトの粗さがそれほど攻撃的ではなく、ダウンフォーズも大きくないので、柔らかいコンパウンドが好まれる傾向にあります。前回の上位4人はソフト→ミディアムのワンストップでした」と分析している。

さて2021年はどんなレースとなるのか。第6戦アゼルバイジャンGPは6月4日12時30分(日本時間17時30分)から始まるフリー走行で開幕する。

2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:6月4日12時30分〜13時30分(日本時間17時30分〜18時30分)
フリー走行2回目:6月4日16時〜17時(日本時間21時〜22時)
フリー走行3回目:6月5日13時〜14時(日本時間18時〜19時)
予選:6月5日16時〜17時(日本時間21時〜22時)
決勝:6月6日16時〜(日本時間21時〜)

This article is a sponsored article by
''.