「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ CL550だ。

低速トルクは分厚く、乗り心地は重厚そのもの

画像: V8エンジンは4.7Lにダウンサイズされたが直噴ツインターボ化で従来の5.5Lよりパワーアップしながら燃費を3割も向上させている。

V8エンジンは4.7Lにダウンサイズされたが直噴ツインターボ化で従来の5.5Lよりパワーアップしながら燃費を3割も向上させている。

出力特性は、最大トルクを1800〜3500rpmで得ていることから想像できるように、V8ツインターボは1500rpmも回っていれば十分体感できるほど低速トルクが太い。7速ATとのマッチングも良く、一般道の走行ならほとんど2000rpm程度でこなしてしまう。もちろん、そのパフォーマンスを感じられるのは3000rpm以上。その気になれば、パドルシフトでパワーを余すところなく使いきって走る楽しさが味わえる。

足まわりは意外とソフトで、ロールもそれなりに出るのだが、操縦安定の特性がメルセデス流の弱アンダーを徹底的に維持する設定なので、恐怖感とは無縁だ。これにはステアリングホイールの操作なりに回頭していく素直な動きも貢献している。車両重量が2トンを超えることもあり、乗り心地は重厚そのもの。上下方向の動きもゆったりとした穏やかな収束を見せる。また加速中でもキャビンの静粛性は高く、ラグジュアリークーペらしい乗り心地が得られている。

エクステリアは、LEDを採用して先進性を訴求したヘッドランプや、ボンネット、バンパー、アルミホイールのデザインを一新して高級感を高めた。内装の質感も文句なしで、セミアニリンレザー張りのシートやダッシュに用いられたウッドトリムが、硬質になりがちな機能性に温かみを与えている。

また運転席にはスライドやハイト調整に加え、背もたれと座面のサポート調整機能(もちろん電動だ)が設定されていて、これにステアリングのチルト&テレスコピック調整を加えると、完璧なドライビングポジションが得られる。大柄なボディを意識させない取りまわしが可能なのも、完璧なドライビングポジションが取れるから、と言えるかもしれない。

画像: ターボの脈動もあり、エクゾーストサウンドは静か。ランプやバンパーの意匠など、リアまわりも大きく変わった。

ターボの脈動もあり、エクゾーストサウンドは静か。ランプやバンパーの意匠など、リアまわりも大きく変わった。

■メルセデス・ベンツ CL550 主要諸元

●全長×全幅×全高:5100×1870×1420mm
●ホイールベース:2955mm
●車両重量:2060kg
●エンジン種類:V8 DOHCツインターボ
●排気量:4663cc
●最高出力:320kW<435ps>/5250rpm
●最大トルク:700Nm<71.4kgm>/1800-3500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:8.0km/L
●タイヤ:255/45R18
●当時の車両価格(税込):1630万円

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