より安全、安心なクルマ選び・・・という視点において、JNCAP(Japan New Car Assessment Program)は、ひとつの重要なメルクマールとなっている。そこで例年、高い評価を受けてきたスバルが、2020年度の試験でもまた新たな快挙を成し遂げた。(Motor Magazine2021年7月号より)

安全性に対する総合評価で90点越えを達成

2020年10月、第二世代へと進化したスバル レヴォーグは、その年もっとも高い評価を受けたクルマに贈られる日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。そして2021年5月、もうひとつの「大賞」を受賞することになった。

国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が発表した自動車アセスメント(JNCAP)において、新設された「自動車安全性能ファイブスター大賞」を獲得したのだ。スバルブランドのクルマとしては、2018年度のアセスメントで衝突安全性能評価大賞を獲得した、フォレスターに続く快挙だ。ただし今回のそれは、従来までの「大賞」とはニュアンスが微妙に異なる。

これまでは、乗員保護や歩行者保護の性能確認を主題とする衝突安全性能評価と、衝突時の被害軽減と回避を目的とする先進安全技術の作動精度をテストする予防安全性能評価というふたつの評価軸が立てられ、それぞれに、歴代高得点を更新した優秀なクルマに対する栄誉が与えられてきた。だが2020年度からはその両方と、さらに「事故自動通報システム機能評価」を加えた合計得点で安全評価を統合的に判定する「総合性能安全性能評価」が新たに始まっている。

つまり今回の新型レヴォーグの「大賞」はまさに、スバルが誇る安全性能に関する総合力が高く評価されたものであることにほかならない。とくに衝突安全性能評価の90点越えは、快挙と言える数字だ。近年のJNCAPでは、ライバルである他メーカーも安全性能の向上が著しく、そこでもっとも高い評価を得ることは非常に難しいはず。そんな中で快挙を達成した背景には、どのような技術的進化があるのだろうか。

新型レヴォーグの開発責任者である五島賢氏と、長年、衝突安全を中心にスバル車の安全技術を磨きぬいてきた車両安全開発部の古川寿也氏に話を聞くと、これまでもスバルが、世界に先駆けて採用してきた多彩な技術や装備が、不断の進化を支えていることがわかった。

JNCAP試験項目とスバルレヴォーグの得点表。

視野が広がったアイサイト右左折時にも認識が可能に

たとえば、とくにろっ骨がもろくなっている高齢者の重症化確率に大きく影響する胸部傷害指標を含む衝突安全試験において、新型レヴォーグは満点に近い評価を獲得している。ポイントは、運転席のニーエアバッグ、助手席シートクッションエアバッグなど、事故時に下半身を固定するシステムの採用だ。レヴォーグとしては新型から初めて搭載された歩行者保護エアバッグも、より評価を高めている。

ちょっと意外だったのが、後席シートベルトリマインダーの存在。一般ユーザーに対する調査によると、後席に座った時にシートベルト装着を促す警報音が鳴ると、インジケーターのみによる注意喚起に比べてはるかに高い確率で装着を意識するようになるのだという。スバルではすで先代レヴォーグから、世界に先駆けて導入してきた。

もちろん「アイサイト」も進化している。とくに目玉と言えるステレオカメラは、画素数増とともに画角(人間で言うところの視野)が広がった。これによって交差点での対向車、歩行者、自転車なども素早く認識することが可能になったという。

同時に、電動ブレーキブースターの応答度速も向上されており、「タッチの差」で追突を回避する性能が高まっているそうだ。実はアイサイトそのものとは違う部分での、クルマとしての本質的な進化もまた、危険を回避する上では重要な要素となっている。

その多くは、スバルらしい素直かつリニアなダイナミック性能を追求する「こだわり」にかかわるものだ。とくにシャシやサスペンションまわりの高い剛性から生まれるタイムラグの少ないリニアな反応は、ドライバーの操作だけでなくクルマがアシストする領域においても、より精度の高い挙動を支えてくれる。

感性に寄り添う進化が卓越した安全性を実現する・・・その図式はいかにもスバルらしく、好ましい。(文:Motor Magazine編集部 神原 久)

画像: オフセット衝突試験の直後、車体は大きく変形しているにも関わらず、車両安全開発部の古川部長の操作でもドアはしっかり開閉できた。

オフセット衝突試験の直後、車体は大きく変形しているにも関わらず、車両安全開発部の古川部長の操作でもドアはしっかり開閉できた。

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