次々と登場するクルマも見どころのひとつだ!
本シリーズでクルマ好きな観客が楽しみにしているのは、どんなクルマが登場し、どんな走りを見せてくれるか、という部分。今回、街中でのド派手なチェイスに登場するのはアルマジロと呼ばれる3連繋の巨大装甲車。撮影用に2種類が作られていて、その存在感は脅威的。主人公 ドミニクが駆るのは彼お気に入りのダッジ チャージャー。ガレージにはオリジナルの1327 チャージャー(*)、1970年式チャージャー タントラム、2020年式 チャージャー SRTヘルキャット、ミッドエンジン チャージャーなどが鎮座している。
*:ドミニクの愛車のひとつで、彼の家の住所「1327」にちなんでこう呼ばれている。ちなみに、家屋そのものはスカイミッション(2015年)で爆破されているが・・・。
ロンドン市街戦ではノーブル M600、ブガッティ ヴェイロン、ベントレー コンチネンタルGT、アストンマーティン ラピードなどが、そして日本車では2020年式GRスープラが登場。ドミニクの弟、ジェイコブが駆るのは2016年式フォード マスタングにV8スーパーチャージャーを搭載したGT350。いずれも我々が普通に日本の公道を走らせるには、なかなか手に余るクルマばかり。これもアメリカという広大な土地を走る「燃費なんて気にしないぜ」という精神の現れか。
今や世界各国でカーボンニュートラルが叫ばれ、EUでは2035年にガソリン車の発売禁止も方針として打ち出されている。それでも「ワイルド・スピード」シリーズに登場するクルマがハイブリッド車や電気自動車になることはないだろうし、ガソリン車を愛する我々にとっては、そんな「ワイルド・スピード」映画が楽しいかどうかも疑問だろう。
そうした世界的情勢の中、2020年10月にスピンオフを除いたシリーズの10作目/11作目が、それぞれ2023年/2024年に公開予定で、本作で監督に再登板したジャスティン・リンが次なる2作の監督を担当、キャストも戻り、あと2作でシリーズが完結することが既にアナウンスされている。
大ヒット アクションシリーズも残すところあと2本とのこと。このド派手なカーアクション映画はこれまで陸、海、空、そして宇宙まで、その舞台を広げてきた。今度はどこまでその世界を広げるのか? 我々は、このなんでもアリの大排気量カーアクション映画を最後まで楽しみにしたいものだ。(文:映画批評家 永田よしのり)
「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」
Ⓒ2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
2021年8月6日(金)全国公開
配給:東宝東和
147分
監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、ジョン・シナ、ほか