大人気のカーアクション映画シリーズ「ワイルド・スピード」の最新作が、いよいよ日本でも公開される。今回はどんなアクションが見られるのか、映画批評家の永田よしのり氏に解説してもらおう。

限界を超え、さらなる次元に向かうシリーズ最新作

画像1: Ⓒ2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

Ⓒ2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

前作『ワイルド・スピード ICE BRAEK』から5年後の世界を描いた本作品。主人公ドミニクの過去と実の弟、父親との関係が描かれ、地球規模の危機、新たなファミリーの結成、そしてさらなる展開を観ることができる。

ドミニクはエレナとの間に産まれた息子のブライアン、パートナーのレティと3人で外界と連絡を遮断した隠匿生活をしていた。そこに現れた仲間たち。彼らは米国諜報組織のミスター・ノーバディが極秘輸送していた世界をも掌握できるデジタル装置「アリエス」を乗せた輸送機が南米で墜落したため、その回収依頼への協力を依頼してくる。仲間とともに南米へと向かうドミニク。だがそこに現れたのはかつての宿敵であるサイファーと結託した実の弟、ジェイコブ。

アリエスの回収、30年前に決別した弟との再会と衝突。ドミニクは現在の仲間たち「ファミリー」とともに実の弟との戦いに足を踏み入れていく。ドミニクとジェイコブとの間にどんな確執と怨恨があるのか? 物語はまさにジェットコースター的に加速度を増していく!

2001年の第1作「ワイルド・スピード」から早20年。新型コロナ感染拡大の影響で延期されていたが、スピンオフ作品も含めてシリーズ10作目となる最新作がついに日本でも公開。シリーズ全体の累計興行収入が5500億円超え、北米史上10番目に長い映画シリーズ(ちなみに1位はジェームズ・ボンド シリーズの25本、興行収入の1位はマーベル・シネマティック シリーズだ)として認知されている本作。今回もド派手なカーアクション、地球規模の危機、家族の絆、と幅広い年齢層にアピールするエンターテインメントとなっている。

2001年当初はストリート レーサーたちとロサンゼルス警察との戦いという限定地域でのシンプルなものだったが、今やドミニク ファミリーは世界の危機を救う秘密組織に。その展開の拡大とともにカーアクションもどんどん過激に派手になってきた。すでに潜水艦ともチェイスしたドミニクたち、今回は宇宙にまで飛び出して行く。あくまで荒唐無稽とも思えるアクションとストーリー展開を楽しむ映画なので、細かい部分にいちいち意義を唱えるのは野暮というもの。250億円以上の製作費をかけて、これだけブッ飛んだ映画を作ってしまう映画大国アメリカの風呂敷の大きさを楽しみたい1本だ。

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